救急搬送された方の「軽症」「中等症」といった区分は、現場の状況だけでなんとなく決まっていると思われがちです。
実際には、消防庁の救急事故等報告要領に沿って、医師の診断と救急隊員の記録という手順を踏んで分類されています。
防火管理者として搬送に立ち会う機会があっても、この分類の仕組みまでは知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、分類の基準と搬送後の扱いを五つの質疑応答で解説します。
搬送された人が軽症か中等症かは、何を基準に決まるのか気になっていました。
基準は消防庁の要領で定められているんです。
今日はその分類の仕組みを一緒に見ていきましょう。
搬送のあとに容体が変わった場合の扱いも気になります。
そこも含めて五つの質疑応答で解説しますね。
最後まで読めば流れが分かりますよ。
- 傷病程度は救急隊員が医師の所見をもとに分類し記録します。
- 入院加療の必要がなければ日数を問わずすべて軽症として扱われます。
- 初診時に判明しない場合は、検査結果が出た時点で分類します。
- 自宅療養が長引く骨折でも、入院の必要がなければ軽症として記録されます。
- 搬送後まもなく死亡した場合も、初診時の診断で分類が確定します。
▼

目次
傷病程度は誰がどうやって分類するのか

消防庁の救急事故等報告要領に、分類と記録の役割分担が示されています。
医師が下した診断結果の所見を、救急隊員が聴き取って区分に当てはめます。
医師本人が「軽症」「中等症」と直接記入する仕組みではありません。
この分担を知っておくと、搬送後の記録がどこで確定するのかが見えやすくなります。
現場の防火管理者としても、救急隊とのやり取りの流れを把握しておくと安心です。
分類を決めるのは救急隊員なんですね。
てっきりお医者さんが直接書くのかと思っていました。
はい、医師の所見を踏まえて救急隊員が記録します。
現場でも搬送後の流れを知っておくと安心です。
軽症と中等症はどこで線引きされるのか

要領では、入院の必要性を基準にした線引きが示されています。
通院だけで治療が終わる場合は、日数にかかわらずすべて軽症として記録されます。
反対に、入院がたとえ2〜3日程度であっても中等症として扱われます。
入院の有無という一点で区分が決まるため、日数の長さそのものは軽症・中等症の境目にはなりません。
この基準を知っておくと、搬送後の報告書の見方が分かりやすくなります。
数日だけ入院しても中等症になるんですね。
てっきり日数の長さで決まるのかと思っていました。
基準は入院が必要かどうかの一点だけです。
日数の長短そのものは関係しません。
診断がすぐに判明しないときはどうするのか

そうした場合の取扱いも、要領に定めがあります。
初診の時点で判断できなくても、焦って仮の区分を記録する必要はありません。
精密検査などの結果が出た時点で、あらためて傷病程度を調査し分類します。
分類の基準そのものは変わらず、確定するタイミングが後ろにずれるだけです。
現場では、搬送直後の情報だけで判断を急がなくてよいと知っておくと安心です。
その場でわからない場合でも大丈夫なんですね。
無理に即断しなくていいと聞いて安心しました。
はい、検査の結果が出てから分類します。
慌てて仮の判断をする必要はありません。
自宅療養が続く骨折も軽症になるのか

自宅療養が長引くケースについても、具体的な回答が示されています。
骨折というケガの種類そのものでは区分は決まりません。
自宅療養が1か月程度に及んでも、入院を伴わなければ軽症として記録されます。
判断基準はあくまで入院加療の要否であり、療養期間の長さではありません。
見た目の重さだけで区分を推測しないことが大切です。
骨折で1か月も療養するのに軽症なんですね。
意外でした。
基準は入院の要否だけなんです。
療養期間の長さは関係しません。
搬送後まもなく死亡した場合も分類は変わらないのか

そうした場合の取扱いについても要領に定めがあります。
搬送後に容体が急変した場合であっても、記録の基準となるのは初診時の診断です。
これは、傷病者の分類が「搬送した時点の状況」を記録する仕組みだからです。
事後の経過によって過去の記録をさかのぼって書き換えることはありません。
この考え方を知っておくと、報告の仕組み全体が理解しやすくなります。
搬送のあとに容体が変わっても、記録は変わらないんですね。
仕組みが分かって納得しました。
はい、初診時の診断がそのまま基準になります。
搬送時点の記録として扱われます。
よくある質問
まとめ
搬送後の記録の仕組みまでよく分かりました!
分類の基準を知っておくと、いざという時にも落ち着いて対応できます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 救急事故等報告要領に関する質疑応答について(昭和51年6月18日 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第9項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和51年当時のもので、法令名や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





