危険物施設の予防規程は、所在地によって書くべき事項が変わることをご存知でしょうか。
とくに大規模地震の想定震源域として指定された地域では、通常の記載事項に加えて上乗せの項目が課されます。
地震防災対策強化地域だけでなく、津波を想定した「推進地域」にも同じような仕組みがあります。
この記事では、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の推進地域に指定された危険物施設が予防規程に追加すべき三つの事項と、南海トラフの推進地域との違いを条文から整理します
うちの施設、日本海溝・千島海溝の推進地域に入っていると聞いたんですが
予防規程は何か変わるんでしょうか。
それは日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく
推進地域の指定ですね。
南海トラフの推進地域とは
別物なんですか。
はい 根拠になる法律も追加する事項の数も
似ていますが別の制度です。
- 危険物施設の予防規程は、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の推進地域に指定されると追加事項が生じます
- 推進地域は内閣総理大臣が指定します
- 追加する事項は津波からの避難確保・防災訓練・教育及び広報の三つです
- 南海トラフの推進地域も同じ三つの事項ですが根拠法が異なります
- 指定の際現に所在する施設は6か月以内に予防規程を変更します
▼

目次
日本海溝・千島海溝の推進地域とはどんな地域を指すのか

まずは日本海溝・千島海溝の推進地域がどんな制度なのかを確認します。
対象になる日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震は、房総半島東方沖から択捉島東方沖までの日本海溝・千島海溝沿いで発生する大規模な地震と定義されています。
南海トラフ地震を想定した推進地域とは、想定される地震そのものが別になります。
自社の施設がどちらか一方、あるいは両方の推進地域に含まれていないか、まずは所在地から確認しておくことが出発点になります。
南海トラフとは別の地震を
想定した制度なんですね。
はい 想定する震源が違うので
指定される地域も別々です。
推進地域内のどの危険物施設が対象になるのか

規則は対象になる者の範囲を条文で限定しています。
所有者・管理者・占有者であれば、施設の規模を問わず対象になります。
ただし指定行政機関の長や指定公共機関など、災害対策基本法に基づく防災業務計画で別に対策を定める者は除かれます。
用途による絞り込みはなく、予防規程を定める義務がある製造所等であれば、推進地域に所在するというだけで対象になります。
自社が指定行政機関・指定公共機関に該当するかどうかも、あわせて確認しておく必要があります。
うちは普通の製造所なんですが
それでも対象になりますか。
はい 指定行政機関などに
該当しなければ対象になります。
推進地域の指定で予防規程に何を書き足すのか

いずれも津波を想定した項目です。
第一号の円滑な避難の確保は、津波が到達するまでの避難経路や避難場所を予防規程に定めることを求めます。
第二号の防災訓練、第三号の教育及び広報は、地震防災対策強化地域の号五・号六とほぼ同じ内容です。
強化地域にあった警戒宣言への対応という項目は、推進地域の三つには含まれていません。
強化地域にあった警戒宣言の項目は
推進地域には無いんですね。
はい 推進地域は津波からの避難を
中心にした構成になっています。
南海トラフの推進地域とはどう違うのか

南海トラフの推進地域と比べてみると、違いが見えてきます。
根拠になる法律は、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十四年法律)と、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十六年法律)で別々です。
違うのは想定する地震と津波の発生源だけで、条文の型・号の数はほぼ同じ構成になっています。
自社の施設がどちらの推進地域(あるいは両方)に指定されているかを、条文名まで含めて確認しておくと予防規程の記載事項を取り違えません。
号の数も内容もそっくりなので
混同しそうです。
はい 根拠になる法律名まで
予防規程に書いておくと安心です。
推進地域の指定があったらいつまでに書き足せばよいのか

既存の施設には、書き足すための猶予期間が設けられています。
起算日は指定があった日で、内閣総理大臣が公示した日を指します。
推進地域の指定後に新設する製造所等は、この猶予期間とは関係なく、予防規程の作成当初から三つの事項を定めておく必要があります。
記載事項を変更するときは、消防法第十四条の二第一項に基づき市町村長等の認可を受けることも忘れてはいけません。
自分の施設がいつ指定されたのか
確認しておかないといけませんね。
はい 指定日から六か月以内という
期限を必ず確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
自社がどの推進地域に入っているか
まず確認してみます!
予防規程の見直しで迷ったら
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十四条の二第一項
- 危険物の規制に関する規則第六十条の二第一項・第四項・第六項・第七項
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第二条・第三条
- 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第三条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





