危険物施設に新しい技術や設備を取り入れたいのに、消防法令の基準がそのままでは当てはまらない、という場面は珍しくありません。
許可を出す市町村長等も、前例のない設備を独自に安全と判断するのは簡単ではありません。
そこで使われているのが、危険物保安技術協会が行う性能評価という仕組みです。
本記事では、性能評価制度がどんな設備を対象にし、許可の手続きにどう関わるのかを条文と協会の公表資料にもとづいて解説します。
うちの危険物施設に新しい省エネ設備を入れたいんですけど、消防法の基準に載ってなくて困ってます。
それなら、危険物保安技術協会が行っている性能評価制度が使えるかもしれません。
性能評価を受ければ、許可はすぐに下りるんですか。
そこは誤解されやすいところなので、この記事で順番に説明していきますね。
- 危険物施設の許可は、基準に適合しているかどうかだけで判断されます
- 消防法令の技術基準に明確な判断基準がない設備は、許可の審査で立ち往生しやすくなります
- 危険物保安技術協会が行う性能評価は、そうした設備の安全性を専門家が事前に確認する制度です
- 性能評価を受けても許可そのものが自動でおりるわけではありません
- 性能評価の結果は、許可申請の添付資料として活用できます
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目次
危険物施設の許可はなぜ基準への適合だけで決まるのか

この許可を出すかどうかは、実はある2つの条件だけで決まります。
条文が定める要件は技術上の基準への適合と公共の安全への支障の有無の2つだけです。
この2つを満たしていれば、市町村長等は許可を出すことになっています。
逆に言えば、技術上の基準がどんな設備を想定しているかが、審査の入口をそのまま左右します。
問題は、この技術上の基準そのものが、次に見るように政令の条文で具体的に定められているという点です。
うちの施設も、結局は基準に合っているかどうかだけで決まるんですね。
そうです、条件はその2つだけです。
どんな設備がこの性能評価の対象になるのか

政令にゆだねられているため、想定されていない新しい設備が出てくることがあります。
そのため、新しい技術や新しい手法を使った設備は、政令の条文に直接あてはまらないことがあります。
危険物保安技術協会では、こうした技術基準が明確でない設備や、基準と同等以上の性能かどうか判断しにくい設備を対象に性能評価を行っています。
対象になるのは危険物関連設備等のほか、ガス系消火設備や大容量泡放射システムなど複数の区分があります。
自分の設備がどの区分にあたるかは、申請前に協会へ相談して確認します。
うちが入れたい設備も、政令にははっきり書いてない気がします。
それなら性能評価の対象になるか、まず協会に相談してみましょう。
性能評価はどんな流れで進むのか

事前の相談から評価結果を受け取るまで、いくつかの段階を踏みます。
- まず協会に事前相談をして、対象になりそうかを確認します
- 対象になれば、必要な資料や試験結果を添えて性能評価の申請を行います
- 協会に置かれた評価委員会が、資料や試験結果をもとに性能を審査します
- 審査を終えると、協会から評価結果が交付されます
交付された性能評価の情報を添えることで、許可を出す市町村長等の審査に役立ててもらえます。
評価の対象は危険物関連設備等だけでなく、ガス系消火設備や地下貯蔵タンクの構造など複数の区分に分かれています。
どの区分で申請するかによって、必要な資料や審査の視点が変わります。
迷ったときは、事前相談の段階で協会に区分を確認しておくと手戻りが少なくて済みます。
いきなり許可申請すればいいわけじゃないんですね、結構ちゃんとした手続きだ。
はい、評価結果を先に取っておくと、その後の許可申請もスムーズになります。
性能評価を受ければ許可は自動でおりるのか

許可を出すかどうかを決めるのは、あくまで市町村長等です。
条文が定めているのは許可を受けなければならないという手続きそのものです。
性能評価はこの手続きを代わりに行うものではありません。
市町村長等は、性能評価以外の技術情報や試験結果をもとに審査することも妨げられていません。
つまり性能評価の活用は義務ではなく、審査を後押しする材料のひとつという位置づけです。
てっきり性能評価を受ければ、それで審査が終わると思ってました。
許可の判断自体は市町村長等が行うので、そこは別物と考えてください。
実際に使いたいときはまず何をすればよいのか

新しい設備を使いたいときに、最初にすることは決まっています。
そこから逆算すると、まず所轄の消防機関に相談し、性能評価が必要そうであれば協会へ事前相談する、という順番が現実的です。
評価結果が交付されたら、それを添えて許可の申請書類を市町村長等へ提出します。
許可が下りたあとは、工事を進めて完成検査を受け、基準に適合していると認められてから設備を使い始めます。
新しい設備ほど、この最初の相談を早く済ませることが工程全体の遅れを防ぎます。
順番がわかったので、まずは消防署と協会の両方に相談してみます。
それがいちばん早い進め方です、事前相談から始めてみてください。
よくある質問
まとめ
おかげで進め方がはっきりして、明日から動けそうです!
性能評価の相談から許可の手続きまで、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第10条第4項・第11条第1項・第2項・第5項
- 危険物保安技術協会「性能評価等」(危険物関連設備等の性能評価業務の説明)
- 平成8年7月30日消防危第92号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





