地下タンクを埋めずに、地上の簡易タンクだけで給油所をやりたい。
昭和35年に、その可否を尋ねた照会があります。
回答は認めるものでしたが、量の目安と、あとから地域指定が変わったときの扱いまで示されました。
簡易タンクは置ける場所が限られた設備です。
地下タンクを設けず、簡易タンクだけの給油取扱所を作ってもよいのでしょうか。
防火地域又は準防火地域以外の場所であれば認められます。ただし給油量が一定を超えるなら地下貯蔵タンクが望ましいとされました。
あとから地域指定が変わってしまったら、置いた簡易タンクはどうなりますか。
撤去させるべきであるとされています。設置したあとの事情の変更でも、置き続けることは認められませんでした。
この記事の結論
- 防火地域又は準防火地域以外の場所であれば、簡易タンクのみの給油取扱所を設置してよいとされています
- ただし同一品質の石油類の1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましいとされました
- 敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、簡易タンクの設置基準は防火地域又は準防火地域における基準によります
- 事情の変更で地域指定が変更された場合、それまでに設けた簡易タンクは撤去させるべきであるとされています
- 指定数量以上の石油類をドラム缶等で貯蔵する場合は、給油取扱所の敷地外に貯蔵所を設けて貯蔵させるべきです
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目次
簡易タンクだけの給油取扱所を設置できるか

簡易タンクは地上に置く小型のタンクで、地下タンクのような掘削工事を伴いません。これだけで給油取扱所を成立させてよいかという問いでした。
問 防火地域又は準防火地域以外の場所に、簡易タンクのみの給油取扱所を設置してよいか。
答 お見込みのとおり。
ただし、同一品質の石油類1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましい。
ただし、同一品質の石油類1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましい。
条件として置かれたのは、防火地域又は準防火地域以外であることです。地上に危険物を置く以上、市街地の密集した場所では認めないという線引きになっています。
そのうえで、同一品質の石油類の1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は地下貯蔵タンクが望ましいとされました。
これは禁止ではなく望ましいという書き方です。扱う量が増えれば地上に置き続けるのは相応しくないという、量による目安が示された形になっています。
敷地が防火地域にまたがる場合はどちらの基準か

問 給油取扱所の敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、その給油取扱所における簡易タンクの設置に関する基準は、防火地域又は準防火地域における基準によるべきものと考えられるが、如何。
答 お見込みのとおり。
敷地の一部でも防火地域又は準防火地域にかかっていれば、その給油取扱所全体が厳しい側の基準で扱われます。
簡易タンクを置く位置が境界の外側だから緩い側でよい、という切り分けにはなりません。基準がかかる単位は給油取扱所そのものだからです。
計画の段階で敷地図と地域指定の図を重ねて確認しておかないと、あとから設備の入れ替えが必要になる論点です。
地域指定が変わったら撤去するのか

防火地域又は準防火地域でない地域では、簡易タンクを取り扱う石油類の品質ごとに1個ずつ、3個まで設けることができます。
問題は、置いたあとで地域指定が変わってしまった場合です。
問 防火地域又は準防火地域でない地域において、簡易タンクを、その取り扱う石油類の品質ごとに、1個ずつ3個まで設けることができることとなつているが、今後、事情の変更で地域指定が変更された場合、前記3個のタンクは撤去させなければならないか。
答 撤去させるべきである。
設置した時点では適法だったのだから、そのまま使い続けてよいのではないか。そう考えたくなる場面です。
回答はそれを認めませんでした。簡易タンクを置けるかどうかは、その場所が防火地域又は準防火地域かどうかで決まります。場所の性質が変わった以上、置ける根拠がなくなるという整理です。
簡易タンクを選ぶときは、いま置けるかどうかだけでなく、その地域が将来どうなりそうかまで見ておく必要があります。
混合油調合器はいくつまで置けるか

