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簡易タンクだけの給油取扱所は設置できるか|防火地域にまたがる場合と地域指定が変わった場合の扱い

簡易タンクだけの給油取扱所を設置できるかを解説するアイキャッチ画像

地下タンクを埋めずに、地上の簡易タンクだけで給油所をやりたい。
昭和35年に、その可否を尋ねた照会があります。
回答は認めるものでしたが、量の目安と、あとから地域指定が変わったときの扱いまで示されました。
簡易タンクは置ける場所が限られた設備です

地下タンクを設けず、簡易タンクだけの給油取扱所を作ってもよいのでしょうか。

防火地域又は準防火地域以外の場所であれば認められます。
ただし給油量が一定を超えるなら地下貯蔵タンクが望ましいとされました。

あとから地域の指定が変わった場合は、どうなるのでしょうか。

撤去させるべきであるとされています。
設置したあとの事情の変更でも、置き続けることは認められませんでした。

この記事の結論
  • 防火地域又は準防火地域以外の場所であれば、簡易タンクのみの給油取扱所を設置してよいとされています
  • ただし同一品質の石油類の1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましいとされました
  • 敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、簡易タンクの設置基準は防火地域又は準防火地域における基準によります
  • 事情の変更で地域指定が変更された場合、それまでに設けた簡易タンクは撤去させるべきであるとされています
  • 指定数量以上の石油類をドラム缶等で貯蔵する場合は、給油取扱所の敷地外に貯蔵所を設けて貯蔵させるべきです

簡易タンクだけの給油取扱所を設置できるか

地下タンクを設けず地上の簡易タンクだけを並べた給油取扱所の構成イメージ
昭和35年4月7日付けの国消乙予発第24号は、鶴岡市消防長からの照会に対する回答です。
簡易タンクは地上に置く小型のタンクで、地下タンクのような掘削工事を伴いません。これだけで給油取扱所を成立させてよいかという問いでした。
問 防火地域又は準防火地域以外の場所に、簡易タンクのみの給油取扱所を設置してよいか
答 お見込みのとおり
ただし、同一品質の石油類1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましい
場所を選べば認められます
条件として置かれたのは、防火地域又は準防火地域以外であることです。地上に危険物を置く以上、市街地の密集した場所では認めないという線引きになっています。
そのうえで、同一品質の石油類の1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は地下貯蔵タンクが望ましいとされました
これは禁止ではなく望ましいという書き方です。扱う量が増えれば地上に置き続けるのは相応しくないという、量による目安が示された形になっています。

場所を選べば認められるのですね。

地域の指定が条件です。
敷地がどの地域にあるか、確かめてください。

敷地が防火地域にまたがる場合はどちらの基準か

敷地の途中を地域指定の境界線が通り厳しい側の基準を適用することを示したイメージ
前の項目のとおり、簡易タンクを置けるかどうかは地域指定で決まります。ところが敷地が境界にかかっていると、どちらの地域として扱うのかが問題になります。
問 給油取扱所の敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、その給油取扱所における簡易タンクの設置に関する基準は、防火地域又は準防火地域における基準によるべきものと考えられるが、如何
答 お見込みのとおり
厳しい側に合わせます
敷地の一部でも防火地域又は準防火地域にかかっていれば、その給油取扱所全体が厳しい側の基準で扱われます。
簡易タンクを置く位置が境界の外側だから緩い側でよい、という切り分けにはなりません。基準がかかる単位は給油取扱所そのものだからです。
計画の段階で敷地図と地域指定の図を重ねて確認しておかないと、あとから設備の入れ替えが必要になる論点です。

敷地がまたがる場合は、厳しい側に合わせるのですね。

一部でもかかれば全体が対象です。
敷地の境界を、図面で確認しておきましょう。

地域指定が変わったら撤去するのか

地域指定の変更により設置済みの簡易タンクを撤去して運び出す場面のイメージ
昭和35年5月14日付けの国消乙予発第31号は、北海道総務部長からの照会に対する回答です。
防火地域又は準防火地域でない地域では、簡易タンクを取り扱う石油類の品質ごとに1個ずつ、3個まで設けることができます。
問題は、置いたあとで地域指定が変わってしまった場合です。
問 防火地域又は準防火地域でない地域において、簡易タンクを、その取り扱う石油類の品質ごとに、1個ずつ3個まで設けることができることとなつているが、今後、事情の変更で地域指定が変更された場合、前記3個のタンクは撤去させなければならないか
答 撤去させるべきである
置き続けることはできません
設置した時点では適法だったのだから、そのまま使い続けてよいのではないか。そう考えたくなる場面です。
回答はそれを認めませんでした。簡易タンクを置けるかどうかは、その場所が防火地域又は準防火地域かどうかで決まります。場所の性質が変わった以上、置ける根拠がなくなるという整理です。
簡易タンクを選ぶときは、いま置けるかどうかだけでなく、その地域が将来どうなりそうかまで見ておく必要があります。

