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キャバレーや遊技場の自動火災報知設備はなぜ300平方メートル以上で足りるのか|個室があるカラオケボックス等との基準の違いを解説

夕暮れの繁華街に建つ小規模なテナントビルの外観

キャバレーやパチンコ店を営む建物でも、自動火災報知設備の設置義務は延べ面積で線引きされています。
ところが同じ(2)項の中でも、カラオケボックスのような個室型の店舗だけは面積を問わず設置が必要です。
この違いは消防法施行令第21条が用途を号ごとに振り分けているために生まれています。
広さより先に、自分の店がどの号に当たるのかを確かめる必要があります

うちはキャバレーの店舗ですが、面積が小さければ自動火災報知設備は要らないと聞きました。
本当でしょうか。

300平方メートル以上かどうかで変わります。
まずは(2)項のどの区分に当たるかを確認しましょう。

区分によって基準が違うということですか。

はい。
個室の有無が分かれ目になります。

この記事の結論
  • (2)項イ・ロ・ハ(キャバレー・遊技場・性風俗関連特殊営業)の自動火災報知設備は延べ面積300平方メートル以上で設置義務が生じます
  • 個室で遊興させる(2)項ニ(カラオケボックス等)は面積を問わず全部設置義務です
  • 分かれ目は個室の有無で、閉鎖された空間ほど厳しい基準になります
  • 複合ビルのテナントは建物全体の延べ面積で判定されるため、自分の区画だけでは判断できません
  • 根拠は消防法施行令第21条第1項第1号イ・第3号イです

(2)項の自動火災報知設備の面積基準を示した図解

キャバレーや遊技場の自動火災報知設備には面積の下限があるのか

キャバレーの店舗の前にメジャーを伸ばして床面積を測っているイメージ
自動火災報知設備が要るかどうかは、用途だけでなく面積でも決まります。
(2)項の中でも号が分かれると、この面積の扱いが変わります。
【消防法施行令第21条第1項第3号】次に掲げる防火対象物で、延べ面積が三百平方メートル以上のもの
イ 別表第一(一)項、(二)項イからハまで、(三)項、(四)項、(六)項イ(4)及びニ、(十六)項イ並びに(十六の二)項に掲げる防火対象物
面積の下限は号ごとに決まります
第3号イに並ぶ用途は、劇場やキャバレー、遊技場、百貨店など延べ面積300平方メートル以上という共通の下限を持つグループです。
このグループに入っている間は、小さな店舗であれば設置義務そのものが生じません。
ただし後で見るとおり、同じ(2)項でもこのグループに入らない区分があります。
まず自分の店舗が第3号イのどの文字(イ・ロ・ハ)に当たるのかを確認してください。

号ごとに面積の下限が決まっているとは知りませんでした。

用途を号ごとに並べた表になっています。
図面の延べ面積を先に確認しておいてください。

(2)項イロハのどこまでが300平方メートル以上の対象になるのか

キャバレーと遊技場と無地の看板を掲げた店舗が並んでいるイメージ
(2)項は一つの項目ではなく、イからニまでの4つに枝分かれしています。
このうちイ・ロ・ハの3つが第3号イのグループに入ります。
【消防法施行令別表第一(二)項】イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
ロ 遊技場又はダンスホール
ハ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第五項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(略)その他これに類するものとして総務省令で定めるもの
イ・ロ・ハはいずれも客が広間や個々のブースを見渡せる形の営業です。
イはキャバレーやナイトクラブ、ロはパチンコ店やゲームセンターなどの遊技場、ハは個室を設けていない性風俗関連特殊営業の店舗を指します。
ハの条文には「ニ(略)に掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く」という除外が入っており、個室型の営業はハではなくニ側に振り分けられます。
自分の店舗がイ・ロ・ハのどれかに当たれば、延べ面積300平方メートルという同じものさしで判定されます。

イ・ロ・ハは全部同じ扱いと考えてよいのですね。

自動火災報知設備についてはそうなります。
ただしニに当たるかどうかの境目は別に確認が必要です。

なぜ個室のあるカラオケボックス等だけ面積を問わず設置義務になるのか

機械が並ぶ見通しのよい広間と個室のドアが並ぶ廊下を見比べたイメージ
同じ(2)項でも、ニだけは第1号のグループに入っています。
第1号には面積の条件そのものがありません。
【消防法施行令第21条第1項第1号】次に掲げる防火対象物
イ 別表第一(二)項ニ、(五)項イ、(六)項イ(1)から(3)まで及びロ、(十三)項ロ並びに(十七)項に掲げる防火対象物
ニは旅館や病院と同じ列に置かれています
(2)項ニは「カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗」で、ネットカフェや漫画喫茶の個室部分もここに含まれます。
イ・ロ・ハの広間型の営業は、火元があれば客や従業員がその場で気づきやすい構造です。
一方で個室は扉で仕切られ、隣の部屋の異変に気づきにくいという条件が共通しています。
だからこそニだけは面積の小さい店舗であっても、旅館や病院と並んで設置義務のグループに入れられています。