混合油はオートバイやモーペット等の需要に応じて混合割合が異なるため、給油取扱所では混合油調合器をいくつか置いて販売していました。おおむね90リットルから99リットル容量のものです。
ところが規則は、給油取扱所に設ける附随設備に収納する危険物の数量の総和は指定数量をこえてはならないとしています。
問 ……「給油取扱所に設ける附随設備に収納する危険物の数量の総和は、指定数量をこえてはならない」とあるので、給油取扱所における混合油調合器の設置は1個に限定されるように思われる。とすれば、3個まで認められる簡易タンクに、ガソリン又は軽油を収納し、必要に応じ石油缶又は油たらい等を用いて混合販売することになり、危険であると考えられるが、いかが措置したらよろしいか。
答 混合燃料油調合器の数を減らすことにより、危険物の量が指定数量をこえないようにし、燃料調合は石油缶等で行なわれないよう指導されたい。
照会側は、1個しか置けないなら手作業の混合が増えてかえって危険になると訴えていました。
回答はその懸念を受け止めつつも、数量の枠を緩めてはいません。示されたのは、調合器の数を減らして総量を指定数量以下に収め、そのうえで石油缶等での調合が行われないよう指導するという方向でした。
上限を動かすのではなく、上限の中に収まる形へ設備の側を寄せるという整理です。
敷地内にドラム缶で貯蔵できるか

問 指定数量以上の石油類を、給油取扱所の建築物内又は空地に、ドラム缶等で貯蔵しようとする場合は、給油取扱所の敷地外に貯蔵所を設けて貯蔵させるべきか。
答 お見込みのとおり。
給油取扱所は給油という取扱いのための施設であって、貯蔵のための施設ではありません。
建築物の中であっても、空地であっても、指定数量以上を置くなら別に貯蔵所の許可が要るという整理です。同じ敷地の中だから給油取扱所の許可でまかなえる、とはなりません。
前の項目の混合油調合器と同じで、施設に許された枠の中で収まるかどうかが分かれ目になっています。
よくある質問
Q600リットルを超えたら簡易タンクは使えないのですか?
A回答は「地下貯蔵タンクとすることが望ましい」という書き方をしています。禁止ではありません。ただし同一品質の石油類の1日当たりの給油量がその水準を超えるなら、地上に置き続けるのは相応しくないという目安が示されたものと読めます。
Q簡易タンクを境界の外側に置けば緩い基準でよいのですか?
A回答は、敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、その給油取扱所における簡易タンクの設置基準は防火地域又は準防火地域における基準によるとしています。基準がかかる単位は給油取扱所そのものなので、タンクの位置で切り分けることはできません。
Q設置したときは適法だったのに撤去なのですか?
A回答は撤去させるべきであるとしています。簡易タンクを置けるかどうかは、その場所が防火地域又は準防火地域かどうかで決まります。場所の性質が変わった以上、置ける根拠がなくなるという整理です。なおこの回答は昭和35年のものなので、具体的な取扱いは所轄の消防機関にご確認ください。
Q混合油調合器はなぜ数を減らすことになったのですか?
A附随設備に収納する危険物の数量の総和が指定数量をこえてはならないとされているためです。1台あたりおおむね90リットルから99リットルの容量があるので、台数が増えると総和が枠を超えます。回答は数を減らして総量を収め、あわせて石油缶等での調合が行われないよう指導することを示しました。
まとめ
- 防火地域又は準防火地域以外の場所であれば、簡易タンクのみの給油取扱所を設置してよいとされています
- ただし同一品質の石油類の1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましいとされました
- 敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、簡易タンクの設置基準は厳しい側である防火地域等の基準によります
- 基準がかかる単位は給油取扱所そのものなので、タンクを境界の外側に置いても切り分けることはできません
- 事情の変更で地域指定が変更された場合、それまでに設けた簡易タンクは撤去させるべきであるとされています
- 混合油調合器は、数を減らして危険物の量が指定数量をこえないようにし、燃料調合は石油缶等で行われないよう指導するとされました
- 指定数量以上の石油類をドラム缶等で貯蔵する場合は、給油取扱所の敷地外に貯蔵所を設けて貯蔵させるべきです
- いずれも、施設に許された枠の中に収まるかどうかで結論が分かれています
置ける場所も量も、あとから変わりうるということですね。
設備を選ぶ段階で将来の地域指定まで見ておくと、あとの入れ替えを避けられます。㈱防災屋でも計画段階からご相談を承っています。
参考・出典
- 簡易タンクのみの給油取扱所の設置について(昭和35年4月7日 国消乙予発第24号 予防課長から鶴岡市消防長あて回答)
- 地域指定の変更による簡易タンクの撤去について(昭和35年5月14日 国消乙予発第31号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
- 防火地域または準防火地域にまたがる給油取扱所における簡易タンクの設置について
- 給油取扱所の建築物内等に指定数量以上の石油類を貯蔵することについて
- 混合油調合器の設置について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第17条第1項第5号
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和30年代から40年代のものが含まれます。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




