危険物を貯蔵・取扱いするとき、書類に危険等級Ⅰ・Ⅱ・Ⅲという区分が出てくることがあります。
運搬容器や表示の基準は、この危険等級によって内容が変わります。
「等級が高いほど危険そうだ」という感覚だけで判断すると、必要な基準を取り違えることがあります。
危険等級はどんな試験で判定され、どの危険物がどの等級になるのかを解説します。
うちで扱っている危険物の書類に「危険等級Ⅱ」と書いてあるんですが、これは何なんでしょうか。
実は危険等級は、危険物の性質に応じて三段階に分かれています。
まずは何のための区分かから見ていきましょう。
危険なものほど数字が大きいんですか?
実はⅠがいちばん危険度が高い区分です。
順番に確認しましょう。
- 危険物は規則第39条の2により、危険等級Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの三段階に区分されます
- 危険等級Ⅰ・Ⅱに当たるかどうかは、燃焼試験や自然発火性試験など政令別表第三備考が定める試験結果で判定されます
- 危険等級Ⅰ・Ⅱのいずれにも当たらない危険物は、自動的に危険等級Ⅲになります
- 第三類・第五類・第六類の危険物には、危険等級Ⅲに当たるものが存在しません
- 危険等級は運搬容器や表示の基準にも関わるため、書類の記載を確認することが欠かせません
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目次
危険等級とは何のための区分なのか

まずは根拠となる条文を確認します。
次条、第43条及び第44条において危険物は、危険等級Ⅰ、危険等級Ⅱ及び危険等級Ⅲに区分する。
規則第39条の2は、危険物を危険等級Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの三段階に分けています。
この区分は、次条の容器の基準や運搬容器・表示の基準など、あとに続く規定で使われます。
同じ品名の危険物でも、性状によって等級が変わることがあります。
まずは自分が扱う危険物がどの等級に当たるかを、安全データシートなどの書類で確認することが出発点です。
危険等級って被覆や表示にも関わってくるんですか。
はい、運搬容器や表示の基準にそのまま使われます。
次はどの危険物がどの等級になるかを見ていきましょう。
危険物はどうやって危険等級Ⅰ・Ⅱ・Ⅲに分けられるのか

条文で確認します。
危険等級Ⅰの危険物は、次に掲げるものとする。(略。第一類・第三類・第四類・第五類・第六類のうち性状の厳しいものが該当)
第3項
危険等級Ⅱの危険物は、次に掲げるものとする。(略。第一類・第二類・第三類・第四類・第五類のうち危険等級Ⅰに当たらないものが該当)
第4項
危険等級Ⅲの危険物は、危険等級Ⅰの危険物及び危険等級Ⅱの危険物以外の危険物とする。
規則第39条の2第2項は危険等級Ⅰに当たる危険物を、第3項は危険等級Ⅱに当たる危険物を、それぞれ類ごとに列挙しています。
第六類の危険物はすべて危険等級Ⅰで、第四類のうち特殊引火物も危険等級Ⅰに当たります。
一方、第四類のうち第一石油類やアルコール類は危険等級Ⅱに当たります。
第4項は、危険等級Ⅰにも危険等級Ⅱにも当たらない危険物を危険等級Ⅲとする、残りをまとめて受け止める規定です。
結局うちの危険物が何等級かは、どこを見れば分かるんですか。
まずは類と品名を確認するのが早道です。
次は等級を判定する試験の中身を見ていきましょう。
危険等級はどんな試験で判定されるのか

条文で確認します。
第1種酸化性固体とは、(略)燃焼試験における燃焼時間が標準物質と等しいか又はこれより短いこと、又は落球式打撃感度試験において試験物品と赤りんとの混合物の爆発する確率が50パーセント以上であることをいう。
備考第四号
第1種可燃性固体とは、小ガス炎着火試験において試験物品が3秒以内に着火し、かつ、燃焼を継続するものであることをいう。
備考第六号
第1種自然発火性物質及び禁水性物質とは、自然発火性試験において試験物品が発火するもの又は水との反応性試験において発生するガスが発火するものであることをいう。
政令別表第三備考は、危険等級Ⅰ・Ⅱに当たるかどうかを判断するための試験を性質ごとに定めています。
たとえば酸化性固体は燃焼試験や落球式打撃感度試験の結果で、可燃性固体は小ガス炎着火試験の結果で判定します。
自然発火性物質及び禁水性物質は自然発火性試験や水との反応性試験の結果で判定します。
「危険そうに見えるかどうか」という感覚ではなく、決められた試験の結果で機械的に判定される点がポイントです。
試験を自分でやり直す必要はあるんですか。
いいえ、品名ごとに区分は決まっています。
次は等級が三段階そろわない類を確認しましょう。
なぜ第三類と第五類には危険等級Ⅲが無いのか

第三類を例に条文を確認します。
第三類の危険物のうち、カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りん並びに令別表第三備考第六号の第1種自然発火性物質及び禁水性物質の性状を有するもの(危険等級Ⅰ)
第3項第3号
第三類の危険物のうち、前項第2号に掲げる危険物以外のもの(危険等級Ⅱ)
第三類の危険物は、規則第39条の2第2項第2号(危険等級Ⅰ)か第3項第3号(危険等級Ⅱ)のどちらかに必ず当てはまる書き方になっています。
このため、第三類には危険等級Ⅲに当たる危険物が存在しません。
同じ考え方で、第五類も第1種自己反応性物質以外はすべて危険等級Ⅱになり、第六類はすべて危険等級Ⅰになるため、どちらも危険等級Ⅲはありません。
「どの類にも危険等級Ⅲがある」と思い込むと、第三類・第五類・第六類の危険物を扱うときに存在しない区分を探してしまいます。
てっきりⅠ・Ⅱ・Ⅲが全部の類にそろっていると思っていました。
類ごとに数が違うので注意が必要です。
最後に確認手順をまとめます。
明日から危険等級をどう確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。 まず、自分が扱う危険物の品名と性状を確認し、安全データシートなどに記載された危険等級を確認してください。
第三類・第五類・第六類の危険物であれば、危険等級Ⅲは存在しないことを踏まえて、Ⅰ・Ⅱのいずれかで判断します。
危険等級は運搬容器や表示の基準にも関わるため、確認した等級をもとに該当する基準を個別に確認してください。
記載内容に不明な点があれば、判断を誤らないよう所轄消防署や専門家に確認することをおすすめします。
まず自分の危険物の品名から確認してみます!
類と性状の両方を確認してみてください。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
分かりました、品名と性状から等級を確認してみます!
等級の判断に迷ったら早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第39条の2
- 危険物の規制に関する政令別表第三備考
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





