危険物を運搬するときは、容器を覆う被覆が求められる場合があります。
日光や雨水、温度、衝撃など、危険物の性質によって必要な措置は変わります。
どの危険物にどの措置が必要かを取り違えると、運搬中の事故につながりかねません。
遮光性・防水性・保冷・衝撃防止それぞれの適用範囲と、実務での確認方法を解説します。
うちでもドラム缶を運搬するとき、ブルーシートをかけていますが、あれで正しいんでしょうか。
実は危険物の性質によって必要な被覆の種類が変わります。
規則には4つの措置が定められています。
4つもあるんですか。
全部覚えられるか不安です。
遮光性・防水性・保冷・衝撃防止の4つです。
順番に見ていきましょう。
- 危険物の運搬では、日光の直射や雨水の浸透を防ぐための被覆等の措置が義務付けられています(政令第29条第5号)
- 遮光性の被覆が必要なのは、第一類・自然発火性物品・第四類の特殊引火物・第五類・第六類の危険物です
- 防水性の被覆が必要なのはアルカリ金属の過酸化物・鉄粉等・禁水性物品で、55度以下で分解するおそれのある第五類の危険物は保冷コンテナで温度管理します
- 液体の危険物や危険等級Ⅱの固体を機械荷役の容器で運ぶときは衝撃等を防止する措置が必要です(規則第45条第4項)
- フレキシブル・ファイバ板製・木製の運搬容器を使う場合は、衝撃防止の措置は不要になります
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目次
危険物を運搬するとき被覆はなぜ必要になるのか

まずは根拠となる条文を確認します。
総務省令で定める危険物は、日光の直射又は雨水の浸透を防ぐため有効に被覆する等当該危険物の性質に応じて総務省令で定める措置を講じて積載すること。
「被覆する等」とあるとおり、対象は遮光や防水の被覆だけでなく、保冷や衝撃防止まで含みます。
どの措置が必要かは、危険物の類や性質ごとに規則が具体的に定めています。
本記事では、規則第45条が定める4つの措置を順番に確認します。
被覆イコール雨よけだと思っていました。
実は遮光・防水・保冷・衝撃防止の4種類があります。
まずは遮光性の被覆から見ていきましょう。
どの危険物に遮光性の被覆が必要になるのか

条文で対象を確認します。
令第29条第5号の規定により、第一類の危険物、自然発火性物品、第四類の危険物のうち特殊引火物、第五類の危険物又は第六類の危険物は、日光の直射を避けるため遮光性の被覆で覆わなければならない。
これらは日光にさらされると分解や発熱、発火につながりやすい性質を持つため、遮光という形で光を遮ることが求められます。
同じ第四類でも、特殊引火物以外(ガソリンや灯油など)はこの号の対象になりません。
自分が扱う危険物が第一類・自然発火性物品・特殊引火物・第五類・第六類のいずれかに当たるかを、まず確認してください。
第四類なら全部遮光が必要だと思っていました。
特殊引火物だけが対象なので注意が必要です。
次は防水性の被覆と保冷を見ていきましょう。
防水性の被覆と保冷コンテナはどちらに必要になるのか

条文を確認します。
令第29条第5号の規定により、第一類の危険物のうちアルカリ金属の過酸化物若しくはこれを含有するもの、第二類の危険物のうち鉄粉、金属粉若しくはマグネシウム若しくはこれらのいずれかを含有するもの又は禁水性物品は、雨水の浸透を防ぐため防水性の被覆で覆わなければならない。
第3項
令第29条第5号の規定により、第五類の危険物のうち55度以下の温度で分解するおそれのあるものは、保冷コンテナに収納する等適正な温度管理をしなければならない。
防水性の被覆は水に触れると発熱発火する性質を持つ危険物が対象で、雨水の浸透そのものを防ぎます。
保冷コンテナは55度以下という具体的な温度で分解するおそれのある第五類の危険物が対象で、被覆ではなく温度管理という手段になります。
両方に該当する危険物は無いため、まず自分の危険物がどちらの区分かを見極めることが出発点です。
被覆じゃなくて温度管理という措置もあるんですね。
はい、55度という数字が判断の目安になります。
次は衝撃防止の措置を確認しましょう。
衝撃防止の措置はどんな容器なら不要になるのか

条文で対象と例外を確認します。
令第29条第5号の規定により、液体の危険物又は危険等級Ⅱの固体の危険物を機械により荷役する構造を有する運搬容器に収納して積載する場合には、当該容器に対する衝撃等を防止するための措置を講じなければならない。
ただし、危険等級Ⅱの固体の危険物をフレキシブルの運搬容器、ファイバ板製の運搬容器及び木製の運搬容器以外の運搬容器に収納して積載する場合は、この限りでない。
ただし書きは分かりにくい書き方ですが、整理するとフレキシブル・ファイバ板製・木製の運搬容器を使う場合は対象外になるという意味です。
「機械で運ぶドラム缶にはとにかく緩衝材が必要」と思い込むと、この例外を見落としがちです。
容器の種類まで確認しないと、必要な措置を過不足なく判断できません。
ただし書きがあるの、見落としそうです。
容器の材質まで見るのがポイントです。
最後に確認事項をまとめます。
明日から運搬前に何を確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。 まず、運搬する危険物が第一類・自然発火性物品・第四類の特殊引火物・第五類・第六類のいずれかに当たるかを確認し、当たるなら遮光性の被覆をかけてください。
次にアルカリ金属の過酸化物・鉄粉等・禁水性物品であれば防水性の被覆を、55度以下で分解するおそれのある第五類であれば保冷コンテナでの温度管理を確認します。
最後に、機械で荷役する構造の容器を使う液体や危険等級Ⅱの固体は、容器がフレキシブル・ファイバ板製・木製かどうかを見て、対象外でなければ衝撃防止の措置を講じます。
どの区分にも当てはまらない場合や判断に迷う場合は、積み込み前に所轄消防署へ相談することをおすすめします。
4つの区分を順番に確認してみます!
遮光・防水・保冷・衝撃防止の順に確認してみてください。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
分かりました、4つの措置を積み込み前に確認します!
容器の材質や温度の判断に迷ったら早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第29条第5号
- 危険物の規制に関する規則第45条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





