BLOG

危険物取扱者試験はなぜ科目ごとに合格基準があるのか|60パーセントの意味と一部免除の扱いを解説

試験会場でマークシートと答案用紙に向かい鉛筆を持つ受験者の写真

危険物取扱者試験には、実技試験がありません。
筆記だけで行われる試験ですが、合否を決める基準は単純な総合点ではありません。
科目ごとに成績が計算され、そのすべてが一定の水準を超えなければ合格になりません。
この記事では危険物の規制に関する規則第54条・第55条の2が定める試験の方法と合格基準を確認します

危険物取扱者試験って、平均点が高ければ合格できるんですよね。

いいえ、科目ごとに合格基準があるんです。
順番に見ていきましょう。

じゃあ1科目でも苦手なところがあると危ないってことですか。

はい、1科目でも基準未満だと不合格になります。
まずは条文から確認しましょう。

この記事の結論
  • 危険物取扱者試験は筆記のみで行われ、実技試験はありません(規則第54条)
  • 合格基準は総合点ではなく、試験科目ごとの成績がそれぞれ60パーセント以上であることです(規則第55条の2)
  • 科目免除を受けた人は、免除された科目を除いた残りの科目で60パーセント以上あれば足ります
  • 1科目でも60パーセントに届かなければ、他の科目が高得点でも不合格になります
  • 合格者には通知が届き、受験番号が都道府県知事によって公示されます(規則第58条)

危険物取扱者試験の科目ごとの合格ラインを示した図解

危険物取扱者試験はどんな方法で行われるのか

試験会場で問題用紙とマークシートに向かう受験者と奥の監督者のイメージ
危険物取扱者試験は、面接や実技を伴う試験ではありません。
どんな方法で行われるのかを、まず条文で確認します。
危険物の規制に関する規則第54条(試験の方法)
危険物取扱者試験(以下この章において「試験」という。)は、筆記によつて行うものとする
同規則第56条第1項(試験の公示)
試験を施行する日時、場所その他試験の施行に関し必要な事項は、都道府県知事(又は指定試験機関)があらかじめ公示する
危険物取扱者試験は筆記のみで行われ、実技試験は課されません
甲種・乙種・丙種のいずれの種類でも、この点は共通です。
日時や場所は都道府県知事、または知事から事務を任された指定試験機関が事前に公示します。
公示のタイミングや方法は受験地によって異なるため、自分が受ける都道府県の告知を必ず確認する必要があります。
次は、この筆記試験でどのように合否が決まるのかを見ていきます。

実技試験がないのは意外でした。

はい、筆記のみで完結する試験です。
次は合格基準を見てみましょう。

合格基準はどこで決まるのか

3枚の答案用紙にそれぞれ異なる高さのゲージが付いたイメージ
試験科目は甲種・乙種・丙種で範囲が異なりますが、合格基準の考え方はどの種類でも同じ仕組みです。
規則の条文を確認します。
危険物の規制に関する規則第55条の2(合格基準)
試験の合格基準は、甲種危険物取扱者試験については前条第1項各号の試験科目ごとの成績が、乙種危険物取扱者試験については同条第2項各号の試験科目ごとの成績が、丙種危険物取扱者試験については同条第3項各号の試験科目ごとの成績が、それぞれ60パーセント以上であることとする。
合格基準は科目ごとの成績で判定され、全体の平均点や総合点では判定されません
甲種は物理学・化学、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法、危険物に関する法令の3科目それぞれで60パーセント以上が必要です。
乙種・丙種も同様に、それぞれの試験科目ごとに60パーセント以上を満たさなければなりません。
「科目ごと」という言葉が意味するのは、得意な科目で高得点をとっても苦手な科目を補えないということです。
自分が受ける種類の試験科目を確認し、科目ごとの対策を意識して学習を進めることが重要になります。

60パーセントというのは全科目の平均でいいんですか。

いいえ、科目ごとに60パーセントが必要です。
次は科目免除がある場合を見ましょう。

科目免除を受けた人の合格基準はどう扱われるのか

証書を掲げる人と免除申請のチェックリストを持つ人のイメージ
すでに他の種類の免状を持っている人などは、試験科目の一部が免除される場合があります。
免除を受けた人の合格基準がどう扱われるのかを確認します。
危険物の規制に関する規則第55条の2(合格基準・かっこ書き)
乙種危険物取扱者試験については同条第2項各号の試験科目(同条第5項又は第6項の規定により試験科目の一部が免除された者については、当該免除された試験科目を除く。)ごとの成績が、丙種危険物取扱者試験については同条第3項各号の試験科目(同条第7項の規定により試験科目の一部が免除された者については、当該免除された試験科目を除く。)ごとの成績が、それぞれ60パーセント以上であることとする。
科目免除を受けた人は、免除された科目を判定の対象から外し、残りの科目だけで60パーセント以上を満たせば合格になります
たとえば乙種の免状をすでに持つ人が別の類の乙種を受ける場合、共通科目である基礎的な物理学・化学と法令の科目が免除されます。
このとき合格基準の対象になるのは、免除されずに残った科目だけです。
免除は「その科目を受けなくてよい」という意味であり、「無条件で加点される」という意味ではありません。
自分にどの免除が当てはまるかは、規則第55条の各項を1つずつ確認する必要があります。

