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屋内給油取扱所の一方開放型上階付きとセルフ式はなぜ著しく消火困難になるのか|第五種のみと第四種の追加設置の違いを解説

一方開放型とセルフ式はなぜ消火設備が違うのかのアイキャッチ画像

屋内給油取扱所には、可燃性蒸気がこもらないよう建物の壁を一部設けない基準がありますが、条件を満たせば一方だけの開放でも認められる特例があります。
さらに、その特例を使って上に階を設けた形と、お客様ご自身に給油していただく形は、危険物の規制に関する規則上「著しく消火困難」な施設として扱われます。
どちらも他の屋内給油取扱所より重い消火設備の基準が上乗せされますが、上乗せされる設備の種類は同じではありません。
この記事では危険物の規制に関する規則が定める二つの形態の違いと、それぞれに必要な消火設備を解説します

うちの屋内給油取扱所、一方しか壁が開いてないんですが、これって基準違反じゃないでしょうか。

それは違反ではなく、総務省令で定める措置を講じれば認められる特例です。
ただし条件によっては消火設備が重くなることがありますよ。

セルフのスタンドも同じように重くなるんですか。

はい、セルフ式も同じ区分に入りますが、追加する消火設備の中身は別物なんです。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 屋内給油取扱所は原則、建物の一階の二方を自動車の出入りや通風・避難のための空地に面し、壁を設けないことになっている
  • 総務省令で定める措置を講じれば、一方の開放だけで足りる特例がある
  • この一方開放型でさらに上に階を持つものと、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフ式)は著しく消火困難な施設に区分される
  • 一方開放型上階付きは第五種のみ、セルフ式は第四種と第五種の両方を追加で設ける
  • まずは自分の施設がどちらの形態に当たるかを確認する

屋内給油取扱所はなぜ壁のない部分が必要なのか

二方開放の屋内給油取扱所と一方だけ開放の屋内給油取扱所の対比
屋内給油取扱所には、可燃性蒸気がこもらないよう建物の一部に壁を設けない基準があります。
この基準は原則と特例の二段構えになっています。
危険物の規制に関する政令第十七条第二項第九号 建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分の一階の二方については、自動車等の出入する側又は通風及び避難のための総務省令で定める空地に面するとともに、壁を設けないこと。ただし、総務省令で定める措置を講じた屋内給油取扱所にあつては、当該建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分の一階の一方について、自動車等の出入する側に面するとともに、壁を設けないことをもつて足りる
原則は二方向を開放することが基準です。
屋内給油取扱所は建物の中でガソリン等を扱うため、可燃性蒸気が滞留しないよう一階の二方を自動車の出入り側または通風・避難のための空地に面して壁を設けないことが原則とされています。
この「二方」というのは建物の外周のうち少なくとも二つの面を意味し、開放された部分から自然に換気が行われる構造を確保する狙いがあります。
ただし書きにより、総務省令で定める措置を講じれば一方だけの開放でも足りるとされており、次の見出しでその措置の中身を見ていきます。

二方も壁を開けるなんて、風通しがずいぶん良くなりそうですね。

そのとおりです。
まずは自分の建物がどちらの壁の開き方か確認してください。

一方開放型上階付きとセルフ式はどんな屋内給油取扱所を指すのか

一方開放型で上に階を持つ建物とセルフ式のノズルを持つ顧客の対比
一方だけの開放で足りる特例を使ったうえでさらに条件が重なると、消火設備の基準そのものが変わります。
どんな条件が重なると変わるのか、条文で確認します。
危険物の規制に関する規則第三十三条第一項第六号 給油取扱所にあつては、令第十七条第二項第九号ただし書に該当する屋内給油取扱所のうち上部に上階を有するもの(以下この条において「一方開放型上階付き屋内給油取扱所」という。)又は顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(一方開放型上階付き屋内給油取扱所に該当するものを除く。以下この条において同じ。)
二つの形態が名指しで区分されています。
一つは、一方だけの開放で足りる特例を使い、さらにその建物の上に階を設けた「一方開放型上階付き屋内給油取扱所」です。
もう一つは、お客様自身がノズルを持って給油する「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」、いわゆるセルフ式です。
どちらも危険物の規制に関する規則第三十三条が定める「著しく消火困難な製造所等」に該当し、通常の屋内給油取扱所より重い消火設備の基準が課されます。

うちは上階もセルフでもないので関係ないですね。

その場合はこの上乗せの対象外です。
ただし将来増築するときは思い出してくださいね。

それぞれどんな消火設備を追加で設けるのか

第五種消火設備のみを配置する建物と第四種と第五種を配置するセルフ式の対比
著しく消火困難に区分された二つの形態は、どちらも消火設備を上乗せしなければなりません。
ただし上乗せされる設備の種類は形態によって異なります。
危険物の規制に関する規則第三十三条第二項第三号の二 一方開放型上階付き屋内給油取扱所にあつては、第五種の消火設備を、その能力単位の数値が建築物その他の工作物の所要単位の数値に達するように設けること。 第三号の三 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所にあつては、第四種の消火設備をその放射能力範囲が建築物その他の工作物及び危険物(第三種の消火設備により包含されるものを除く。)を包含するように設け、並びに第五種の消火設備をその能力単位の数値が危険物の所要単位の数値の五分の一以上になるように設けること。
一方開放型上階付きは第五種のみが追加されます。
一方開放型上階付き屋内給油取扱所では、消火器等の第五種の消火設備を、その能力単位の数値が建物の所要単位に達するまで追加することが求められます。
これに対しセルフ式は、大型消火器にあたる第四種の消火設備を建物と危険物の両方を包含するように設けたうえで、第五種の消火設備も危険物の所要単位の五分の一以上になるよう追加しなければなりません。
つまりセルフ式のほうが、種類も数も一段重い基準になっています。

