危険物取扱者免状は全国どこでも有効なので、就職や転勤で今の都道府県と免状を出した都道府県が違う方は珍しくありません。
そんなとき、今の勤務先で法令違反が見つかったら、今の都道府県知事がその場で免状の返納を命じてくれるのでしょうか。
実は消防法と関連する省令は、命令を出せる知事と、違反を見つけた知事の役割を細かく分けています。
この記事では免状を交付した都道府県知事だけが返納を命じられる仕組みと、都道府県をまたぐ通知のルールを、条文に沿って解説します。
危険物取扱者免状の返納命令って、聞いたことはあるんですが、誰が出すのかよく分かっていません。
実は消防法の条文を読むと、命令を出せる知事はかなり限定されているんですよ。
え、都道府県知事なら誰でも出せるわけじゃないんですか。
はい。
今日はその仕組みを条文から一緒に見ていきましょう。
- 危険物取扱者免状の返納命令を出せるのは、その免状を交付した都道府県知事だけです。
- 今の勤務地や居住地の都道府県知事が違反を見つけても、自分では返納を命じられず交付元の知事に通知しなければなりません。
- 通知には違反事実の概要と免状の写しを添えることが規則で定められています。
- 交付元の知事が実際に返納を命じる前には、あらかじめ現在の都道府県知事に通知するものとされています。
- 返納を命じられると、その日から1年間は新しい免状の交付を受けられません。
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目次
免状の返納命令はどの都道府県知事が出せるのか

その免状を返納させる命令も、実は交付した知事の専権事項として条文に定められています。
今の勤務先や住所地がどこであっても、交付元という一点だけで権限が決まります。
これは免状が全国共通の資格でありながら、行政処分としての性格を持つためです。
交付した知事でなければ、その免状の交付経緯や講習履歴を正確に把握できません。
だからこそ、次に説明する通知の仕組みが必要になります。
つまり免状を交付した知事にしか、返納命令を出す権限が無いということですね。
そのとおりです。
条文にも交付した都道府県知事とはっきり書かれています。
今の勤務地で違反が見つかったらどうなるのか

まず免状を交付した知事へ知らせることが、条文上の義務になっています。
「できる」ではなく「しなければならない」という強い書き方である点に注意してください。
通知の相手は必ず免状を交付した都道府県知事です。
この通知があって初めて、交付元の知事が返納命令の検討に入れます。
違反を発見した現場の対応が、そのまま制度の入口になっています。
じゃあ今の勤務先で違反が見つかっても、その場の知事は何もできないんですか。
命令こそ出せませんが、通知する義務はちゃんと課されていますよ。
通知にはなにを書き添えるのか

何を書き、何を添えるかまで具体的に定められている点が実務上のポイントです。
記載するのは氏名と違反事実の概要の二点です。
そこに、その人が現在持っている免状の写しを添付します。
写しがあることで、交付元の知事は種類や交付番号をその場で確認できます。
口頭の申し送りだけでは、この規則の要件を満たしません。
通知って、電話や口頭でも大丈夫なものなんでしょうか。
いいえ。
氏名と違反の概要を書いた文書に、免状の写しを添えることが決まっています。
返納命令を出す前に交付元の知事はなにをするのか

命令の前にもう一度、相手の都道府県知事へ知らせる手順が用意されています。
「命じようとするとき」という文言のとおり、これは命令の前段階の手続きです。
見落としやすいのは、通知が往復で二回発生する点です。
現地の知事から交付元へ、そして交付元から現地へという流れになります。
どちらか一方だけで完結する仕組みではありません。
交付元の知事は、通知を受け取ったらすぐ命令を出してしまうんですか。
いえ、その前にもう一度、あらかじめ相手の知事へ知らせる手順があるんです。
危険物取扱者や事業者はなにを確認すればよいか

特に返納命令のあとに待っている不利益を知っておくことが大切です。
まず自分の免状がどの都道府県知事の交付かを確認しておきましょう。
転勤や引っ越しで勤務地が変わったときは、その旨を事業所にも伝えておくと安心です。
違反の指摘を受けたら、通知の相手が交付元になる仕組みを理解したうえで対応してください。
制度を知っておくだけで、いざというときの対応の速さが変わります。
万が一返納を命じられたら、すぐにまた免状を取り直せるものなんですか。
それが、一年間は新しい免状を受け取れない決まりになっています。
よくある質問
まとめ
交付元と今の知事、両方が関わる仕組みだったんですね。
よく分かりました。
免状の管理にご不安があれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十三条の二第四項・第五項・第六項
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年自治省令第一号)第五十一条の二・第五十一条の三
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の事案での命令の要否や手続きの詳細は、免状を交付した都道府県知事にご確認ください。





