建築確認や構造計算適合性判定などを担う指定機関の職員が、仕事で知った秘密を外へ漏らしたら、どうなるのか気になる人は多いのではないでしょうか。
第99条第1項の第10号から第14号には、こうした違反を罰する規定があります。
今回は第10号から第14号までを、罰せられる行為と根拠になる規定に分けて解説します。
指定機関の職員が秘密を漏らしたら、罰則はあるのですか。
第99条第1項に、罰則の定めがあります。
この記事で、その中身を確認します。
検定の問題を漏らした場合も、罰せられるのですか。
第11号が、問題を漏らす行為を挙げています。
順番に見ていきましょう。
- 第99条第1項の第10号から第14号は、違反した者を、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処すると定めています。
- 第10号と第11号は、検定機関の役員や職員などが、検定事務に関して知り得た秘密や検定の問題を漏らしたり不正の採点をしたりしたときの罰則です。
- 第12号は、指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関、指定認定機関の職務上の秘密を漏らし又は盗用したときの罰則です。
- 第13号は確認検査の業務の停止の命令に違反した者を、第14号は禁止に違反して確認検査又は構造計算適合性判定の業務を行った者を罰します。
- どの行為が違反に当たるかの細かい判断は条文に書かれておらず、個別の事案は建築の窓口で確かめます。
▼
目次
建築基準法第99条第1項第10号は職務上知り得た秘密を漏らした検定機関の誰を罰するのか

(建築基準法第九十九条第一項)十 第七十七条の八第一項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らした者
(建築基準法第七十七条の八第一項)指定建築基準適合判定資格者検定機関の役員及び職員(建築基準適合判定資格者検定委員を含む。第三項において同じ。)並びにこれらの職にあつた者は、建築基準適合判定資格者検定事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第77条の8第1項は、指定建築基準適合判定資格者検定機関の役員及び職員(検定委員を含む)並びにこれらの職にあつた者に、検定事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。
第10号は、第77条の17の2第2項において準用する場合を含むので、指定構造計算適合判定資格者検定機関にも同じ規定が及びます。
「職にあつた者」とあるため、役員や職員を辞めた後も、この義務の対象に含まれています。
秘密とは、具体的に何を指すのですか。
条文は「検定事務に関して知り得た秘密」と書くだけで、具体的な範囲は書かれていません。
個別の判断は、建築の窓口で確かめます。
第11号は検定の問題を事前に漏らしたり不正の採点をしたりした者をどう罰するのか

(建築基準法第七十七条の八第二項)前項に定めるもののほか、建築基準適合判定資格者検定委員は、建築基準適合判定資格者検定の問題の作成及び採点に当たつて、厳正を保持し不正な行為のないようにしなければならない。
第77条の8第2項は、建築基準適合判定資格者検定委員に、問題の作成と採点に当たって、厳正を保持し不正な行為のないようにしなければならないと求めています。
第11号が対象にする検定は、建築基準適合判定資格者検定と構造計算適合判定資格者検定の2つです。
第10号は職務上知り得た秘密全般を、第11号は事前の問題の漏洩と不正の採点を、それぞれ対象にしています。
この規定は、検定を受ける人にも適用されるのですか。
第77条の8第2項が義務を課している相手は検定委員です。
受験者にどう適用されるかは、条文には書かれていません。
第12号は確認検査機関や判定機関や認定機関の秘密の漏洩と盗用を誰に対して罰するのか