個室があるかどうかだけで、こんなに扱いが変わるのですね。

はい。
個室の有無は号を分ける大きな要素です。

実務で見落としやすいのはどこか

複合ビルの一室だけを示す図面と建物全体を囲む虫眼鏡を並べたイメージ
第3号イには(16)項イ、つまり複合用途防火対象物そのものも並んでいます。
ここで面積の数え方を間違えるケースがあります。
【消防法施行令第21条第1項第3号イ(再掲)】別表第一(一)項、(二)項イからハまで、(三)項、(四)項、(六)項イ(4)及びニ、(十六)項イ並びに(十六の二)項に掲げる防火対象物
自分のテナントの面積だけでは判定できません
雑居ビルの中の小さなキャバレー1軒が100平方メートルでも、(16)項イとして扱われる建物全体の延べ面積が300平方メートル以上あれば、その建物には自動火災報知設備が要ります。
「自分の区画は小さいから対象外」という判断は、複合ビルのテナントでは成り立ちません。
もう一つの落とし穴は区分そのものの変化です。
イやロで営業していた店舗が改装で個室を増やすと、その部分は(2)項ニ側の扱いに変わり、面積を問わない基準に切り替わることがあります。

うちの店だけ見ていては駄目で、ビル全体を見る必要があるのですね。

そのとおりです。
改装の予定があるときも、区分が変わらないか先に確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

図面を持つ担当者と壁の受信機を確認している様子のイメージ
区分と面積さえ確認できれば、あとは維持の問題です。
消防法は設置だけでなく維持も義務にしています。
【消防法第17条第1項】学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない
やることは3つです
一つ目は自分の店舗が(2)項イ・ロ・ハ・ニのどれに当たるかを図面と営業実態で確認することです。
二つ目は延べ面積の確認で、単独店舗なら自店の面積を、複合ビルのテナントなら建物全体の延べ面積を確かめます。
三つ目は既に付いている受信機と感知器の点検で、個室部分にも感知器が届いているかを見ます。
判断に迷う区分が出てきたら、図面を持って所轄の消防署に相談してください。

区分・面積・点検の3つを順番に確認していけばよいのですね。

その順番が確実です。
確認した内容は点検記録としても残しておいてください。

よくある質問

Q小さなキャバレーの店舗なら自動火災報知設備は不要ですか?
A単独の建物であれば延べ面積が300平方メートル未満のうちは第3号イの基準からは外れます。ただし複合ビルのテナントである場合は建物全体の延べ面積で判定されるので別に確認が必要です。
Q個室を作れば基準が厳しくなりますか?
A(2)項ニに当たる個室での遊興サービス提供業に該当すれば、面積を問わない基準に切り替わります。改装で個室を増やす前に区分を確認してください。
Q複合ビルのテナントは自分の区画の面積だけを見ればよいですか?
Aいいえ。(16)項イとして扱われる建物は建物全体の延べ面積で判定されるため、自分の区画だけを見て対象外と判断しないでください。
Q性風俗関連特殊営業に当たるかどうかはどう判断しますか?
A風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項の定義に基づいて判断されます。個室の有無を含めた個別の判定は所轄消防署にご確認ください。

まとめ

(2)項イ・ロ・ハ(キャバレー・遊技場・性風俗関連特殊営業)は延べ面積300平方メートル以上で自動火災報知設備の設置義務が生じます
個室で遊興させる(2)項ニ(カラオケボックス等)は面積を問わず全部設置義務です
分かれ目は個室の有無で、閉鎖された空間ほど厳しい基準になります
性風俗関連特殊営業のうち個室を設けていないものがハに当たります
複合ビルのテナントは建物全体の延べ面積で判定されます
改装で個室を増やすと区分そのものが変わることがあります
根拠は消防法施行令第21条第1項第1号イ・第3号イです

まずは自分の店舗が(2)項のどの区分に当たるかを図面で確かめます。

区分の判断に迷う場合は現地を見ないと分からないことも多いです。
迷う区画が出てきたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持の義務)
  • 消防法施行令第21条第1項第1号(自動火災報知設備を面積を問わず設置する防火対象物)
  • 消防法施行令第21条第1項第3号(自動火災報知設備を延べ面積300平方メートル以上で設置する防火対象物)
  • 消防法施行令別表第一(二)項(キャバレー等・遊技場等・性風俗関連特殊営業店舗等・カラオケボックス等の区分)
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項(性風俗関連特殊営業の定義)
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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