建物の敷地に壁のない開放的な通路や車庫を作ると、建築面積の扱いが変わることがあります。
すべての開放的な構造が対象になるわけではありません。
国土交通大臣が指定する条件を満たして初めて、建築面積の一部が除かれます。
どんな構造が対象になり、どこまで建築面積から除かれるのかを解説します
うちの事務所の入口に、壁のない屋根付きの車寄せを作ろうと思っているんですが。
これも建築面積に入ってしまうんでしょうか。
壁のない開放的な構造なら、建築基準法施行令第二条第一項第二号のただし書で一部が建築面積から除かれることがあります。
まず基本のルールから見ていきましょう。
うちの車寄せは屋根と柱があるだけなので、全部除かれると思っていました。
実は条件を満たした構造だけが対象です。
次はその条件を確認していきましょう。
- 建築面積は本来、外壁又は柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によりますが、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造については、端から水平距離一メートル以内の部分を建築面積に算入しません。
- 対象になる構造の条件は平成五年建設省告示第千四百三十七号の四つの要件で決まります。
- 除かれるのはあくまで端から一メートル以内の部分だけで、それより奥は通常どおり建築面積に算入されます。
- 建築面積の不算入は建蔽率の算定に効くだけで、容積率の基礎になる床面積は別の号(第三号)で決まります。
- 告示の要件には地階を除く階数が一であることが含まれるため、多層階の開放廊下は対象にならないことが多いです。
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目次
壁のない開放的な構造はなぜ建築面積に含まれないのか

ところが壁のない開放的な構造には、例外の規定が用意されています。
原則として建築面積は外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で決まります。
ただし国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造については、端から水平距離一メートル以内の部分が建築面積に算入されません。
壁のない車庫や通路であれば何でも当てはまるわけではなく、指定された構造でなければこの例外は使えません。
次は、どんな構造がこの指定を受けられるのかを見ていきましょう。
うちの車寄せ、壁は無いんですが、この例外に当てはまるかどうか分かりません。
四つの条件を満たすかどうかで決まります。
次はその条件を確認していきましょう。
どんな構造なら告示の指定を受けられるのか

四つの条件をすべて満たす必要があります。
一つ目は外壁を有しない部分が連続して四メートル以上あることです。
二つ目は柱の間隔が二メートル以上、三つ目は天井の高さが二・一メートル以上であることです。
四つ目は地階を除く階数が一であることで、平屋や単独の開放構造に限られる条件です。
四つのうち一つでも欠けると、この告示に基づく建築面積の不算入は使えません。
次は、実際にどこまで建築面積から除かれるのかを見ていきましょう。
四つも条件があるんですね。
柱の間隔まで見られるとは思いませんでした。
はい、一つでも欠けると対象外です。
次は除かれる範囲を確認していきましょう。
実際にどこまで建築面積から除かれるのか

除かれる範囲には距離の上限があります。
- 建築面積から除かれるのは、あくまで端から水平距離一メートル以内の部分だけです。
- 一メートルを超えて奥まで続く部分は、通常どおり柱の中心線を基準にした建築面積に算入されます。
- 開放的な構造の奥行きがもともと一メートル以下であれば、その部分は全体が建築面積に含まれないことになります。
一メートルを超える奥行きがある車庫や通路では、手前の一メートルだけが建築面積から除かれ、残りの奥の部分は通常どおり算入されます。
逆に奥行きが一メートル以下の開放的な庇や車寄せは、全体が建築面積に含まれないことになります。
設計段階でこの境界を意識しておくと、建蔽率の計算で無駄な余裕を見込まずに済みます。
次は、混同しやすい別の見落としどころを見ていきましょう。
手前の一メートルだけなんですね。
全部除かれると思っていました。
はい、一メートルまでが対象です。
次はよく見落とす関連ポイントを見ていきましょう。
階数や容積率との関係でどこを見落としやすいか

見落としやすい点が二つあります。
そのため二階建て以上の共同住宅などで各階に共通して設けられている開放廊下は、通常この告示の対象になりません。
また、建築面積が減っても容積率の基礎になる延べ面積が自動的に有利になるわけではありません。
延べ面積を構成する床面積は壁その他の区画の中心線という別の基準(第三号)で決まるためです。
建蔽率の計算と容積率の計算は別の号にまたがることを、切り分けて確認してください。
うちはマンションの各階に共用廊下があるんですが、これも対象になりますか。
階数が一の部分に限られるので、通常は対象になりません。
次は実務での確認手順を見ていきましょう。
実務ではどう確認すればよいのか

四つの条件を一つずつ照合していく作業です。
- 開放構造の外壁を有しない部分の連続する長さが四メートル以上あるかを図面で確認する。
- 柱の間隔が二メートル以上、天井の高さが二・一メートル以上あるかを実測する。
- その構造が地階を除く階数一の建築物又はその部分に当たるかを確認する。
- 四つの条件を満たしていれば、端から水平距離一メートル以内の部分を除いて建蔽率を計算する。
- 判断に迷う場合は、設計者や所轄の特定行政庁に相談しておく。
柱の間隔や天井の高さは設計段階の数値だけでなく、竣工後の現場でも実測しておくと安心です。
建蔽率の計算に使う前に、端から水平距離一メートルという範囲を図面上で明示しておくと、後から確認する側にも伝わりやすくなります。
判断に迷う構造があれば、確認申請の前に相談しておくと手戻りを防げます。
うちの車寄せ、柱の間隔を測ってみます。
はい、四つの条件を順番に確認してみてください。
気になる構造があれば図面から確認してみてください。
よくある質問
まとめ
うちの車寄せ、四つの条件を満たすか一度チェックしてみます!
建築面積の確認を含むご相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第二条第一項第二号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第二条第一項第三号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第二条第一項第二号の規定に基づく国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造(平成五年六月二十四日建設省告示第千四百三十七号)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





