危険物施設の設置や変更には、消防法第11条に基づく市町村長等の許可が必要です。
この許可を受けたとき、施設の規模によっては、市町村長等がその内容を警察や海上保安庁にも通報しなければならない仕組みがあります。
通報の対象になるかどうかは、施設の種類ごとに定められた指定数量の倍数で機械的に決まります。
本記事では、危険物施設の許可がどのような基準で警察等へ通報されるのか、その仕組みと実務で見落としやすい点を条文に沿って整理します。
許可さえ取っていれば、それで手続きは終わりだと思っていました。
施設の規模によっては、市町村長等が許可の内容を警察や海上保安庁へ通報する決まりもあります。
うちの施設も対象になるのか、基準が気になります。
対象になるかどうかは指定数量の倍数で決まります。
順番に見ていきましょう。
- 消防法第11条第7項は、政令で定める規模の危険物施設について許可をしたとき、市町村長等にその旨を警察や海上保安庁へ通報する義務を課しています
- 通報の対象になる施設は、危険物の規制に関する政令第7条の3が指定数量の倍数ごとに数値で定めています
- 移送取扱所は指定数量の倍数にかかわらず、それだけで通報の対象になります
- 通報先は、市町村長・都道府県知事の許可は都道府県公安委員会、総務大臣の許可は国家公安委員会で、海域に係る施設は海上保安庁長官にも通報されます
- 品名・数量・指定数量の倍数の変更を伴わない軽易な変更許可は、通報の対象から除かれます
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目次
なぜ危険物施設の許可は警察にも通報されるのか

ただし一定規模を超える施設については、許可を出した市町村長等がさらにもう一つ行うべきことがあります。
第11条第7項が定めるのは、一定の危険物施設について許可をした市町村長等が警察や海上保安庁へその内容を伝える義務です。
施設側が別途申請したり届け出たりする手続きではなく、行政機関の内部で完結する通報です。
通報の対象になるのは、政令で個別に定める規模以上の施設に限られます。
では、どの施設が対象になるのでしょうか。
自分で警察に届け出る必要があるということでしょうか。
いいえ、通報するのは市町村長等です。
事業者側の手続きではありません。
どんな施設の許可が通報の対象になるのか

施設の種類ごとに、基準となる倍数が異なります。
製造所は指定数量の倍数10以上、屋内貯蔵所は150以上、屋外タンク貯蔵所は200以上、屋外貯蔵所は100以上で対象になります。
一般取扱所も指定数量の倍数10以上で対象になりますが、一部の給油取扱所などは除かれます。
移送取扱所は指定数量の倍数を問わず、規模にかかわらず一律に対象です。
自社の施設がどの区分に当たり、指定数量の倍数がいくつかを、まず確認します。
指定数量の倍数がいくつなら対象になるのか、いつも迷います。
施設の種類ごとに区切りが違うので表で確認するのが確実です。
通報は誰から誰へどう届くのか

海域に係る施設では、通報先がもう一つ増えます。
市町村長や都道府県知事が許可・届出を受理したときは、その区域を管轄する都道府県公安委員会に通報します。
総務大臣が許可・届出を受理したときは、国家公安委員会に通報します。
施設が海域に関わる場合は、どちらのケースでも海上保安庁長官にも通報が行われます。
この仕組みは、危険物施設の情報を関係する行政機関の間で共有するためのものです。
海の近くの施設だと、通報先が増えるということですか。
はい。
海域に係る施設は海上保安庁長官にも通報されます。
実務で見落としやすいのはどこか

通報の対象から外れる変更もあります。
たとえば設備の一部を同等品に取り替えるだけの変更許可は、この軽易な事項に当たり通報されません。
一方で、貯蔵する危険物の品名や数量、指定数量の倍数を変える場合は、変更許可でも届出でも通報の対象になります。
消防法第11条の4に基づく品名・数量等の変更届出も、この通報の仕組みが準用されます。
「許可だから通報される」「届出だから通報されない」という単純な線引きではない点に注意します。
許可のときだけ通報されて、届出のときは対象外だと思っていました。
品名や数量の変更を伴う届出も、実は通報の対象に入ります。
明日からなにを確認すればよいか

ただし自社の施設が対象かどうかを知っておくことには意味があります。 まず確認するのは、自社の施設の指定数量の倍数です。
製造所・貯蔵所・取扱所の区分ごとに基準が異なるため、施設の種類と倍数の両方を照らし合わせます。
移送取扱所であれば、倍数にかかわらず対象になることも押さえておきます。
今後、品名や数量、指定数量の倍数を変更する予定があるときは、その変更が軽易な事項に当たるかどうかも確認しておくと安心です。
うちの施設が対象かどうか、指定数量の倍数を一度整理してみます。
整理しておくと、変更のたびに慌てずに済みます。
よくある質問
まとめ
指定数量の倍数を確認して、通報の対象になるか一度整理します!
許可や届出の内容整理まで含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第11条第7項
- 消防法第11条の4
- 危険物の規制に関する政令第7条の3
- 危険物の規制に関する政令第7条の4
- 危険物の規制に関する規則第7条の2
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





