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火災通報装置は届出をすれば任意設置でも認められるのか|点検基準と自動火災報知設備との連動の判断を解説

旅館のフロント脇に設置された火災通報装置を写した写真

火災通報装置は、設置が義務づけられた建物だけでなく、届出をすれば任意に置くこともできる設備です。
ただし「届出さえすればどこでもよい」というわけではなく、設置場所や点検の頻度には細かな条件があります。
根拠になっているのは平成8年に出され、令和2年にも改正された1本の通知です。
この記事では、任意設置が認められる条件と点検・連動の基準を整理して解説します。

うちは義務設置じゃないんですけど、火災通報装置を置きたいときはどうしたらいいんですか。

消防機関への届出をすれば、任意設置として認められます。
ただし常時人のいる場所への設置が条件です。

点検はどのくらいの頻度でやればいいんでしょうか。

外観点検は6ヶ月に1回、総合・機能点検は1年に1回が目安です。
点検は甲種第4類の消防設備士などに任せてください。

この記事の結論
  • 火災通報装置は義務対象でなくても、届出をすれば任意に設置できます。
  • 任意設置の場所は常時人のいる防災センター等に限られます。
  • 点検は外観6ヶ月に1回・総合機能1年に1回が目安です。
  • 点検実施者は甲種第4類の消防設備士又は第2種の消防設備点検資格者に限られます。
  • 自動火災報知設備との連動の可否は消防機関が判断し、連動停止スイッチは専用のものが条件です。

火災通報装置の設置基準の確認、任意設置の届出、点検の実施、連動は消防判断という四つの手順を示す図解

火災通報装置はなぜ指導通知でまとめられたのか

火災通報装置と電話回線でつながる消防署を示すイラスト
火災通報装置は平成8年の消防法施行令改正で正式に位置付けられた設備です。
運用の細かなルールは、その後にまとめられた1本の通知に集約されています。
火災通報装置の設置に係る指導・留意事項について(通知) 平成8年8月19日消防予第164号(改正:令和2年12月25日消防予第412号) 火災通報装置については、平成8年2月16日に改正された消防法施行令及び消防法施行規則において、消防機関に通報する火災報知設備として位置付けられたところであり、今般、火災通報装置の設置に係る指導事項及び火災通報装置に係る運用上の留意事項について、下記のようにとりまとめたので、その運用に遺漏のないよう配慮されたい。
火災通報装置はもともと任意設置も想定した設備です。
平成8年2月の政令改正で、消防機関へ通報する火災報知設備の一種として法令上に位置付けられました。
その運用のよりどころとして先に出ていたのが22号通知でしたが、実務で生じる細かな疑問には答えきれていませんでした。
そこで半年後の平成8年8月に、設置の指導事項と運用上の留意事項を一本化した164号通知が出されました。
この通知は令和2年12月の押印・書面規制の見直しでも改正され、今も現行の通知として使われています。
まずは、この通知がどんな場面で効いてくるのかを見ていきます。

もう30年近く前の通知なのに、今でも使えるものなんですか。

はい、令和2年にも改正されていて今も現行の通知です。
中身も今の実務にそのまま使えます。

火災通報装置は任意設置ならどこでも置いてよいのか

旅館の防災センターに設置された火災通報装置と、無人の廊下に設置された火災通報装置を並べたイラスト
火災通報装置は、設置が義務づけられた建物だけの設備ではありません。
任意で置きたい場合にも、通知は満たすべき条件を示しています。
任意に火災通報装置を設置する防火対象物の関係者に対しては、あらかじめ消防機関へ届出を行うよう指導すること(別記様式参照)。任意に設置された火災通報装置(以下「任意設置火災通報装置」という。)は、旅館・ホテル等並びに社会福祉施設等の防災センター等(防災センター、中央管理人室、守衛室その他これらに類する場所で常時人のいる場所に限る。)に設置すること。なお、常時人のいる場所が2箇所以上となる場合には、任意設置火災通報装置の遠隔起動装置をそれぞれの場所に設置することが望ましいこと。
消防法施行令第23条 消防機関へ通報する火災報知設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする(第1項)。同項各号に掲げる防火対象物(一部の用途を除く。)に消防機関へ常時通報することができる電話を設置したときは、火災報知設備を設置しないことができる(第3項)。
任意設置は義務ではなく、届出をしてはじめて認められる仕組みです。
消防法施行令第23条が定める義務対象以外の建物でも、火災通報装置を置くこと自体は制限されていません。
ただし通知は、任意設置を届出制にしたうえで、常時人のいる場所への設置を条件にしています。
旅館やホテル、社会福祉施設の防災センター、中央管理人室、守衛室などがこれにあたります。
誰もいない廊下や倉庫に単独で取り付けても、通知が求める設置場所の条件は満たせません。
まずは自分の建物のどこが「常時人のいる場所」にあたるかを確認することが出発点になります。

