体育館や倉庫のような広い空間では、送光部と受光部を離れた場所に設置する光電式分離型感知器がよく使われます。
ところが天井が斜めだったり、ドーム状だったりする建物では、光軸をどう引けばよいのか迷う場面が少なくありません。
消防庁は昭和62年、こうした特殊な形状の天井や凹凸のある壁面に感知器を設ける場合の技術上の基準の細目を通知でまとめました。
この記事を読めば、傾斜天井やドーム形天井での光軸の設定方法と、見落としやすい注意点が分かります。
今度体育館の改修で光電式分離型感知器を付けるんですが、天井が三角に傾斜していて、どう設置すればいいのか分かりません。
傾斜した天井には専用の設定ルールがあります。
まずは天井の形が傾斜形かドーム形かを確認しましょう。
のこぎり屋根のような複雑な形もあるんですが、それも対象になりますか。
はい。
のこぎり形や差掛形、越屋根がある形でもそれぞれ設定の仕方が示されています。
- 対象は傾斜等がある天井等や凹凸がある壁面を持つ防火対象物における光電式分離型感知器の設置です
- 光軸の高さは天井等の高さの80%以上となるように設けます
- 監視区域は光軸を中心に左右水平距離7m以下の範囲で設定します
- 越屋根の幅が1.5m以上か未満かで監視区域の設定方法が変わります
- 公称監視距離を超える空間では未監視部分が生じないように光軸を連続して設定します
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目次
光電式分離型感知器の設置基準はなぜ通知で示されたのか

体育館や倉庫のような広い空間で使われますが、天井の形が複雑だと設置に迷いが生じます。
光電式分離型感知器は、天井が高く広い体育館・倉庫・工場・展示場などで多く採用されています。
しかし建物の屋根はすべてが平らな天井とは限らず、切妻や片流れ、のこぎり形、差掛形、越屋根付きなど形状はさまざまです。
また凹凸がある壁面や、ドーム形の天井を持つ建物もあります。
消防庁はこうした特殊な形状にどう感知器を設ければよいかを、昭和62年にこの通知でまとめました。
まずはどんな建物が対象になるのか、次の章で確認しましょう。
体育館の天井、確かによく見ると三角形に傾斜しています。
これも対象になるんでしょうか。
はい。
傾斜した天井もこの通知が定める対象に含まれます。
どんな天井や壁面を持つ建物が対象になるのか

通知は形状ごとに設置の考え方を分けて示しています。
傾斜形天井等には、切妻・片流れ・のこぎり・差掛・越屋根といった屋根の形状が含まれます。
天井の高さが場所によって変わるアーチ形やドーム形の天井も、同じ考え方で扱われます。
壁に凹凸がある場合は、感知器の光軸と壁との水平距離のとり方が別に示されています。
自分の建物の屋根や壁の形がどのパターンに近いか、次の章の基準と照らし合わせてみましょう。
うちの倉庫はのこぎり屋根です。
この形も想定されているんですか。
はい。
のこぎり形天井も傾斜形天井等の1つとして扱われます。
光軸の高さと監視区域はどう決めるのか

光軸の高さと監視区域の広さが基本になります。
一の感知器がまかなえる監視区域は、光軸を中心に左右水平距離7m以下の範囲です。
まず天井等の高さが最高となる部分を含むように監視区域を設定し、そこから順に隣接させていきます。
越屋根がある傾斜形天井等では、越屋根部の幅が1.5m以上か未満かで光軸の設定方法が変わります。
公称監視距離を超える広さの空間では、未監視の部分が生じないよう光軸を連続して設定することが必要です。
数値と手順をセットで押さえておくと、施工図面のチェックが早くなります。
80%というのは、天井のいちばん高いところを基準にすればいいんでしょうか。
基本的にはそのとおりです。
天井等の高さが最高となる部分をもとに光軸の高さを決めます。
実務で見落としやすいのはどこか

とくに次の2点でつまずきやすいので注意してください。
天井の広さが感知器の公称監視距離を超える場合、光軸を連続して設定して未監視部分をなくすのが原則です。
ただし点検・維持管理用の通路を設ける場合は、通路をはさむ隣接感知器の水平距離を1m以内にしなければなりません。
もうひとつの落とし穴は、送光部・受光部の取り付け位置です。
背部の壁から1m以内、並行する壁からは0.6m以上離すという、2つの異なる距離条件が同時に効きます。
図面の段階でこの2条件をどちらも満たしているか、必ず確認しておきましょう。
通路があるところは間隔を詰めるなんて、逆のイメージでした。
見落としやすい点です。
未監視部分を作らないための決まりだと考えてください。
明日から何を確認すればよいのか

手元の施工図面と照らし合わせながら進めてください。
まず建物の天井が傾斜形天井等・ドーム形天井等・凹凸がある壁面のいずれに当たるかを図面で確かめます。
次に光軸の高さが天井等の高さの80%以上になるように設定し、監視区域が水平距離7m以下でつながっているかを見ます。
点検通路がある場合は、隣接する感知器の間隔が1m以内になっているかもあわせて確認します。
配線についても、電源側・信号線側とも所定の規定に沿っているかを施工業者に確認しましょう。
判断に迷う点が残ったら、そのまま現場合わせで進めず所轄消防署へ事前に相談してください。
天井の形と光軸の高さ、それに配線を図面で確認してみます。
3点を押さえれば、設置計画のチェックはひととおり終わります。
よくある質問
まとめ
天井の形と光軸の高さを確認して、監視区域に切れ目がないようにします!
それが分かれば、施工図面のチェックも安心して進められます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 光電式分離型感知器の設置に関する細目について(通知)(昭和62年 消防予第193号 消防庁予防課長)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項第7号の3・第24条第1項第1号・第7号・第8号・第12条第1項第5号
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





