給油取扱所の裏に自動車の車庫があり、その間はへいで仕切られている。
車を通すために、へいの一部に出入口を開けたい。
認められるとして、へいはどうあるべきか。
回答は許すだけでなく、空地の数え方まで釘を刺しています。
給油取扱所のへいに、車を通すための出入口を設けてもよいのでしょうか。
認められます。
ただし防火扉を設けて使用時以外は閉鎖し、そのうえで給油に必要な空地を別に確保することとされました。
事務所に油蒸気が入らない構造とは、具体的に何をすればよいのでしょうか。
敷居の高さを上げることだとされました。
しかもこの回答は、後年の改正で数値が改められています。
- 給油取扱所のへいに自動車の出入口を設けることは認められますが、出入口には防火扉を設け使用時以外は閉鎖しておくこととされています
- さらに、出入口に通じる空地以外に、給油に必要な空地を必要とするとされました
- もれた油蒸気が事務所その他火気を使用するものの内部に流入しない構造とは、犬走り又は出入口の敷居の高さを上げることを意味しています
- この敷居の高さは、後年の改正により15センチメートル以上とされました
- 先端に弁を設けた全長3メートル以下の給油管とは、ゴム製パイプに連続した金属製ノズルの先端までを含みます
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目次
へいに自動車の出入口を設けられるか

へいは本来、隣とのあいだを塞ぐために設けるものです。そこに穴を開けるのだから、そのままでは趣旨に反します。
条件は2つに分かれています。前半は開口部そのものへの手当てで、防火扉を設け、使用時以外は閉鎖しておくこと。開いているのは車が通る一瞬だけであれば、ふだんはへいとして働きます。
後半が見落としやすいところです。出入口に通じる空地は、給油空地に数えられません。
車が出入りするための通路をそのまま給油空地として計上することはできず、それとは別に給油に必要な空地を確保しなければならないという意味です。
出入口を1つ開けたぶん、敷地の中で使える面積が減ることになります。計画のうえでは、扉の仕様よりもこちらのほうが効いてきます。
閉じていれば壁と同じ、という考え方なのですね。
扉と運用の両方が条件です。
使用しないときの閉鎖を、手順に書いてください。
事務所に油蒸気が入らない構造とは

政令は、事務所その他火気を使用するものは、もれた油蒸気がその内部に流入しない構造とするとしています。照会側はその意味をつかみかねていました。
照会側が思い浮かべたのは、防火戸にすることと、ファンで空気を吹き出すことの2つでした。回答が示したのはどちらでもありません。
ガソリンの蒸気は空気より重く、地表付近を這うように流れます。だから床の高さで止めればよい、という単純な話でした。ファンを回し続ける必要も、冬に寒い思いをする必要もありません。
この回答には注解が付いており、後年の改正で数値が15センチメートル以上に改められています。昭和62年3月31日付けの政令第86号および4月20日付けの自治省令第16号によるものです。
程度という言い方が、以上という基準に変わりました。実務では改正後の数値で見ることになります。
敷居の高さで対応するのですね。
蒸気は低いところに溜まります。
いまの敷居の高さを、現地で測ってください。
給油管の全長3メートルはどこまで数えるか

政令は、先端に弁を設けた全長3メートル以下の給油管という言い方をしています。ホースとノズルのどこまでを含めて3メートルなのかという確認です。
ゴムのホース部分だけを測って3メートルに収める、という数え方はできません。金属製ノズルも給油管の一部として長さに算入されます。
届く範囲を制限しているのが3メートルという数字の趣旨なので、実際に油が出る先端までを測るのが素直です。
ノズルの長さは短いようでも、ぎりぎりで設計していれば超過する可能性があります。
長さはノズルの先まで数えるのですね。
ホースだけではありません。
実際の全長を、測って記録してください。
静電気を除去する装置とはどのようなものか

給油管の先端には静電気がたまります。それを有効に除去する装置とは何を指すのかという問いでした。
特別な機器ではなく、電気を通しやすい線でつなぐという答えです。
接続先は2通り示されています。ノズルとタンク部分をつなぐか、ノズルと大地をつなぐか。前者は同じ系統の中で電位差をなくす考え方、後者は溜まった電荷を地面へ逃がす考え方です。
どちらでもよいとされている点に、この時期の回答の姿勢が出ています。目的が果たせれば手段は問わないという構えです。
静電気は、線でつないで逃がすのですね。
接続の方法が示されています。
接地の状態を、点検で確かめてください。
附随設備と油脂庫の数量は別々に数えるか

どちらにも指定数量の枠がかかりますが、その枠が1つなのか2つなのかで置ける量が倍ちがってきます。
附随設備の総和で指定数量以下、油脂庫の中で指定数量以下。それぞれが独立した枠として扱われます。
前の記事で見た混合油調合器の話は、附随設備の枠の中での数量でした。あちらは調合器を減らして枠に収める必要がありましたが、油脂庫のほうはそれとは別に数えられます。
どの枠に属する設備なのかを取り違えると、置ける量の見積もりが大きく狂います。
数量の枠は、別々に数えるのですね。
それぞれ独立しています。
保管の場所ごとに、量を管理してください。
よくある質問
まとめ
- 給油取扱所のへいに自動車の出入口を設けることは認められますが、出入口には防火扉を設け使用時以外は閉鎖しておくこととされています
- さらに、出入口に通じる空地以外に給油に必要な空地を必要とするとされました
- もれた油蒸気が事務所その他火気を使用するものの内部に流入しない構造とは、犬走り又は出入口の敷居の高さを上げることを意味しています
- 昭和37年の回答は15センチメートル程度としていましたが、注解により後年の改正で15センチメートル以上に改められました
- 照会側が挙げた防火戸や換気ファンではなく、床の高さで止めるという考え方が示された形です
- 先端に弁を設けた全長3メートル以下の給油管とは、ゴム製パイプに連続した金属製ノズルの先端までを含みます
- 静電気を除去する装置とは、電気良導体である線等でノズルとタンク部分又はノズルと大地を接続させる等の装置をいいます
- 附随設備に収納する数量と油脂庫に収納する数量は、別々に指定数量以下と解してよいとされています
古い回答は、あとから数値が変わっていることもあるのですね。
すっきりしました。
古い回答をそのまま持ち出すと足をすくわれます。
㈱防災屋でも、いま生きている基準かどうかの確認からご相談を承っています。
参考・出典
- 給油取扱所のへいに自動車出入口を設けることについて
- 蒸気の流入防止構造について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
- 固定給油設備の給油管および静電気除去装置について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第17条第1項第9号と危険物の規制に関する総理府令第25条との関係について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から鳥取県総務部長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第17条第1号・第1項第7号・第1項第9号・第1項第12号
- 危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(昭和62年3月31日 政令第86号)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和30年代のものが含まれ、その後の改正により内容が改められているものがあります。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