うちのフロントも守衛室みたいなものですけど、そこに付けてもいいんですか。

常時人がいる場所であれば設置場所として問題ありません。
まずは消防機関への届出から進めてください。

火災通報装置の点検はどの頻度で行えばよいのか

火災通報装置と外部試験装置を接続して点検する様子のイラスト
任意設置の火災通報装置も、いざというときに作動しなければ意味がありません。
通知は点検の種類と頻度、点検する人の資格まで具体的に示しています。
別添1 任意設置火災通報装置の点検上の留意事項 点検は、外観点検と総合・機能点検に分けて実施するものとすること。点検の期間は、概ね次のとおりとすること。(1)外観点検 6ヶ月に1回以上 (2)総合・機能点検 1年に1回以上。点検実施者は、火災通報装置に精通していることが必要であり、甲種第4類の消防設備士又は第2種の消防設備点検資格者が行うこと
点検は外観と総合・機能の二段構えで行います。
外観点検は6ヶ月に1回以上、変形や腐食、保護板の損傷がないかを確認します。
総合・機能点検は1年に1回以上、実際に起動させて通報や音声、予備電源への切替まで動作を確かめます。
点検を行えるのは誰でもよいわけではなく、甲種第4類の消防設備士か第2種の消防設備点検資格者に限られます。
点検結果は台帳などに記載し、整理して保存しておくことも通知が求めています。
点検の頻度と資格者の条件は、そのまま日常管理のチェックポイントになります。

外観点検と総合・機能点検は、同じ日にまとめてやってもいいんですか。

頻度の下限を守っていれば、同じ日にまとめて実施してかまいません。
記録だけは必ず残してください。

自動火災報知設備との連動は誰の判断で決まるのか

受信機の専用連動停止スイッチと、共用の操作盤を並べたイラスト
火災通報装置は自動火災報知設備と連動させることもできますが、これは義務ではありません。
連動を認めるかどうかと、その先の細かな配線の条件を通知は分けて定めています。
火災通報装置の起動については、手動によることを原則とするが、自動火災報知設備の作動と連動させる方式を認めるかどうかについては、消防機関の判断によられたいこと。別添2 連動停止スイッチを新たに設ける場合にあっては、連動停止スイッチは、専用のものとすること。連動を停止した場合は、連動が停止中である旨の表示灯が点灯又は点滅すること。
連動を認めるかどうかは消防機関が判断します。
手動起動が原則であり、自動火災報知設備と連動させる方式を採用できるかどうかは、所轄の消防機関の判断に委ねられています。
連動を認められた場合でも、配線をつなぐだけでは足りません。
連動停止スイッチは既存の受信機のものを使う場合も、新たに設ける場合も、専用のものとすることが条件です。
点検のときに使う外部の試験装置についても、別添3で構造や性能の基準が定められています。
自己流の配線や汎用スイッチの流用は、この条件から外れてしまう可能性があります。

受信機のスイッチをそのまま連動停止に使うのはだめなんですか。

既存の受信機のスイッチを使う場合でも、専用のものとする決まりです。
他の操作と兼用のスイッチは条件を満たしません。

任意設置の火災通報装置は明日から何を確認すればよいのか

点検記録の台帳と届出書を並べたイラスト
通知の内容を踏まえると、点検前に確認しておきたいことが整理できます。
届出の有無から点検記録まで、順番に洗い出してみます。
任意に火災通報装置を設置する防火対象物の関係者に対しては、あらかじめ消防機関へ届出を行うよう指導すること(別記様式参照)。点検結果については、台帳等に記載するなど、整理保存しておくこと
まずは届出の有無と保管場所を確認します。
任意設置の届出書を消防機関に提出しているか、写しがどこに保管されているかを確かめます。
次に外観点検と総合・機能点検、それぞれの直近の実施日を点検記録で確認します。
点検を行っているのが甲種第4類の消防設備士か第2種の消防設備点検資格者かどうかもあわせて見ます。
自動火災報知設備と連動させている場合は、連動停止スイッチが専用のものになっているかも点検項目に加えます。
ここまでの内容を順番に確認するだけで、任意設置の火災通報装置の管理状況はひととおり把握できます。

届出の写しが見つからないときは、どうしたらいいですか。

所轄の消防署に確認すれば、受理の記録が残っています。
写しがなければ早めに再確認しておきましょう。

よくある質問

Q火災通報装置は必ず設置しなければならないのですか?
Aいいえ。消防法施行令第23条が定める用途・延べ面積の建物には設置義務がありますが、それ以外の建物でも任意に設置することができます。任意設置の場合は、あらかじめ消防機関への届出が必要です。
Q任意設置の火災通報装置はどこに設置すればよいのですか?
A旅館・ホテル等や社会福祉施設等の防災センター、中央管理人室、守衛室など、常時人のいる場所に設置することとされています。誰もいない場所への単独設置は通知が求める条件を満たしません。
Q点検は誰が行ってもよいのですか?
Aいいえ。点検実施者は甲種第4類の消防設備士又は第2種の消防設備点検資格者に限られています。点検結果は台帳などに記載して保存しておく必要があります。
Q自動火災報知設備と連動させれば点検の手間は減りますか?
A連動を認めるかどうかは消防機関の判断によります。連動させる場合も、連動停止スイッチを専用のものとするなど別途の条件があり、点検そのものが不要になるわけではありません。

まとめ

火災通報装置は設置義務がない建物でも、届出をすれば任意に設置できます。
任意設置の場所は常時人のいる防災センター等に限られます。
遠隔起動装置は、常時人のいる場所が2箇所以上ある場合に設置が望ましいとされています。
点検は外観6ヶ月・総合機能1年のサイクルで行います。
点検実施者は甲種第4類の消防設備士又は第2種の消防設備点検資格者に限られます。
自動火災報知設備との連動は消防機関の判断によります。
連動停止スイッチは専用のものとすることが条件です。

任意設置でも、届出と点検さえきちんとしておけば安心して使えそうです。

任意設置の届出から点検体制の整備まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 総務省消防庁「火災通報装置の設置に係る指導・留意事項について(通知)」(平成8年8月19日消防予第164号、改正:令和2年12月25日消防予第412号)
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第23条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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