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自動火災報知設備の配線はなぜ行って戻る形になっているのか|消防法施行規則が定める送り配線と共通線の基準を解説

感知器につながる配線はなぜ行って戻るのかというタイトルと天井の感知器と点検口から見える配線の写真

立入検査で天井の感知器を見上げられたときその先の配線まで気にする方は多くありません。
けれども自動火災報知設備は感知器と受信機が線でつながってはじめて働く設備です。
配線のつなぎ方は消防法施行規則が細かく決めていて点検で断線が見つかる仕組みもそこから来ています。
この記事では自動火災報知設備の配線の決まりを条文から読み解きます

点検の報告書に導通試験という欄があるんですけど。
あれはいったい何を確かめているんでしょうか。

感知器までの線がつながっているかを見ています。
自動火災報知設備の配線は行って戻る形にすることが省令で決まっているんです。

去年テナントの電気工事をしたんですが。
そのとき自火報の線も一緒に触られていないか気になります。

そこは大事なところです。
自火報の電線を他の電線と同じ管に入れることは規則で禁じられています。

この記事の結論
  • 感知器の信号回路は送り配線にして回路の末端に発信機か押しボタンか終端器を設ける
  • 配線が外れたときや断線したときに受信機が自動で警報を発するものは送り配線にしなくてよい
  • 感知器回路の共通線は一本につき七警戒区域以下にする
  • P型受信機とGP型受信機の感知器回路の電路の抵抗は五十オーム以下にする
  • 自火報の電線とその他の電線は同じ管やダクトの中に設けてはならない

自動火災報知設備の配線で見られる四つの決まりをまとめた図解

感知器の信号回路はどんなつなぎ方をしているのか

受信機から感知器を順につないで末端に終端器を設けた送り配線のイメージ
自動火災報知設備は天井の感知器と受信機を線でつないだ設備です。
そのつなぎ方は消防法施行規則が正面から定めています。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号イ 感知器の信号回路は、容易に導通試験をすることができるように、送り配線にするとともに回路の末端に発信機、押しボタン又は終端器を設けること
配線は枝分かれさせず一本道にします
送り配線とは感知器を順に通って回路の末端まで一本でつなぐ配線の方法で、途中で分岐させません。
一本道なので、どこか一か所でも線が外れれば末端まで電気が届かなくなります。
その末端に発信機か押しボタンか終端器を置いておけば、受信機の側から回路全体がつながっているかを確かめられます。
点検の導通試験はこの仕組みを使って、感知器までの線が生きているかを回線ごとに見ています。

一本道だから途中が切れたら分かるということですか。
枝分かれしていたら気づけないんですね。

そのとおりです。
末端まで一本でつないであるからこそ、受信機から一度に導通を確かめられます。

送り配線にしなくてよい設備はあるのか

配線が断線したときに受信機が自動で警報を発する設備のイメージ
送り配線は導通試験をするための決まりです。
そのため同じ号には、試験をしなくても済む場合のただし書が置かれています。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号イ (略)ただし、配線が感知器若しくは発信機からはずれた場合又は配線に断線があつた場合に受信機が自動的に警報を発するものにあつては、この限りでない
断線をひとりでに知らせる設備なら例外です
配線が外れたときや断線したときに、受信機が自動的に警報を発するものはただし書に当たります。
この場合は送り配線にする必要も、回路の末端に終端器を置く必要もありません。
常に線の状態を見張っている仕組みなので、人が導通試験をしなくても異常が分かるからです。
自分の建物がどちらなのかは、点検票の導通試験の欄に記入があるかどうかで見当が付きます。

うちの点検票には導通試験の記入がありました。
ということは送り配線のほうということですね。

その可能性が高いです。
点検業者に受信機の種別とあわせて確かめておくと確実です。

共通線は何回線までまとめてよいのか

一本の共通線に七つの警戒区域までをまとめる配線のイメージ
感知器回路の線を一本ずつ受信機まで引くと本数が膨らみます。
そこで戻り側をまとめる共通線が使われますが、まとめられる数には上限があります。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号ヘ 感知器回路の配線について共通線を設ける場合の共通線は、一本につき七警戒区域以下とすること。ただし、R型受信機及びGR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器又は中継器が接続される感知器回路にあつては、この限りでない。
共通線は一本で七警戒区域までです
警戒区域とは、火災の発生した区域を他の区域と区別して識別できる最小単位の区域のことです(消防法施行令第21条第2項第一号)。
共通線を一本にまとめすぎると、その線が切れたときに巻き添えになる範囲が広がるので上限が置かれています。
同じ号のトは、P型受信機とGP型受信機の感知器回路の電路の抵抗を五十オーム以下にすることも求めています。
増築や間仕切りの変更で警戒区域が増えたときは、共通線の本数が足りているかも確かめる必要があります。

