危険物を貯蔵したり詰め替えたりする容器には、規則第39条の3により運搬容器と同じ水準の表示が求められます。
ただ、容器が小さい場合や特定の危険物では、この表示を省略したり簡略化したりできる特例があります。
「化粧品だから」「エアゾールだから」という理由だけで自己判断すると、実は省略できる範囲を勘違いしていることがあります。
どんな容器がどこまで省略できるのかを条文から整理します。
化粧品のサンプル瓶を倉庫に置いているんですが、表示は全部省略していいんでしょうか。
容積によって全部省略できる場合と一部だけの場合があります。
まずは原則から確認しましょう。
てっきり全部一律だと思っていました。
危険物の種類と容積で4段階に分かれています。
順番に見ていきましょう。
- 貯蔵・詰替え容器の表示は原則すべて必要で、省略できるのは規則第39条の3第3項から第6項までの特例に当たる場合だけです
- 第一類・第二類・第四類(危険等級Ⅰを除く)で最大容積500ミリリットル以下なら、品名と注意事項を別表示に代える特例が使えます
- 化粧品は150ミリリットル以下なら表示そのものが不要になりますが、150〜300ミリリットルは一部の表示に代える扱いにとどまります
- エアゾールは300ミリリットル以下、動植物油類は2.2リットル以下でそれぞれ別の特例が定められています
- 運搬容器の特例(規則第44条)と数値がそっくりでも、貯蔵中の容器は別途この条文を確認する必要があります
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目次
貯蔵する容器の表示は省略できることがあるのか

ただし条件を満たせば、その一部を省略できる特例があります。 内装容器等には規則第44条第1項各号(品名・数量・危険等級・注意事項など)の表示が必要で、機械により荷役する構造を有する容器には、さらに同条第6項各号の表示も必要です。
表示の省略は例外であって原則ではありません。
規則第39条の3第2項が定める表示義務がまず基本にあり、これを前提にした上で第3項以降が条件付きの特例を置いています。
特例は危険物の類・容積・品目の組み合わせごとに細かく分かれているため、「化粧品だから」「小さいから」という理由だけで全部を省略してよいわけではありません。
この先で見る第3項から第6項までを、順番に自分の容器へ当てはめて確認していく必要があります。
まずは一番範囲の広い一般的な特例から見ていきます。
特例はどんな危険物にも使えるんですか。
いいえ、危険等級Ⅰを除く一部の類に限られます。
まず一般的な特例から確認しましょう。
どんな危険物ならまず基準の対象になるのか

条文で確認します。
前項の規定にかかわらず、第一類、第二類又は第四類の危険物(危険等級Ⅰの危険物を除く。)の内装容器等で、最大容積が五百ミリリットル以下のものについては、第44条第1項第1号及び第3号の表示についてそれぞれ危険物の通称名及び同号に掲げる表示と同一の意味を有する他の表示をもつて代えることができる。
対象は第一類・第二類・第四類の危険物で、危険等級Ⅰは除かれます。
最大容積が500ミリリットル以下の内装容器等なら、品名(第1号)は正式名称でなく通称名で、注意事項(第3号)は同じ意味を持つ別の表示で代えられます。
ここで注意したいのは「代えることができる」という表現で、表示自体を省略できるわけではないという点です。
危険等級と数量(第2号)の表示は、この特例があってもそのまま必要です。
通称名ならどう書いてもいいということですか。
同一の意味を有する表示であることが条件です。
次はさらに細かい品目別の特例を見ていきましょう。
化粧品とエアゾールと動植物油類ではなぜ基準が違うのか