同じ著しく消火困難でも、中身は全然違うんですね。

違います。
号ごとに指す設備が違うので、条文を号単位で確認してください。

同じ著しく消火困難でも設置基準が違うのはなぜか

上階付き建物の消火器マークとセルフ式の大型消火器と小型消火器のマークの対比
二つの形態がなぜ違う基準になるのか、理由は危険源の位置の違いにあります。
ここを混同すると、片方の基準だけ確認して安心してしまう落とし穴があります。
(再掲・略)危険物の規制に関する規則第三十三条第二項第三号の二 一方開放型上階付き屋内給油取扱所にあつては、第五種の消火設備を、その能力単位の数値が建築物その他の工作物の所要単位の数値に達するように設けること。 第三号の三 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所にあつては、第四種の消火設備をその放射能力範囲が建築物その他の工作物及び危険物を包含するように設け(略)、並びに第五種の消火設備を設けること(略)。
危険源の位置が違うために、備える設備も違います。
一方開放型上階付きは、建物そのものが延焼の経路になりやすいため、建物の所要単位に応じた消火能力があれば足ります。
一方、セルフ式は、お客様ご自身が給油作業を行うため、建物だけでなく給油中の危険物そのものにも消火設備の放射能力を届かせる必要があり、第四種という大型の設備まで求められます。
「著しく消火困難だから同じ設備を増やせばよい」という思い込みは誤りで、施設ごとに条文を個別に確認する必要があります。

危険物そのものに届かせるって、具体的にどういうことですか。

給油中の車両やノズル周りまで放射能力が及ぶ配置にすることです。
設備の設置図面で放射範囲を確認しましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者が屋内給油取扱所の消火設備をチェックリストで確認する様子
自分の施設がどちらの形態に当たるか、まず建物の構造から確認しましょう。
そのうえで、いま設置されている消火設備が基準を満たしているかを点検します。
  • 自分の屋内給油取扱所が二方開放か一方開放かをまず確認する
  • 一方開放型で上に階があれば、第五種消火設備の能力単位が建物の所要単位に達しているかを確認する
  • セルフ式であれば、第四種消火設備の放射能力範囲と第五種消火設備の能力単位(所要単位の五分の一以上)の両方を確認する
  • 不明な点は所轄消防署または㈱防災屋に相談する
危険物の規制に関する規則第三十三条第一項第六号・第二項第三号の二・第三号の三(前掲のとおり)を、自分の施設の図面と照らし合わせて確認することが実務上の第一歩になります。

図面を見直すところから始めればいいんですね。

そうです。
図面と現地の消火設備が一致しているかもあわせて見てください。

よくある質問

Q屋内給油取扱所は必ず二方を開放しなければならないのですか?
A原則はそうですが、総務省令で定める措置を講じれば一方の開放でも認められます。条件を満たさないまま一方だけを開放していると基準違反になります。
Q一方開放型上階付きとセルフ式は同時に当てはまることもありますか?
A条文上は別の形態として並べて規定されていますが、一方開放型で上階があり、かつセルフ式である施設もあり得ます。その場合は両方の要件を個別に満たす必要があります。
Q第四種の消火設備とは具体的に何を指しますか?
A大型消火器のことです。一般的な消火器にあたる第五種の消火設備より、放射能力の大きい設備として区分されています。
Q通常の二方開放の屋内給油取扱所には、この上乗せは不要ですか?
A二方開放でセルフ式でもない屋内給油取扱所であれば、この上乗せ規定の対象外です。ただし他の一般的な消火設備の基準は別途適用されます。

まとめ

屋内給油取扱所は原則、建物の一階の二方を自動車の出入りや通風・避難のための空地に面し、壁を設けないことになっている
総務省令で定める措置を講じれば、一方の開放だけで足りる特例がある
特例を使ってさらに上に階を持つ建物は「一方開放型上階付き屋内給油取扱所」と呼ばれる
顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフ式)も同じ区分に入る
一方開放型上階付きは第五種の消火設備を建物の所要単位に達するまで追加する
セルフ式は第四種の消火設備を建物と危険物の両方に届くように設け、第五種も追加する
自分の施設がどちらに当たるか分からないときは所轄消防署または㈱防災屋に確認する

うちの施設がどっちの形なのか、今日中に図面を確認します!

不明な点があれば現地の設備配置もあわせて確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条第二項第九号
  • 危険物の規制に関する規則第三十三条第一項第六号・第二項第三号の二・第三号の三
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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