置き続けることはできないのですね。

撤去が求められました。
設備の選定では、将来の指定も見込んでください。

混合油調合器はいくつまで置けるか

複数並べた混合油調合器の数を減らして指定数量を超えないようにすることを示したイメージ
昭和37年4月6日付けの自消丙予発第44号には、足利市消防長からの照会が含まれています。
混合油はオートバイやモーペット等の需要に応じて混合割合が異なるため、給油取扱所では混合油調合器をいくつか置いて販売していました。おおむね90リットルから99リットル容量のものです。
ところが規則は、給油取扱所に設ける附随設備に収納する危険物の数量の総和は指定数量をこえてはならないとしています。
問 ……「給油取扱所に設ける附随設備に収納する危険物の数量の総和は、指定数量をこえてはならない」とあるので、給油取扱所における混合油調合器の設置は1個に限定されるように思われる。とすれば、3個まで認められる簡易タンクに、ガソリン又は軽油を収納し、必要に応じ石油缶又は油たらい等を用いて混合販売することになり、危険であると考えられるが、いかが措置したらよろしいか。
答 混合燃料油調合器の数を減らすことにより、危険物の量が指定数量をこえないようにし、燃料調合は石油缶等で行なわれないよう指導されたい
数ではなく総量で決まります
照会側は、1個しか置けないなら手作業の混合が増えてかえって危険になると訴えていました。
回答はその懸念を受け止めつつも、数量の枠を緩めてはいません。示されたのは、調合器の数を減らして総量を指定数量以下に収め、そのうえで石油缶等での調合が行われないよう指導するという方向でした。
上限を動かすのではなく、上限の中に収まる形へ設備の側を寄せるという整理です。

調合の器具にも、数の制限があるのですね。

規則の定めがあります。
置いている器具の数を、確かめてください。

敷地内にドラム缶で貯蔵できるか

給油取扱所の建築物内へのドラム缶貯蔵は不可で敷地外に貯蔵所を設けることを示したイメージ
給油取扱所の敷地には、給油に使う分の危険物が置かれています。では、それとは別に指定数量以上の石油類をドラム缶で置いておけるかという問いです。
問 指定数量以上の石油類を、給油取扱所の建築物内又は空地に、ドラム缶等で貯蔵しようとする場合は、給油取扱所の敷地外に貯蔵所を設けて貯蔵させるべきか
答 お見込みのとおり
敷地の外に貯蔵所が要ります
給油取扱所は給油という取扱いのための施設であって、貯蔵のための施設ではありません。
建築物の中であっても、空地であっても、指定数量以上を置くなら別に貯蔵所の許可が要るという整理です。同じ敷地の中だから給油取扱所の許可でまかなえる、とはなりません。
前の項目の混合油調合器と同じで、施設に許された枠の中で収まるかどうかが分かれ目になっています。

敷地の中でも、貯蔵はできないのですね。

別に貯蔵所が要ります。
保管している量を、一度数えてみてください。

よくある質問

Q600リットルを超えたら簡易タンクは使えないのですか?
A回答は「地下貯蔵タンクとすることが望ましい」という書き方をしています。禁止ではありません。ただし同一品質の石油類の1日当たりの給油量がその水準を超えるなら、地上に置き続けるのは相応しくないという目安が示されたものと読めます。
Q簡易タンクを境界の外側に置けば緩い基準でよいのですか?
A回答は、敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、その給油取扱所における簡易タンクの設置基準は防火地域又は準防火地域における基準によるとしています。基準がかかる単位は給油取扱所そのものなので、タンクの位置で切り分けることはできません。
Q設置したときは適法だったのに撤去なのですか?
A回答は撤去させるべきであるとしています。簡易タンクを置けるかどうかは、その場所が防火地域又は準防火地域かどうかで決まります。場所の性質が変わった以上、置ける根拠がなくなるという整理です。なおこの回答は昭和35年のものなので、具体的な取扱いは所轄の消防機関にご確認ください。
Q混合油調合器はなぜ数を減らすことになったのですか?
A附随設備に収納する危険物の数量の総和が指定数量をこえてはならないとされているためです。1台あたりおおむね90リットルから99リットルの容量があるので、台数が増えると総和が枠を超えます。回答は数を減らして総量を収め、あわせて石油缶等での調合が行われないよう指導することを示しました。

まとめ

  • 防火地域又は準防火地域以外の場所であれば、簡易タンクのみの給油取扱所を設置してよいとされています
  • ただし同一品質の石油類の1日当たりの給油量が600リットルをこえる場合は、地下貯蔵タンクとすることが望ましいとされました
  • 敷地の一部が防火地域又は準防火地域である場合、簡易タンクの設置基準は厳しい側である防火地域等の基準によります
  • 基準がかかる単位は給油取扱所そのものなので、タンクを境界の外側に置いても切り分けることはできません
  • 事情の変更で地域指定が変更された場合、それまでに設けた簡易タンクは撤去させるべきであるとされています
  • 混合油調合器は、数を減らして危険物の量が指定数量をこえないようにし、燃料調合は石油缶等で行われないよう指導するとされました
  • 指定数量以上の石油類をドラム缶等で貯蔵する場合は、給油取扱所の敷地外に貯蔵所を設けて貯蔵させるべきです
  • いずれも、施設に許された枠の中に収まるかどうかで結論が分かれています

置ける場所も量も、あとから変わりうるのですね。
すっきりしました。

設備を選ぶ段階で将来の地域指定まで見ておくと、あとの入れ替えを避けられます。
㈱防災屋でも計画段階からご相談を承っています。

参考・出典

  • 簡易タンクのみの給油取扱所の設置について(昭和35年4月7日 国消乙予発第24号 予防課長から鶴岡市消防長あて回答)
  • 地域指定の変更による簡易タンクの撤去について(昭和35年5月14日 国消乙予発第31号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
  • 防火地域または準防火地域にまたがる給油取扱所における簡易タンクの設置について
  • 給油取扱所の建築物内等に指定数量以上の石油類を貯蔵することについて
  • 混合油調合器の設置について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
  • 危険物の規制に関する政令第17条第1項第5号
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和30年代から40年代のものが含まれます。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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