警戒区域が増えたら線を足すこともあるんですね。
感知器を付けるだけでは済まないわけですか。

そのとおりです。
八つ目の警戒区域が増えれば共通線をもう一本引くことになります。

自火報の配線を他の電線と同じ管に通してよいのか

自動火災報知設備の電線と他の電線を同じ管に入れてはいけないことを示すイメージ
ここが内装工事や電気工事のあとに問題になりやすいところです。
規則は自火報の電線を他の電線と分けることをはっきり求めています。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号ニ 自動火災報知設備の配線に使用する電線とその他の電線とは同一の管、ダクト(略)若しくは線ぴ又はプルボックス等の中に設けないこと。ただし、六十ボルト以下の弱電流回路に使用する電線にあつては、この限りでない。
自火報の線は他の線と同居させません
同じ管やダクト、線ぴ、プルボックスの中に他の電線を通すと、この号に触れます。
ほかの電線から誘導を受けて、火災でもないのに信号が乱れることを防ぐためです。
ただし60ボルト以下の弱電流回路の電線は例外とされていて、絶縁効力のあるもので仕切ったダクトは別のダクトとみなされます。
同じ号のハは、自火報以外の設備の回路と同一の配線を共用する回路方式を用いないことも定めています。

工事のときに配線をまとめられてしまうことがありそうです。
竣工のあとでは分かりませんよね。

工事の前に自火報の配線があることを伝えておくのが確実です。
電気工事の図面に自火報の管を書き入れてもらうとよいでしょう。

点検報告書のどこを見れば配線の状態がわかるのか

絶縁抵抗計と点検報告書で配線の状態を確かめるイメージ
配線の良し悪しは目で見ても分かりません。
そのため規則は測って確かめる数値を決めています。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号ロ 電源回路と大地との間及び電源回路の配線相互の間の絶縁抵抗は、直流二百五十ボルトの絶縁抵抗計で計つた値が、電源回路の対地電圧が百五十ボルト以下の場合は〇・一メガオーム以上、電源回路の対地電圧が百五十ボルトを超える場合は〇・二メガオーム以上であり、感知器回路(略)及び附属装置回路(略)と大地との間並びにそれぞれの回路の配線相互の間の絶縁抵抗は、一の警戒区域ごとに直流二百五十ボルトの絶縁抵抗計で計つた値が〇・一メガオーム以上であること
点検票の絶縁抵抗の数値を見てください
感知器回路の絶縁抵抗は一の警戒区域ごとに0.1メガオーム以上と決められています。
電源回路のほうは対地電圧が150ボルト以下なら0.1メガオーム以上、150ボルトを超えるなら0.2メガオーム以上です。
測るのは直流250ボルトの絶縁抵抗計で、その結果は点検報告書に残ります。
明日からは点検報告書を開いて、導通試験と絶縁抵抗の欄に記入があるかどうかを確かめてみてください。

報告書は受け取るだけで中まで見ていませんでした。
導通試験と絶縁抵抗の欄を見てみます。

そこが配線の健康診断にあたる部分です。
数値が基準を下回っていれば早めに手を打てます。

よくある質問

Q送り配線の末端にある終端器とはどんなものですか?
A回路の終わりに取り付ける小さな抵抗器です。消防法施行規則第24条第一号イは、末端に発信機か押しボタンか終端器を設けることを求めています。受信機の側から電流を流したときに終端器まで届くかどうかで、回路がつながっているかが分かります。
Q共通線を八つの警戒区域でまとめてもよいですか?
Aできません。消防法施行規則第24条第一号ヘは共通線を一本につき七警戒区域以下と定めています。ただしR型受信機とGR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器や中継器の回路は、このただし書で除かれています。
Q弱電流の電線なら自火報と同じ管に入れてよいのですか?
A消防法施行規則第24条第一号ニのただし書は、60ボルト以下の弱電流回路に使用する電線を例外としています。それ以外の電線は同じ管やダクト、線ぴ、プルボックスの中に設けられません。
Q絶縁抵抗はどれくらいの間隔で測るものですか?
A消防用設備等の点検は、種類と点検内容に応じて一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとされています(消防法施行規則第31条の6第1項)。絶縁抵抗の測定はこの点検の中で行われ、結果は点検報告書に残ります。前回の数値と比べて下がっていないかを見ておくと変化に気づけます。

まとめ

感知器の信号回路は送り配線にして、回路の末端に発信機か押しボタンか終端器を設ける
送り配線は容易に導通試験をすることができるようにするための決まりである
配線が外れたときや断線したときに受信機が自動的に警報を発するものはただし書で除かれる
感知器回路の共通線は一本につき七警戒区域以下にする
P型受信機とGP型受信機の感知器回路の電路の抵抗は五十オーム以下にする
自火報の電線とその他の電線は同一の管やダクトや線ぴやプルボックスの中に設けない
感知器回路の絶縁抵抗は一の警戒区域ごとに0.1メガオーム以上とし直流250ボルトの絶縁抵抗計で測る

配線にもこれだけ決まりがあるとは知りませんでした。
次の点検では導通試験の欄をちゃんと見ます。

その一手間で建物の状態がぐっと見えるようになります。
配線や点検のことでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号イ・ロ
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号ハ・ニ
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第一号ヘ・ト
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条第2項
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6第1項
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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