危険物を扱う製造所や一般取扱所の敷地に、休憩室を建てたいという相談が増えています。
かつては明確な運用が示されておらず、現場ごとに判断が分かれていました。
規制緩和の流れを受けて、消防庁が休憩室の設置に関する留意事項を初めて定めています。
通達が示したのは休憩室も製造所等の一部として同じ技術基準がそのまま及ぶという線引きです。
敷地の隅に小さな休憩スペースを作りたいと相談したら、消防に事前の相談が要ると言われました。
危険物施設の中は自由に建てられないのですか。
製造所や一般取扱所の内部に建てる休憩室は、そのとおりです。
普通の建物と同じようには建てられません。
うちの休憩室が、その基準を満たしているのか正直わかっていません。
そこから確かめましょう。
構造・使用・火気・位置の4つを、通達の中身から順に見ていきます。
- 休憩室は製造所及び一般取扱所の一部として扱われ、危険物の規制に関する政令第9条及び第19条の技術上の基準がそのまま適用されます
- 休憩室の使用は令第24条第1項第3号の「係員以外みだりに出入りさせない」規定を踏まえ、管理者の十分な監督の下で行う必要があります
- 火気の使用は場所を限定し、出入口に自動閉鎖の戸を設けるなどの措置が求められます
- 休憩室は火災等の災害時の影響を考慮した位置に設けなければなりません
- 休憩室に滞在する者は、非常時に消火・通報・避難の措置を行える体制にあることが求められます
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目次
危険物施設に休憩室を作れるようになったのはなぜか

規制緩和の流れを受けて、消防庁が休憩室の設置に関する留意事項を初めて定めています。
以前は製造所等の内部に休憩室を設けてよいかどうか、現場ごとに解釈が分かれる状態が続いていました。
平成12年3月の閣議決定「規制緩和推進3か年計画(再改訂)」を受け、消防庁が安全性を損なわないことを前提に検討した結果として、この留意事項が示されています。
つまり休憩室は禁止されていたものが解禁されたのではなく、作ってよいが、そのぶんの条件が付いたという位置づけです。
この経緯を知っておくと、次の項目以降で出てくる細かい制約にも納得しやすくなります。
休憩室くらい、普通の建物と同じ感覚でいました。
危険物施設の内部にある以上は別扱いです。
安全性が確認できて初めて認められたものだと考えてください。
休憩室はどんな構造にしなければならないのか

位置・構造・設備の技術基準は、製造所や一般取扱所そのものと同じ物差しで見られます。
休憩室は独立した建物として建てる場合でも、製造所又は一般取扱所の「一部」という位置づけになります。
そのため位置・構造・設備は、危険物の規制に関する政令第9条(製造所の基準)と第19条(一般取扱所の基準)にそのまま従うことになります。
壁や床を耐火構造とし、窓や出入口に防火設備を用いるといった要件は、休憩室にも例外なくかかってきます。
新築や増築の計画段階からこの2条をもとに図面を作り、消防機関と事前にすり合わせておくと手戻りが少なくなります。
休憩室だけ後から簡単な物置みたいに足すことはできないんですね。
できません。
製造所の一部として同じ基準で審査されます。
休憩室の使用と火気の扱いはどこまで制限されるのか

使い方と火気の扱いにも、製造所等ならではの制限がかかります。
令第24条第1項第3号は係員以外のみだりな出入りを禁じており、通達はこれを踏まえて休憩室の使用も管理者の十分な監督の下で行うよう求めています。使用する人数を必要最小限にするといった工夫も例として挙げられました。
火気についても令第24条第1項第2号のみだりな火気使用禁止が及ぶため、喫煙などをする場合は使用場所を限定し、出入口に可燃性の蒸気や微粉の流入を防ぐ自動閉鎖の戸と高い敷居を設け、第5種消火設備を配置するといった措置が例示されています。
つまり休憩室は危険物エリアから完全に切り離された安全地帯ではなく、危険物施設の内側にある特別な区画として管理する必要があるということです。
喫煙所を休憩室の外に別で設けている事業所も多いので、まず現状の使い方を確認しておくと話が早くなります。
うちの休憩室、出入口が普通の引き戸のままでした。
それだと蒸気や粉じんが流れ込むおそれがあります。
自動閉鎖の戸と高い敷居への交換をおすすめします。
休憩室だからといって基準が緩むわけではないのはどこか

見落としやすいのは、休憩室そのものの置き場所です。
休憩室は、火災や爆発が起きた場合の影響を考慮した位置に設けなければなりません。危険物を取り扱う設備のすぐ隣や、延焼・爆風の影響を受けやすい位置に置くことは想定されていません。
さらに、休憩室に滞在する人が非常時に消火・通報・避難の行動をすぐ取れる体制であることも求められています。休憩室だから気を抜いてよい場所、という扱いではないということです。
既存の休憩室がある事業所は、周囲の設備との位置関係と、中にいる人が避難経路をすぐ確認できるかをあらためて見ておく価値があります。
レイアウト変更や増設のたびに、この位置の条件から外れていないかを確認する習慣を付けておくと安全です。
休憩室があるから安心、というわけじゃないんですね。
そのとおりです。
危険物施設の一部だという意識を切らさないことが大事です。
明日から休憩室のなにを確認すればよいのか

根拠になるのは、みだりな火気の使用と、係員以外の出入りを禁じた政令の条文です。
まず休憩室そのものの構造が政令第9条・第19条の基準を満たしているか。次に使用が管理者の監督下に置かれ、利用者数が絞られているか。
続いて火気の使用場所が限定され、出入口に自動閉鎖の戸と第5種消火設備があるか。最後に位置が危険物取扱設備から離れており、滞在者が非常時に消火・通報・避難の行動をとれるか。
この4点は、新設のときだけでなく既存の休憩室を見直すときにも同じ物差しとして使えます。
迷ったときは自己判断で済ませず、所轄の消防機関に事前相談する方が手戻りが少なくて済みます。
新しく休憩室を作るときも、この4つを消防に見せて相談すればいいんですね。
そのとおりです。
設計段階で相談すれば図面のやり直しを防げます。
よくある質問
まとめ
構造・使用・火気・位置の4つを見ればよいと分かりました。
すっきりしました。
その4つを見積りや図面の段階で確認しておけば、大きく外すことはありません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 製造所及び一般取扱所に設ける休憩室の設置に係る留意事項について(平成14年 消防危第30号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する政令第9条(製造所の基準)
- 危険物の規制に関する政令第19条(一般取扱所の基準)
- 危険物の規制に関する政令第24条第1項(製造所等の貯蔵・取扱いの通則)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





