立入検査で天井を見上げられてこの部屋は感知器が足りませんと言われることがあります。
感知器は部屋の広さに関係なく一個あればよいというものではありません。
どれだけの床面積につき一個置くかは消防法施行規則が表で定めていて、同じ広さでも建物の構造で数が変わります。
この記事では感知器の個数の決め方を条文から読み解きます。
広い会議室に感知器が一個しか付いていないんです。
これで足りているのか自分では判断できません。
そこは床面積で決まります。
消防法施行規則には何平方メートルにつき一個以上という表が置かれているんです。
隣のビルは同じくらいの部屋なのに感知器が多いんですよ。
あれはどうしてなんでしょうか。
建物の構造が違うのかもしれません。
耐火構造かどうかで一個が受け持てる床面積が変わります。
- 感知器は感知区域ごとに規則の表で定める床面積につき一個以上を設ける
- 同じ広さの部屋でも建物が耐火構造かどうかで必要な個数は変わる
- 取付け面の高さが4メートル未満なら差動式スポット型二種は耐火構造で70平方メートルその他の構造で40平方メートルにつき一個以上
- 煙感知器の一種と二種は取付け面の高さが4メートル未満なら150平方メートルにつき一個以上でよい
- 廊下と通路は歩行距離30メートル階段と傾斜路は垂直距離15メートルにつき一個以上とする
▼

目次
感知器の数はなにを基準にして決めているのか

消防法施行規則が置き方の単位と数え方を正面から定めています。
感知区域とは壁や取付け面から突き出したはり等で区画された部分のことで、一つの部屋が天井のはりで二つに分かれることもあります。
その感知区域ごとに、感知器の種別と取付け面の高さに応じた床面積を見て、その面積につき一個以上の個数を置きます。
つまり広い感知区域ほど必要な数が増える仕組みで、定められた床面積を上回る部分が残るならその分にも感知器が要ることになります。
自分の建物で数を確かめるときは、まず天井を見上げてはりの位置を押さえるところから始めてください。
部屋の広さではなくはりで区切った部分ごとなんですね。
天井を意識して見たことがありませんでした。
そこが出発点になります。
区域が分かれていれば、それぞれに感知器が要ることになります。
建物が耐火構造かどうかで置く数はどう変わるのか

上の段が耐火構造の建物、下の段がその他の構造の建物です。
同じ差動式スポット型二種でも、耐火構造なら70平方メートルにつき一個、その他の構造なら40平方メートルにつき一個です。
条文に理由までは書かれていませんが、耐火構造の建物とそうでない建物とで基準を分けた表になっています。
下の表は取付け面の高さが4メートル未満の欄をまとめたものです。
| 感知器の種別 | 耐火構造とした部分 | その他の構造の部分 |
|---|---|---|
| 差動式スポット型一種 | 90平方メートル | 50平方メートル |
| 差動式スポット型二種 | 70平方メートル | 40平方メートル |
| 定温式スポット型特種 | 70平方メートル | 40平方メートル |
| 定温式スポット型一種 | 60平方メートル | 30平方メートル |
| 定温式スポット型二種 | 20平方メートル | 15平方メートル |
同じ部屋でも構造で個数が倍近く違うんですね。
隣のビルが多かった理由が分かった気がします。
建物の構造は確認申請の書類で分かります。
手元に無ければ点検を頼んでいる業者に聞いてみてください。
煙感知器は熱感知器より広い範囲を受け持てるのか

そちらは構造による上下段の区別がありません。
取付け面の高さが4メートル未満なら、一種と二種は150平方メートルにつき一個以上で足ります。
耐火構造の建物に差動式スポット型二種を置いた場合の70平方メートルと比べると、およそ二倍の広さを受け持てる計算です。
一方で三種は50平方メートルと一気に狭くなり、四メートル以上二十メートル未満の高さでは一種と二種でも75平方メートルになります。
天井の感知器が少なく見えるときは、それが煙感知器なのか熱感知器なのかを先に確かめてください。
つまり感知器が少ない部屋は煙感知器かもしれないということですね。
種類まで見ていませんでした。
点検報告書に感知器の種別と個数が書かれています。
そこを見れば表と突き合わせられます。
廊下や階段はなぜ床面積で数えないのか

細長い場所は面積で数えても実態に合わないためで、代わりに距離で数えます。
廊下と通路は歩行距離30メートルにつき一個以上で、三種の感知器なら20メートルにつき一個以上です。
階段と傾斜路は垂直距離15メートルにつき一個以上で、三種なら10メートルにつき一個以上になります。
さらに特定一階段等防火対象物の階段では一種か二種の感知器を垂直距離7.5メートルにつき一個以上とされていて、通常の半分の間隔で置くことが求められます。
避難経路になる場所ほど密に置く決まりになっている、と読むと分かりやすくなります。
階段の感知器は数えたことがありませんでした。
踊り場ごとに付いているわけではないんですね。
階数ではなく高さで数えるところが独特です。
階段室の途中で天井の感知器を探してみてください。
明日からなにを確かめればよいのか

煙感知器には取付けの位置についての細かい決まりも置かれています。
内装工事でパーテーションを立てたり天井を張り替えたりすると、感知区域が増えたり感知器が天井の裏に隠れたりします。
工事の前後で感知器の位置が変わっていないかを図面と見比べ、増えた区域には感知器が足されているかを確かめます。
そのうえで点検報告書の感知器の種別と個数の欄を開き、この記事の表の床面積と突き合わせておくと、立入検査で聞かれても答えられます。
判断に迷う場合は所轄消防署か点検を頼んでいる業者に、感知区域の割り方から相談してみてください。
去年パーテーションを増やした部屋があります。
そこを図面と見比べてみます。
そこがいちばん指摘の出やすいところです。
気づいた時点で手を打てば工事も小さく済みます。
よくある質問
まとめ
感知器の数にもきちんと根拠があったんですね。
今度の点検までに感知区域の割り方を確かめます。
そこまで見ておけば立入検査でも落ち着いて答えられます。
感知器の配置や点検のことでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第二号
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第三号イ・ロ
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第七号イからニまで
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第七号ホ・ヘ
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





