災害救助法には、災害が起きる前から都道府県が用意しておく災害救助基金という仕組みがあります。
平成25年の改正では、この基金の積立規定の見直しと、市町村への被災者情報の提供などが加わりました。
国の通知と条文で、その中身を確かめます。
災害救助基金って、何のために積み立てているのでしょうか。
救助にかかる費用の財源に充てるためです。
改正では、何が変わったのでしょうか。
積立額の規定の整理と、被災者情報の提供などです。
順番に見ていきましょう。
- 都道府県等は、救助の費用の支弁の財源に充てるため、災害救助基金を積み立てておかなければならないとされています(災害救助法第22条)。
- 通知は、500万円に満たない場合の積立額を定めた後段の規定が、既に実効性を失っているため廃止したと説明しています。
- 現行の第23条は、基金の最少額を、前三年間の普通税の収入額の決算額の平均年額の千分の五に相当する額などと定めています。
- 市町村から被災者台帳の作成のために求めがあったとき、都道府県知事は、保有する氏名・生年月日・性別・住所又は居所を提供するものとされています(第31条)。
- 罰金の額は、他の法令の同種の刑罰と比べて低すぎたため改められ、従事命令違反などは6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金とされています(第32条)。
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目次
災害救助基金は、なぜ都道府県が積み立てておかなければならないのか

災害が起きてから、救助の費用をどうやって工面するのでしょうか。
通知は、その備えとして置かれる基金の目的を説明しています。
基金は、救助の費用を円滑に支弁するための財源です。
通知は、被災都道府県による費用負担が円滑になされるよう、都道府県に災害救助基金を置くと説明しています。
第22条は、都道府県等に、災害救助基金を積み立てておかなければならないと定めています。
財源の対象は、「前条第一項に規定する費用」、つまり第21条第1項に規定する費用の支弁です。
第21条第1項の費用には、都道府県等が第18条の規定により支弁した費用などが含まれます。
条文の「都道府県等」には、都道府県のほか救助実施市が含まれます(第17条)。
基金は、都道府県が備えておくお金なのですね。
第22条が積み立てておかなければならないと定めています。
積立額の後段の規定は、なぜ廃止されたのか

通知は、基金の積立額を定めた規定のうち、後段を廃止したと説明しています。
なぜ廃止されたのかを、通知の言葉で確かめます。
廃止されたのは、500万円という下限を定めた後段です。
通知は、後段を「これが500万円に満たない場合は500万円以上積み立てる」という積立額の下限の規定と説明しています。
廃止の理由は、各都道府県の財政規模の拡大に伴い、後段が既に実効性を失っていたことです。
現行の第23条には、500万円という金額は見当たりません。
現行の第23条は、最少額を、前三年間の普通税の収入額の決算額の平均年額の千分の五に相当する額と定めています。
第2号・第3号は、救助実施市を包括する都道府県と救助実施市の最少額を、人口の割合で分ける定めです。
500万円の下限は、もう条文にないのですか。
現行の第23条には見当たりません。
通知は、後段を廃止したと説明しています。
被災者台帳をつくる市町村に、都道府県はどの情報を提供するのか

被災した市町村は、被災者の援護を進めるために、被災者の情報を集める必要があります。
通知は、その入口になる仕組みと都道府県の役割を説明しています。
被災者台帳は、援護を実施するための基礎になります。
通知は、被災者台帳を、氏名等や被害状況等を一元的に集約した台帳と説明しています。
第90条の3第1項は、市町村長が、必要があると認めるときに台帳を作成することができると定めています。
通知が「救助法第30条関係」と書く都道府県の情報提供は、現行の災害救助法では第31条に置かれています。
提供の対象は、災害対策基本法第90条の3第2項第1号から第4号まで、つまり氏名・生年月日・性別・住所又は居所です。
提供するのは、都道府県知事が自らが保有するものに限られます。現行の第31条の文末は「提供するものとする」です。
都道府県は、持っていない情報まで集めて渡すのでしょうか。
第31条は自らが保有するものと定めています。
救助法の罰則は、なぜ罰金の額が改められたのか

災害救助法には、救助への協力を求める規定と、それに応じない場合の罰則があります。
通知は、罰金の額を改めた理由を説明しています。
罰金の額は、他の法令との比較で低すぎたため改められました。
通知は、罰金の額が昭和37年の改正で一度引き上げられたのみで、他の法令の同種の刑罰と比べて著しく低いと説明しています。
通知が「第31条から第34条まで関係」と示す罰則は、現行では第32条から第35条までに置かれています。
現行の第32条は、従事命令や保管命令に従わなかった者を、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処すると定めています。
第33条は、偽りその他不正の手段により救助を受けた者を、同じく6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金としています。
第34条は、立入検査を拒む・報告をしない・虚偽の報告をした者を、20万円以下の罰金としています。
罰金の額は、今も同じなのでしょうか。
現行の条文では第32条から第34条で確かめられます。
明日から何を確認しておけばよいのか

災害が起きてからでは、条文を確かめる余裕がありません。
平常時に確認しておくと、落ち着いて動けます。
通知の条番号は、現行の条文で引き直して確認します。
基金の積立は、都道府県等に課された義務で、第22条・第23条で確かめられます。
医療・福祉・土木建築工事・輸送関係者は、救助に関する業務への従事命令(第7条)の対象になり得ます。範囲は政令で定められます。
従事した場合は、その実費が弁償されます(第7条第5項)。
市町村の被災者台帳に関わる担当者は、都道府県から提供される情報の範囲を第31条で確認しておきます。
通知の条番号と現行の条番号がずれていることに注意し、個別の判断は所轄の自治体に確認します。
通知の条番号のまま調べると、ずれてしまうのですね。
現行の条文で引き直すのが安心です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
現行の条文で、まず確認してみます!
それが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について(平成25年6月21日 府政防第559号・消防災第246号・社援総発0621第1号)
- 災害救助法(昭和22年法律第118号)第4条、第7条、第22条、第23条、第31条、第32条から第34条まで
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第90条の3
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





