屋内タンク貯蔵所でポンプ設備を設置する場合、置く場所によって従うべき基準が変わります。
タンク専用室の外に置くときは屋外貯蔵タンクのポンプ設備の基準をほぼそのまま準用しますが、専用室の中に置くとき、そして専用室のある建物が平家建以外のときは、それぞれ別の基準に従う必要があります。
基準はタンク専用室の内外・専用室のある建物が平家建かどうかという条件で組み合わさっています。
この記事では、屋内貯蔵タンクのポンプ設備がどんな条文でどう区分されているのかを順番に整理します。
うちのポンプは専用室の外に置いているんですが、それでも大丈夫なんでしょうか。
はい、置き場所ごとに別々の基準が定められています。
建物が平家建かどうかでも変わると聞いたことがあります。
はい、建物の構造によって基準が変わります。
- 屋内貯蔵タンクのポンプ設備は、タンク専用室の存する建築物の外に置くか中に置くかで、適用される基準が異なります。
- 専用室の外に置く場合は、屋外貯蔵タンクのポンプ設備の基準(空地の規定を除く)に従います。
- 専用室の中に置く場合は、堅固な基礎への固定と不燃材料の囲いを設ければ足ります。
- 専用室のある建物が平家建以外のときは、ポンプ室そのものを耐火構造にしなければなりません。
- 自分のポンプ設備がどの区分に当たるか迷う場合は、所轄消防署に確認してください。
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目次
屋内貯蔵タンクのポンプ設備はなぜ屋外と別の基準があるのか

出発点は屋外貯蔵タンクの基準です。
政令第十二条第一項第九号の二により、タンク専用室の存する建築物の外に置くポンプ設備は屋外貯蔵タンクのポンプ設備の基準をそのまま準用し、建築物の中に置くポンプ設備は総務省令、つまり規則で個別に定めるという構造です。
建築物の外に置く場合は屋外の基準を丸ごと準用するわけではなく、空地に関する規定(イ・ロ)だけは除かれています。
まずはこの二段構えの全体像を押さえたうえで、それぞれの中身を見ていきます。
屋外の基準をそのまま持ってくるわけじゃないんですね。
はい、空地の規定だけは除かれます。
次は専用室の外に置く場合を見ましょう。
タンク専用室の外に置く場合はどんな基準に従うのか

屋外のポンプ室の基準がほぼそのまま当てはまります。
令第十一条第一項第十号の二ハからヌまで及びヲにより、堅固な基礎への固定、壁・柱・床・はりを不燃材料、窓と出入口の防火設備、床の周囲に高さ0.2メートル以上の囲い等が求められます。
一方で除外されるイ・ロは屋外貯蔵タンクとの間の空地に関する規定で、建物内という立地上、屋外のような広い空地を確保する義務までは課されません。
屋外のポンプ室の作り方をそのまま思い浮かべれば、専用室の外に置く場合の基準はほぼ再現できます。
空地の分だけ免除されているんですね。
はい、空地の規定だけ除かれます。
次は専用室の中に置く場合を見ましょう。
タンク専用室の中に置く場合はどう変わるのか

専用室の外に置く場合よりずっと簡易です。
規則第二十二条の五第二号により、堅固な基礎の上に固定したうえで、その周囲に専用室の出入口のしきいの高さ以上の不燃材料の囲いを設けるか、ポンプ設備の基礎の高さ自体をしきいの高さ以上にすれば足ります。
タンク専用室そのものがすでに耐火構造の壁や防火設備を備えているため、ポンプの周りに改めて壁やポンプ室を作る必要はありません。
専用室の外に置く場合と比べて、求められる工事の中身がぐっと簡易になる点が違いです。
専用室の中なら壁を作らなくていいんですね。
はい、専用室自体が防火の役目を果たしています。
次は建物が平家建以外の場合を見ましょう。
平家建以外の建物ではなぜポンプ室そのものを厳しくするのか

ここでポンプ室の基準が一段引き上げられます。
政令第十二条第二項により、平家建以外の建物にタンク専用室を設けられるのは引火点40度以上の第四類の危険物のみを扱う場合に限られ、その専用室の外に置くポンプ室は規則第二十二条の六第一号で、壁・柱・床・はりを耐火構造とし、窓を設けないこと等が求められます。
平家建の場合の「不燃材料」より一段重い「耐火構造」が求められ、窓もふさぐのは、上階や他の部分へ延焼するリスクを断つためです。
建物の階数が変わるだけで、求められる防火性能そのものが変わる点を押さえてください。
上に階があるかどうかで、そんなに変わるものなんですね。
はい、耐火構造と窓なしが必須になります。
最後に確認の手順をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

まずは自分のポンプ設備の置き場所を確認してください。 ポンプ設備がタンク専用室の中と外のどちらにあるかを、設備図面や現地で確認してください。
専用室の外にある場合は、堅固な基礎への固定・不燃材料の壁と屋根・窓と出入口の防火設備・床の囲いが揃っているかを確認してください。
専用室のある建物が平家建以外の場合は、ポンプ室の壁等が耐火構造になっているか、窓が設けられていないかも合わせて確認してください。
記録が見当たらない場合や区分に迷う場合は、施工業者や所轄消防署に確認することをお勧めします。
まずは自分のポンプ設備の置き場所を確認してみます。
それが一番確実です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
屋内貯蔵タンクのポンプ設備の基準がよく分かりました。
早速確認します。
まずはポンプ設備の置き場所と建物の階数の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十二条(屋内タンク貯蔵所の基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十二条の五(平家建の建築物内に設ける屋内貯蔵タンクのポンプ設備)・第二十二条の六(平家建以外の建築物内に設ける屋内貯蔵タンクのポンプ設備)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