(建築基準法第七十七条の二十五第一項)指定確認検査機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員(確認検査員又は副確認検査員を含む。同項において同じ。)並びにこれらの者であつた者は、確認検査の業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(建築基準法第七十七条の三十五の十第一項)指定構造計算適合性判定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員(構造計算適合性判定員を含む。次項において同じ。)並びにこれらの者であつた者は、構造計算適合性判定の業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(建築基準法第七十七条の四十三第一項)指定認定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員(認定員を含む。次項において同じ。)並びにこれらの者であつた者は、認定等の業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第77条の25第1項は指定確認検査機関(確認検査員又は副確認検査員を含む)を、第77条の35の10第1項は指定構造計算適合性判定機関(構造計算適合性判定員を含む)を、第77条の43第1項は指定認定機関(認定員を含む)を対象にしています。
どの規定も、法人ならその役員と、その職員、並びにこれらの者であつた者に、業務に関して知り得た秘密を漏らし又は盗用してはならないと定めています。
第77条の43第1項は、第77条の56第2項で指定性能評価機関にも準用され、その場合は「認定員」が「評価員」に読み替えられます。
第10号との違いは、漏らすだけでなく盗用も罰する点です。
盗用とは、漏らすこととは違うのですか。
条文は「漏らし、又は盗用した」と並べて書いています。
盗用の意味は、条文には書かれていません。
第13号は確認検査の業務の停止の命令に違反した者をどう罰するのか

(建築基準法第七十七条の三十五第二項(前文))国土交通大臣等は、その指定に係る指定確認検査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて確認検査の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
停止を命じるのは、国土交通大臣等です。
第77条の35第2項は、指定確認検査機関が各号のいずれかに該当するときに、指定を取り消し、又は期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができると定めています。
前の記事で扱った第100条は、第77条の15第2項などの停止命令を挙げていますが、指定確認検査機関の停止命令は挙げていません。
指定確認検査機関の停止命令の違反は、この第13号が挙げています。
第13号は、誰を罰するのですか。
条文は違反した「者」と書くだけで、誰が該当するかは書かれていません。
個別の事案は、建築の窓口で確かめます。
第14号は業務の禁止に違反して確認検査や構造計算適合性判定を行った者をどう罰するのか

(建築基準法第七十七条の六十三第二項(前文))国土交通大臣は、建築基準適合判定資格者が次の各号のいずれかに該当するときは、一年以内の期間を定めて確認検査の業務を行うことを禁止し、又はその登録を消除することができる。
禁止するのは国土交通大臣で、相手は建築基準適合判定資格者、期間は1年以内です。
第2項の各号は、第18条の3第3項に違反して確認審査等を実施したときや、確認検査業務規程に違反したとき、確認検査の業務に関し著しく不適当な行為をしたときなどを挙げています。
第14号に構造計算適合性判定が出てくるのは、第77条の66第2項が、構造計算適合判定資格者にも同じ規定を準用しているからです。
ここまでの内容を、条文ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 条文 | 違反の内容 | 根拠となる規定 |
|---|---|---|
| 第10号 | 検定事務に関して知り得た秘密を漏らす | 第77条の8第1項 |
| 第11号 | 検定の問題を事前に漏らす、又は不正の採点をする | 第77条の8第2項 |
| 第12号 | 業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用する | 第77条の25第1項、第77条の35の10第1項、第77条の43第1項 |
| 第13号 | 確認検査の業務の停止の命令に違反 | 第77条の35第2項 |
| 第14号 | 禁止に違反して、確認検査又は構造計算適合性判定の業務を行う | 第77条の63第2項 |
これらは建築基準法の罰則であり、消防法令の罰則とは別の規定です。
また、どの行為が違反に当たるかは、条文には書かれていません。
建築確認や検査などで指定機関や資格者と関わるときは、こうした罰則があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 建築の手続きで関わる機関や資格者が、指定や登録を受けているかどうかを、建築の窓口で確かめる。
- 機関の役員や職員には、秘密を守る義務があることを頭に入れておく。
- 機関が業務の停止を命じられたかどうかは、国土交通大臣等の公示で確かめる。
- 資格者が業務の禁止を受けたかどうかは、公告で確かめる。
- 消防法令の義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず、相手の機関や資格者が指定や登録を受けているかを確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
秘密や検定の問題を漏らすと罰せられることがよく分かりました。
まず、指定を受けた機関かを確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の八・第七十七条の十七の二・第七十七条の二十五・第七十七条の三十五・第七十七条の三十五の十・第七十七条の四十三・第七十七条の五十六・第七十七条の六十三・第七十七条の六十六・第九十九条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





