貯蔵する危険物の最大数量が500キロリットル以上1000キロリットル未満の屋外貯蔵タンクは、準特定屋外貯蔵タンクとして特定屋外貯蔵タンクとは別の構造基準に従います。
特定屋外貯蔵タンクの構造基準が側板の溶接方法まで細かく定めるのに対し、準特定屋外貯蔵タンクの基準は鋼板の厚さと応力の数値だけで安全性を確保する仕組みです。
基準は主荷重・従荷重に対する安全性、鋼板の厚さ、側板の応力、保有水平耐力の4点で構成されています。
この記事では、準特定屋外貯蔵タンクの構造基準がどんな条文で定められているのかを順番に整理します。
特定屋外貯蔵タンクと準特定屋外貯蔵タンクで、基準がそんなに違うんですか。
はい、貯蔵量が少ない分、数値基準だけで済むようになっています。
うちのタンクがどちらに当たるのか、正直よく分かりません。
はい、条文の号ごとに一つずつ見ていきましょう。
- 準特定屋外貯蔵タンクは、自重・貯蔵する危険物の重量等の主荷重と積雪・風・地震等の従荷重による応力及び変形に対して安全でなければなりません。
- 鋼板の厚さは3.2ミリメートル以上であることが必要です。
- 側板に生じる常時の円周方向引張応力・地震時の軸方向圧縮応力は、いずれも告示で定める許容応力以下でなければなりません。
- 保有水平耐力は地震の影響による必要保有水平耐力以上であることが求められます。
- 特定屋外貯蔵タンクに課される溶接部の試験は準特定屋外貯蔵タンクには適用されないため、該当するかどうか不明な場合は所轄消防署へ確認してください。
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目次
準特定屋外貯蔵タンクにはどんな構造の安全性が求められるか

特定屋外貯蔵タンクと同じ考え方が土台になっています。
規則第二十条の四の二第一項により、自重・貯蔵する危険物の重量・内圧・温度変化等の主荷重に加え、積雪荷重・風荷重・地震の影響等の従荷重にも耐える必要があります。
この考え方は特定屋外貯蔵タンクの構造基準と共通していますが、この先の第二項で求められる中身は、特定屋外貯蔵タンクよりずっと簡易な数値基準になっています。
まずは大前提として、複数の荷重を同時に受けるという点を押さえてください。
雪や風、地震まで全部まとめて考えるんですね。
はい、主荷重と従荷重の両方が対象です。
次は鋼板の厚さを見ましょう。
鋼板の厚さには最低何ミリメートルの基準があるのか

数値がそのまま条文に書かれています。
規則第二十条の四の二第二項第一号は、厚さ3.2ミリメートル以上という一文だけのシンプルな基準です。
特定屋外貯蔵タンクのように告示で定める規格の鋼板を使う義務までは課されていません。
まずはこの最低厚さを満たしているかどうかが、最初の確認ポイントです。
思ったよりシンプルな基準なんですね。
はい、厚さの数値一つで済みます。
次は側板に生じる応力を見ましょう。
側板に生じる応力にはどんな上限があるのか

二種類の応力が対象です。
第二号では、常時タンクの内圧等で側板の円周方向にかかる円周方向引張応力を、第三号では、地震時に側板の高さ方向にかかる軸方向圧縮応力を、それぞれ告示の許容応力以下に収める必要があります。
具体的な数値そのものは規則本体ではなく告示に委ねられていますが、常時と地震時の二つの場面を分けて確認する構造になっている点がポイントです。
普段の力と地震のときの力を、別々に見るんですね。
はい、常時と地震時の両方を確認します。
次は保有水平耐力を見ましょう。
保有水平耐力はなぜ確認しなければならないのか

特定屋外貯蔵タンクとの違いが最も出るところです。
第四号により、保有水平耐力は地震の影響による必要保有水平耐力以上であることが求められ、両者の計算方法も告示で定められています。
特定屋外貯蔵タンクには側板の溶接部について放射線透過試験等の検査が課されますが、この検査は特定屋外貯蔵タンクだけの基準で、準特定屋外貯蔵タンクには課されません。
準特定屋外貯蔵タンクは、厚さ・応力・保有水平耐力という数値の確認だけで安全性を担保する仕組みになっています。
溶接部の検査までは求められないんですね。
はい、数値基準の確認だけで足ります。
最後に確認の手順をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

まずは自分のタンクの区分を確認してください。 タンクの銘板や完成検査済証で、貯蔵する危険物の最大数量が500キロリットル以上1000キロリットル未満かどうかを確認してください。
準特定屋外貯蔵タンクに当たる場合は、構造計算書に鋼板の厚さ・側板の応力・保有水平耐力の数値が残っているかを確認してください。
1000キロリットル以上の特定屋外貯蔵タンクに区分が変わる場合は、溶接部の試験など追加の基準が必要になる点にも注意してください。
記録が見当たらない場合や区分に迷う場合は、施工業者や所轄消防署に確認することをお勧めします。
まずは自分のタンクの貯蔵量と銘板を確認してみます。
それが一番確実です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
準特定屋外貯蔵タンクの基準がよく分かりました。
早速確認します。
まずはタンクの貯蔵量と鋼板の厚さの記録の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第三号の三・第五号
- 危険物の規制に関する規則第二十条の四の二(準特定屋外貯蔵タンクの構造)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