3つの品目を条文で確認します。
前二項の規定にかかわらず、第四類の危険物に該当する化粧品(エアゾールを除く。)の内装容器等で、最大容積が百五十ミリリットル以下のものについては第44条第1項第1号及び第3号に掲げる表示をすることを要せず、最大容積が百五十ミリリットルを超え三百ミリリットル以下のものについては同項第1号に掲げる表示をすることを要せず、かつ、同項第3号の注意事項について同号に掲げる表示と同一の意味を有する他の表示をもつて代えることができる。
第5項
第2項及び第3項の規定にかかわらず、第四類の危険物に該当するエアゾールの内装容器等で、最大容積が三百ミリリットル以下のものについては、第44条第1項第1号に掲げる表示をすることを要せず、かつ、同項第3号の注意事項について同号に掲げる表示と同一の意味を有する他の表示をもつて代えることができる。
第6項
第2項及び第3項の規定にかかわらず、第四類の危険物のうち動植物油類の内装容器等で、最大容積が二・二リットル以下のものについては、第44条第1項第1号及び第3号の表示についてそれぞれ危険物の通称名及び同号に掲げる表示と同一の意味を有する他の表示をもつて代えることができる。
化粧品(エアゾールを除く)は、150ミリリットル以下なら品名と注意事項の表示が丸ごと不要になりますが、150〜300ミリリットルは品名だけが不要で、注意事項は代替表示が必要です。
エアゾールは300ミリリットル以下なら、化粧品の150〜300ミリリットルと同じく品名は不要・注意事項は代替表示という扱いになります。
動植物油類は2.2リットル以下でも、品名と注意事項のどちらも「代える」だけで、化粧品のように表示自体が不要になることはありません。
同じ「省略できる」でも、表示そのものが不要になる場合と別の表示に代えるだけの場合があることを取り違えないようにします。
化粧品の150ミリリットルという境目には、何か意味があるんでしょうか。
条文には理由までは書かれていませんが、容積が小さいほど危険性の表示価値が下がるという考え方です。
次は見落としやすい落とし穴を確認します。
運搬容器の基準と同じだと思い込んでいないか

条文を比べてみます。
前項の規定にかかわらず、第一類、第二類又は第四類の危険物(危険等級Ⅰの危険物を除く。)の運搬容器で、最大容積が五百ミリリットル以下のものについては、同項第1号及び第3号の表示についてそれぞれ危険物の通称名及び同号に掲げる表示と同一の意味を有する他の表示をもつて代えることができる。
規則第44条(運搬容器)と規則第39条の3(貯蔵・詰替え容器)は、500ミリリットル・150ミリリットル・300ミリリットル・2.2リットルという同じ数字を、それぞれ別の条文として定めています。
ここが落とし穴で、「運搬容器の表示はもう確認したから大丈夫」と思い込んでも、それだけでは貯蔵・詰替え容器の基準を満たしたことにはなりません。
根拠となる条文が別である以上、同じ容器を貯蔵にも使うなら、運搬容器としての表示と貯蔵容器としての表示を両方それぞれ確認する必要があります。
数字の一致は覚えやすい反面、「片方を確認したから両方大丈夫」という誤解を生みやすい点に注意してください。
運搬のときに確認した容器を、そのまま倉庫に置いていたら危ないということですね。
はい、貯蔵は貯蔵で別に確認が要ります。
最後に明日からの確認手順をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。 まず、内装容器等の最大容積と収納している危険物の類・危険等級を確認してください。
次に、その危険物が化粧品・エアゾール・動植物油類のいずれかに当たるかを見分けます。いずれにも当たらなければ第3項の一般的な特例(500ミリリットル以下)だけが対象です。
化粧品・エアゾール・動植物油類に当たる場合は、容積の区切り(150ミリリットル・300ミリリットル・2.2リットル)に照らして表示が不要になるのか代替表示でよいだけなのかを条文どおりに確認します。
同じ容器を運搬にも使っている場合は、規則第44条の運搬容器としての表示と、規則第39条の3の貯蔵容器としての表示を別々に確認してください。
判断に迷ったら自己判断で省略せず、所轄消防署に確認することをおすすめします。
まず倉庫の容器の容積と品目から確認してみます!
容積と品目の組み合わせを確認してみてください。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
分かりました、容積と品目の両方から確認してみます!
判断に迷ったときはお早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第39条の3・第44条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





