避難器具には、はしご・すべり台・タラップ・救助袋など多くの種類があります。
これらを固定したりつないだりする金具は、見た目が似ていても点検の基準が違います。
点検要領には、金具の種類ごとに確認すべき項目が細かく定められています。
この記事では、避難はしごからすべり台と救助袋まで、金具まわりの点検の見方を確認します。
避難はしごの金具を見るとき、つり下げ金具も止め金も、同じように見ていました。
実は金具の種類ごとに基準が違います。
まずはつり下げ金具から見ていきましょう。
すべり台や救助袋の金具にも、別の基準があるんですか。
はい、設備ごとに固有のルールがあります。
順番に確認していきましょう。
- 避難はしごのつり下げ金具は、なすかん・自在金具のどちらも各部の変形・損傷・錆とチェーンのねじれ、接合部の損傷の有無を確認する(平成14年消防予第172号第15)。
- 固定収納式の避難はしごは、可動部の作動とは別に止め金そのものの作動が円滑であるかも見る。
- すべり台と避難用タラップの半固定式の止め金は、簡単な操作で外せることと振動や衝撃では外れないことの両方を満たして初めて合格になる。
- 救助袋の入口金具は、鳩目なら損傷・脱落の有無、縫糸なら糸切れと針目の切れの有無という違う見方で点検する。
- 救助袋の用布は、穴・切り傷・破れだけでなく摩擦によるケバ立ちも強度低下のサインとして確認する。
▼
目次
避難はしごのつり下げ金具はなぜ「なすかん」と「自在金具」の2種類があるのか

点検要領の図には、形の違う2種類の金具が示されています。
どちらも、変形・損傷・錆・著しい腐食がないことに加え、チェーンのねじれや接合部の損傷がないことを確認します。
そのうえで、固定部材への取り付けが確実であるか、または容易に取り付けられる状態にあるかを見ます。
金具の形そのものに優劣はなく、どちらの形でも同じ基準で点検します。
なすかんと自在金具、形が違うのに同じ基準なんですね。
はい、見るのは固定の状態です。
次は止め金を見ましょう。
避難はしごの「固定収納式」はどこを点検すればよいのか

壁等に固定して収納しておくタイプには、別の基準が加わります。
そのうえで、ふだん壁等に固定して収納しておく「固定収納式」のものは、取り外すための止め金そのものの作動が円滑かどうかも別の項目として見ます。
可動部が正常に動いても、止め金が固着していれば、いざというとき展開できません。
2つの動きを分けて確認することが大切です。
可動部が動けば、それで合格だと思っていました。
いいえ、止め金は別の項目です。
次はすべり台を見ましょう。
すべり台と避難用タラップの止め金はなぜ「簡単に外せる」のに「振動では外れない」のか

どちらも、下端を持ち上げて収納しておく「半固定式」のものに同じ基準があります。
ひとつは簡単な操作で外せること、もうひとつは振動や衝撃では外れないことです。
いざというとき手間取らずに展開できて、かつ、ふだんの揺れでは落ちてこない、という両立が求められます。
すべり台のローラー式の滑降面は、変形や段差とは別に、滑降に支障のない隙間なら許容される点もあわせて確認します。
簡単に外れるのに外れない、というのは不思議な基準ですね。
はい、両方を満たしてはじめて合格です。
次は救助袋を見ましょう。
救助袋の入口金具はなぜ「鳩目」と「縫糸」の2通りで固定されるのか

袋の本体布と金具の結合方法には、2通りの作り方があります。
鳩目で結合しているものは、鳩目そのものの損傷や脱落の有無を確認します。
縫糸で結合しているものは、糸切れや著しい摩耗、そして用布の針目に切れがないかを見ます。
あわせて、用布と展張部材の結合部が緊結されているかも確認します。
同じ入口金具でも、見るところが結合方法で変わるんですね。
はい、鳩目か縫糸かで確認先が違います。
最後に用布そのものを見ます。
救助袋の用布はどんな傷や汚れで使用をやめるべきか

穴や裂け傷だけでなく、摩耗の進み方にも基準があります。
それは摩擦によりケバ立ちが生じ、その部分が弱くなっている状態のことです。
穴・切り傷・裂け傷・破れといった目に見える損傷だけでなく、こうした摩耗も強度低下のサインとして扱います。
あわせて、著しい吸湿やむれ、変色、薬品や油脂・錆・かびの付着がないかも確認します。
傷だけでなく、すり減り方まで基準があるんですね。
ケバ立ちの状態まで見ます。
最後に整理しましょう。
よくある質問
まとめ
つり下げ金具・止め金・入口金具・用布、全部確認してみます!
金具ごとの基準を押さえれば迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第27条(避難器具の設置及び維持の技術上の基準)
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第15
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)第15 避難器具
※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





