台風や大雨の特別警報が出たとき、その情報はどこを経由してあなたの建物まで届くのでしょうか。
気象庁が一つの窓口だけに知らせて終わり、というわけではありません。
実は法律で、警察庁や消防庁、都道府県、市町村長へと伝える経路そのものが決められています。
本記事では気象業務法第十五条・第十五条の二が定める警報の通知経路と、特別警報で市町村長の義務が強まる仕組みを解説します。
特別警報が出たとニュースで見ましたが、うちの建物にはどう伝わるんですか。
気象庁から一直線ではなく、警察庁や消防庁を経由する仕組みです。
順番に確認しましょう。
経由する機関が多いと、届くまで時間がかかりそうで心配です。
実は特別警報だと市町村長の周知が努力義務から義務に変わります。
条文を見ながら整理しましょう。
- 気象業務法第十五条は、気象庁が警報を出したとき警察庁・消防庁・都道府県等へ直ちに通知することを義務づけています。
- 通知を受けた都道府県等は、関係市町村長へ通知するよう努めなければなりません。
- 特別警報では、市町村長の周知が努力義務ではなく講じなければならない措置に強化されます。
- 通知の対象には東日本電信電話・西日本電信電話や日本放送協会も含まれます。
- 消防法第二十二条の火災に関する警報とは、根拠となる法律も対象も異なります。
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目次
気象庁の警報はなぜ複数の機関を経由して伝わるのか

そこで気象業務法は、通知の経路そのものを条文で定めています。
条文が挙げる通知先には、警察庁や消防庁のほか、都道府県や通信・放送を担う機関まで含まれています。
これは一つの窓口に知らせるだけでは、必要な人に届く保証がないためだと考えられます。
消防庁もこの最初の通知先に含まれているため、消防組織を通じて建物側にも影響が及ぶ経路が生まれます。
次は、この通知が実際にどの機関からどの機関へ渡っていくのかを見ていきましょう。
消防庁も最初の通知先に入っているとは知りませんでした。
はい、消防庁も最初の通知先の一つです。
次は伝わる順番を見てみましょう。
警報事項は具体的にどの機関へ渡っていくのか

条文は次の受け渡し先まで指定しています。
「通知しなければならない」ではなく「努めなければならない」という言い回しである点が、あとで見る特別警報との違いにつながります。
海上保安庁を通じた通知は航海中の船舶へ、国土交通省を通じた通知は航行中の航空機へという、建物以外への経路も条文には並んで書かれています。
建物側に関わるのは、都道府県等から市町村長へ渡るこの経路です。
次は、市町村長に届いた後どうなるのかを見ていきましょう。
都道府県から市町村まで、ちゃんと届く保証はあるんですか。
通常の警報は条文上努力義務です。
次は市町村からどう伝わるかを見てみましょう。
警報と特別警報では市町村長の義務がどう違うのか

条文を並べて比べてみましょう。
言い回しの違いは、実際に求められる対応の重さの違いを表していると考えられます。
特別警報は重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合に発表されるため、市町村長にも踏み込んだ対応が求められると考えられます。
しかも特別警報では、都道府県等から市町村長への通知そのものも努力義務ではなく義務に変わっています。
次は、この仕組みと消防法第二十二条の火災警報との違いを確認します。
特別警報のときは、市町村がちゃんと放送してくれるんですね。
はい、周知させる措置が義務になっています。
次は火災警報との違いを見てみましょう。
消防法第二十二条の火災に関する警報とは何が違うのか

混同すると実務を誤ります。
気象業務法第十五条の通知はあらゆる種類の気象警報を対象にしていますが、消防法第二十二条は市町村長が「気象の状況が火災の予防上危険」と判断した場合に限られます。
消防法第二十二条の警報が発令されると、住民は市町村条例で定める火の使用制限に従う義務を負いますが、気象業務法の警報自体にはそのような行為制限はありません。
両方の警報が同じタイミングで出ることもあるため、どちらの根拠で何が求められているのかを混同しないことが大切です。
次は、この違いを踏まえて明日から確認すべきことを整理します。
気象庁の警報と消防法の火災警報、まぎらわしいです。
対象にする警報の範囲がそもそも違います。
次は確認すべき点を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認すべきポイントを整理します。
気象業務法第十三条の二は、重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合として気象庁が定める基準に該当するときに特別警報を出すと定めています。
消防計画や防災計画の中に、特別警報が出たときの行動を書き込んでいるかどうかを見直してみましょう。
防災行政無線や自治体の速報メールなど、市町村からの周知を受け取れる手段を日頃から確認しておくことも欠かせません。
自分の建物がどの経路で警報を受け取れるのかを、今日のうちに確認してみてください。
特別警報の基準まで把握している防火管理者は少ない気がします。
だからこそ、基準を知っておくことが備えになります。
次によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
気象庁の警報が届く仕組みがよく分かりました。
うちの消防計画も見直してみます。
特別警報への備えが一番の対策になります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)第十三条の二・第十五条・第十五条の二
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二十二条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





