給油取扱所の敷地には、給油のための空地のほかに駐車スペースや付帯設備を置く場所があります。
昭和62年の消防庁の質疑応答には、その空地や駐車スペースをどこまで給油以外に使えるかをめぐる照会がまとまって残っています。
この記事では、そのうちの五つの論点を取り上げ、現行の危険物の規制に関する政令や消防法と照らして読みます。
当時どう判断されたのか、今はどの条文にあたるのかを、順に確かめます。
うちの給油取扱所、駐車スペースが空いてる時間が長いんですけど、有料駐車場にしたら駄目ですか。
そこは昭和62年の質疑応答に、まさにその照会が残っています。
駐車場だけでなく、設備の入替えや予防規程の話も一緒に整理されています。
それ、今の条文にも通じる話ですか。
一つずつ確かめます。
空地の目的と、設備や人の要件の両方が関わってきます。
- 駐車スペースを有料駐車場にすることは、給油業務時間外に係員以外が出入りすることになるため適当でないとされました
- 駐車スペースで車庫証明をとることは可能ですが、移動タンク貯蔵所の常置場所にすることは認められませんでした
- クイックサービス用ユニットは、給油業務に支障がないと認められればアイランド上や犬走りに設けられました
- 固定されたタイヤチェンジャーやホイルバランサーの取替えは、軽微な変更として資料提出の対象とされました
- 危険物保安監督者の代行者に危険物取扱者がいなくても、予防規程は不認可とすべきではないとされました
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目次
給油取扱所の駐車スペースを有料駐車場にできるか

昭和62年には、この駐車スペースを有料駐車場として一般に貸し出せるかという照会が各都道府県消防主管部長あてにありました。
(昭和62年6月17日 消防危第60号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の政令第17条第1項第二号は、給油空地を「自動車等が出入りするための空地」と定義しており、給油取扱所は危険物を取り扱う施設として常に管理されていることが前提です。業務時間外に不特定の利用者が出入りする状態は、この管理の前提と相性が悪く、当時の判断もそこに理由を置いています。
禁止場所の外なら置けるけど、有料にするとなると話が別なんですね。
はい。
業務時間外の出入りが理由にされています。
駐車スペースを移動タンク貯蔵所の常置場所にできるか

昭和62年には、給油取扱所の駐車スペースを車庫証明や常置場所に使えるかという照会がありました。
(昭和62年6月17日 消防危第60号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
指定数量未満の危険物車両は消防法の規制対象外のため、車庫証明(道路運送車両法上の手続き)をとること自体は妨げられません。一方で移動タンク貯蔵所の常置場所は、現行の政令第15条第1項第一号で「屋外の防火上安全な場所」又は「耐火構造若しくは不燃材料の建築物の一階」と定められています。給油取扱所の駐車スペースは、政令第17条が定める給油取扱所自体の空地として管理される場所であり、別の危険物施設である移動タンク貯蔵所の常置場所として重ねて使うことは想定されていません。
車庫証明は取れるのに、常置場所は駄目なんですね。
はい。
手続きの種類が違うので答えも分かれます。
クイックサービス用ユニットをアイランドや犬走りに置けるか

昭和62年には、このユニットをアイランド上や犬走りに置けるかという照会がありました。
(昭和62年6月17日 消防危第60号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の政令第17条第1項第二号は、給油空地を自動車等が出入りし給油を受けるための空地として定めており、この目的を妨げない範囲であれば付帯設備の設置を一律に禁じてはいません。クイックサービス用ユニットのような小型設備は、給油業務の支障の有無という個別判断の枠組みで扱われます。
置けるかどうかは、サイズより支障の有無なんですね。
はい。
給油業務に支障がないかが判断の軸です。
洗車機やタイヤチェンジャーの取替えは変更許可になるか

昭和62年には、固定された洗車機やオートリフトと、タイヤチェンジャーやホイルバランサーの取替えの扱いが照会されました。
(昭和62年6月17日 消防危第60号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
消防法第11条第1項は、製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しようとする者に許可を受けることを義務づけています。洗車機やオートリフトのような大型設備の入替えはこの変更許可の対象ですが、タイヤチェンジャーやホイルバランサーのような附属機器の入替えは、所轄消防機関への資料提出で足りる軽微な変更として扱われました。
同じ取替えでも、許可がいるものといらないものがあるんですね。
はい。
設備の規模で線引きされています。
危険物取扱者が足りないとき予防規程は認可されないのか

昭和62年には、代行者に危険物取扱者がいないとき予防規程を不認可とすべきかという照会がありました。
(昭和62年6月17日 消防危第60号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
消防法第14条の2第2項は、予防規程の認可をしてはならない場合を「技術上の基準に適合していないとき」又は「火災の予防のために適当でないと認めるとき」に限定しています。危険物保安監督者そのものは同法第13条第1項により甲種又は乙種の危険物取扱者で6月以上の実務経験を有する者から定められますが、その業務を代行する者にまで同じ資格を求める規定はなく、代行者が無資格であること自体は不認可の理由にならないという整理です。
代行者と監督者本人は、別の話として扱われるんですね。
はい。
認可基準は限定列挙というのがポイントです。
よくある質問
まとめ
うちの駐車スペース、何に使っていいかやっと整理できました。
変更を考えているところは、先に確かめてみます!
空地の使い方は、所轄消防機関への確認が一番確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第11条・第13条・第14条の2
- 危険物の規制に関する政令第15条・第17条
- 昭和62年6月17日 消防危第60号(給油取扱所の規制事務に関する執務資料の送付について)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