免除された科目は自動的に合格扱いになるんですか。

いいえ、判定の対象から外れるだけです。
次は落とし穴になりやすい点を見ましょう。

一部の科目だけ高得点でも合格できないのはなぜか

2枚の成績表を並べ片方は全科目のゲージが高く片方は1科目だけゲージが低いイメージ
規則第55条の2の「それぞれ」という言葉が、この試験の合否の仕組みを決めています。
なぜ一部の科目の高得点だけでは合格できないのかを整理します。
危険物の規制に関する規則第55条の2(再掲)
(試験科目ごとの成績が)それぞれ60パーセント以上であることとする。
「それぞれ60パーセント以上」とは、すべての科目が個別に基準を満たすことを求める規定です
たとえば物理学・化学で90パーセントをとっても、危険物の性質の科目が59パーセントなら不合格になります。
科目間の得点を足し合わせて平均をとる仕組みではないため、得意科目で苦手科目を相殺することはできません。
実務でよく見落とされるのは、この「科目ごとの基準」を「総合点の基準」と混同してしまうケースです。
学習を進める際は、科目の得意・不得意に偏らず、すべての科目で満遍なく基準を超えられるよう準備することが必要です。

得意科目で苦手科目をカバーできると思っていました。

いいえ、科目ごとに独立した基準です。
最後に合格発表の確認方法を見ましょう。

合格発表後になにを確認すればよいか

掲示板に貼られた合格発表を見る二人のイメージ
すべての科目で基準を満たすと、合格が決まります。
合格したことはどのように知らされるのかを確認します。
危険物の規制に関する規則第58条第1項(合格の通知及び公示)
都道府県知事は、試験に合格した者に当該試験に合格したことを通知するとともに、合格した者の受験番号を公示する
合格者には都道府県知事から個別に通知が届くとともに、受験番号が公示されます
指定試験機関が試験事務を行った場合も、公示の方法は同じ規定が準用されます
通知と公示の両方が用意されているため、通知が届く前に受験番号の公示だけで先に確認できる場合もあります。
合格が確認できたら、次は免状の交付申請の手続きに進むことになります。
自分が受けた都道府県知事のホームページなどで、公示の方法をあらかじめ確認しておくと安心です。

合格の通知と受験番号の公示、両方あるんですね。

はい、通知と公示の両方が用意されています。
最後に確認事項をまとめましょう。

よくある質問

Q危険物取扱者試験に実技試験はありますか?
Aありません。規則第54条により、試験は筆記のみで行うと定められています。
Q合格基準は全科目の総合点で決まりますか?
Aいいえ。規則第55条の2により、試験科目ごとの成績がそれぞれ60パーセント以上であることが基準です。総合点や平均点では判定されません。
Q科目免除を受けた場合、合格基準はどう変わりますか?
A免除された科目を除いた残りの科目で、それぞれ60パーセント以上を満たせば合格になります。
Q合格したことはどうやって確認できますか?
A都道府県知事から合格の通知が届くとともに、受験番号が公示されます(規則第58条第1項)。

まとめ

危険物取扱者試験は筆記のみで行われ、実技試験はありません(規則第54条)
試験の日時・場所は都道府県知事又は指定試験機関があらかじめ公示します(規則第56条)
合格基準は総合点ではなく、試験科目ごとの成績がそれぞれ60パーセント以上であることです(規則第55条の2)
1科目でも基準に届かなければ、他の科目が高得点でも不合格になります
科目免除を受けた人は、免除された科目を除いた残りの科目で60パーセント以上あれば足ります
合格すると都道府県知事から通知が届きます(規則第58条第1項)
あわせて合格した者の受験番号が公示されます

合格基準の仕組み、やっと納得できました!

お役に立ててよかったです。
㈱防災屋でもご相談を承っております

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則第54条・第55条の2・第56条・第58条
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。試験の実施方法や公示の詳細は、受験する都道府県ごとに異なる場合があります。個別の手続きは受験地の都道府県知事又は指定試験機関にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
試験会場でマークシートと答案用紙に向かい鉛筆を持つ受験者の写真
危険物取扱者試験には、実技試験がありません。 筆記だけで行われる試験ですが、合否を決める基準は単純な総合点ではありません。 科目ごとに成績が計算され、そのすべてが一定の水準を超えなければ合格になりません。 この記事では危...