給油取扱所には、固定給油設備のほかにも蒸気洗浄機や洗車機のような「附随設備」を置くことができます。
ただし自由な場所に置いてよいわけではなく、固定給油設備からの距離や周囲の囲い、排気筒の高さまで細かく決められています。
とくに蒸気洗浄機は、見た目が似ている洗車機とは異なり屋内に設置できる例外がありません。
蒸気洗浄機の設置基準を、条文に沿って整理します。
蒸気洗浄機ってどこに置いてもいいわけじゃないんですね。
置き場所に迷っています。
固定給油設備から距離を空けて、囲いと排気筒も必要になります。
順番に確認していきましょう。
洗車機と同じ扱いだと思っていました。
何か違うんでしょうか。
洗車機とは条文上の扱いが違うんです。
この記事で詳しく見ていきます。
- 蒸気洗浄機は「自動車等の洗浄を行う設備」として給油取扱所の附随設備に位置づけられています
- 固定給油設備からの距離は、懸垂式なら四メートル、その他は最大給油ホース全長に応じて四メートルから六メートルまで変わります
- 周囲には不燃材料で造った高さ一メートル以上の囲いを設け、出入口は固定給油設備に向けないようにします
- 排気筒には高さ一メートル以上の煙突を設ける必要があります
- 洗車機には建築物内部に設ける例外がありますが、蒸気洗浄機にはこの例外がありません
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目次
給油取扱所の蒸気洗浄機とは何を指すのか

消防法令ではこれを「附随設備」と呼び、設置そのものは認められています。
危険物の規制に関する規則第二十五条の五は、自動車等の洗浄を行う設備・点検整備を行う設備・混合燃料油調合器・尿素水溶液供給機・急速充電設備の五種類を附随設備として列挙しています。
このうち自動車等の洗浄を行う設備は、さらに蒸気洗浄機と洗車機に分かれ、それぞれ別の基準が定められています。
名前は似ていますが、条文上は別の設備として扱われている点がまず押さえどころです。
次の見出しから、この蒸気洗浄機の基準を具体的に見ていきます。
蒸気洗浄機と洗車機って別物だったんですね。
同じようなものだと思っていました。
見た目は似ていますが条文の扱いが違います。
このあと基準を一緒に見ていきましょう。
蒸気洗浄機はなぜ固定給油設備から距離を空けるのか

そこで規則は、固定給油設備の種類ごとに保つべき距離を数値で定めています。
懸垂式の固定給油設備であれば四メートル以上、その他の固定給油設備は接続される給油ホースのうち最も長いもの(最大給油ホース全長)の長さで区分が変わります。
最大給油ホース全長が三メートル以下なら四メートル、三メートルを超え四メートル以下なら五メートル、四メートルを超え五メートル以下なら六メートルと、ホースが長いほど距離も広がります。
距離を測る起点は蒸気洗浄機そのものではなく、次の見出しで説明する囲いの外側である点に注意してください。
給油ホースの長さは施設ごとに違うため、着工前に必ず自分の施設のホース全長を確認します。
同じ蒸気洗浄機でも距離が変わるんですね。
ホースの長さまで見るとは思いませんでした。
固定給油設備の種類とホースの長さで区分が決まります。
自分の施設がどれに当たるか確認してみてください。
蒸気洗浄機の周囲にはどんな囲いと排気筒が必要か

周囲の囲いと、蒸気を逃がす排気筒の二つがポイントです。
周囲には不燃材料で造った高さ一メートル以上の囲いを設けます。
この囲いの出入口は、固定給油設備に面しない向きに設けなければなりません。
あわせて排気筒には高さ一メートル以上の煙突を設け、蒸気がその場にとどまらないようにします。
出入口の向きは図面だけで判断せず、現地で固定給油設備側を向いていないか実際に確認してください。
出入口の向きまで決まっているんですね。
うちのは大丈夫か気になってきました。
図面ではなく現地で向きを確認するのが確実です。
次は洗車機との違いも見ておきましょう。
洗車機と蒸気洗浄機はどこが違うのか

ただし、条文をよく読むと一か所だけ大きな違いがあります。
洗車機は、建築物のうち自動車等の洗浄を行う作業場として区画された部分の内部に設ける場合、距離の基準そのものが適用されません。
一方、蒸気洗浄機の規定にはこのただし書きがありません。
つまり蒸気洗浄機は、屋内に区画を作っても距離・囲い・排気筒の基準を省略できないということです。
「洗車機と同じ扱いだろう」という思い込みで屋内に置いてしまうと、基準違反になりかねません。
洗車機は屋内でもいいのに蒸気洗浄機は駄目なんですね。
同じ扱いだと勘違いするところでした。
そこがまさに見落としやすいポイントです。
設置場所を決める前に条文の号まで確認してください。
蒸気洗浄機の設置基準を確認するには何をすればよいか

距離・囲い・排気筒に加えて、もう一つ見落としやすい項目があります。
まず固定給油設備からの距離を巻き尺で測り、懸垂式か最大給油ホース全長かで区分を確認します。
次に囲いの材料と高さ、出入口の向き、排気筒の高さを見ます。
あわせて、蒸気洗浄機など附随設備に収納している危険物の数量が指定数量未満に収まっているかも確認します。
該当しない項目が一つでもあれば、改修を検討したうえで所轄消防署に相談してください。
四項目を順番に見ればいいなら点検しやすいですね。
さっそくうちの設備も確認してみます。
気になる点があれば早めの相談が安心です。
㈱防災屋でもご案内できます。
よくある質問
まとめ
うちの蒸気洗浄機の位置、一度測ってみます!
意外と知らない基準でした。
距離や囲いの基準は分かりにくいところです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十七条
- 危険物の規制に関する規則第二十五条の四、第二十五条の五
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





