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屋根付きの給油取扱所はなぜ屋内給油取扱所として扱われるのか|区画面積の割合と三分の二までの緩和条件を解説

給油取扱所の敷地で屋根の下と壁のある建物を担当者が指し示す写真

屋根はあるけれど壁もある、うちの給油取扱所はそのまま屋外の扱いでいいのでしょうか。
見た目だけでは判断できません。
屋内給油取扱所にあたるかどうかは、開放部分の割合という数字で決まります。
今回は区画面積の計算方法と、三分の二までの緩和条件を整理します。

うちは屋根だけで壁がない部分がほとんどなんですが、事務所や整備場もあります。
これって屋内扱いになるんでしょうか。

屋根の有無だけでは判断できません。
壁で区画された部分の面積の割合で決まります。

面積の割合ってどう計算するんですか。
ちょっと難しそうです。

実は引き算と割り算だけで出せます。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 屋内給油取扱所にあたるかどうかは、屋根の有無ではなく開放部分の割合で決まる
  • 水平投影面積から区画面積を引いた値を、敷地面積から区画面積を引いた値で割って割合を算出する
  • この割合が三分の一を超えると、原則として屋内給油取扱所として扱われる
  • 三分の二までにとどまり、かつ火災予防上安全と認められれば例外的に除外される
  • 屋内給油取扱所になると自動火災報知設備など追加の基準が適用される

屋根付きの給油取扱所が屋内給油取扱所として扱われる境目を示す図解。屋根の面積を測る、壁の部分を除く、敷地と比べる、三分の一が境目の四段階を示す

屋根付きの給油取扱所はなぜ屋内給油取扱所として扱われることがあるのか

屋根だけで壁のない開放的な給油スペース
給油取扱所の基準は、もともと屋外の開放的な施設を前提に作られています。
ですが建築物の内部やそれに類する構造の中に設置されるものは、可燃性蒸気がこもりやすく事情が違います。
危険物の規制に関する政令第十七条第二項 給油取扱所のうち建築物内に設置するものその他これに類するもので総務省令で定めるもの(以下「屋内給油取扱所」という。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、前項第一号から第六号まで、第七号本文、第九号から第十六号まで及び第十九号から第二十三号までの規定の例によるほか、次のとおりとする。(略)
屋内給油取扱所は建築物の内部に設置された給油取扱所を指します。
政令はこの区分を設け、屋外の給油取扱所より厳しい基準を追加で課しています。
問題は、どこからが「建築物内に設置するもの」にあたるのかという線引きです。
屋根だけの開放的な部分と、壁で仕切られた事務所や整備場が同じ敷地に混在するケースは実務でもよくあります。
見た目の印象だけで屋外・屋内を判断すると、思わぬ見落としにつながります。

屋根だけの部分と壁のある部分が混在してて、境目がよくわからないです。

境目は見た目ではなく面積の計算で決まります。
次で具体的に見ていきましょう。

屋内か屋外かはなにで決まるのか

敷地内に建つ壁のある小さな事務所
判定の基準は、開放部分がどれだけの割合を占めるかという一点に絞られます。
規則が具体的な計算式を定めています。
危険物の規制に関する規則第二十五条の六 令第十七条第二項の総務省令で定める給油取扱所(同項の屋内給油取扱所をいう。)は、建築物の給油取扱所の用に供する部分の水平投影面積から当該部分のうち床又は壁で区画された部分の一階の床面積(以下この条において「区画面積」という。)を減じた面積の、給油取扱所の敷地面積から区画面積を減じた面積に対する割合が三分の一を超えるもの(略)とする。
開放部分の割合が三分の一を超えると、原則として屋内給油取扱所になります。
壁で仕切られた事務所や整備場の面積(区画面積)を、いったん脇に置いて考えるのがポイントです。
その上で残った開放部分の広さを、開放部分だけの敷地に対する割合として測り直します。
三分の一という基準値そのものは、条文にはっきりと数字で書かれています。
なんとなく「屋根が大きいから屋内っぽい」と判断するのではなく、この計算式に当てはめる必要があります。

なるほど、三分の一が基準になるんですね。

はい、そこを超えると原則屋内扱いになります。
次は実際の測り方です。

区画面積と水平投影面積はどう計算するのか

壁のある建物が屋根の大部分を占める給油取扱所
区画面積とは、事務所や整備場のように壁や床で仕切られた部分の面積のことです。
どこまでの建築物がこの対象になるかは、政令が別に定めています。
危険物の規制に関する政令第十七条第一項第十六号 給油取扱所には、給油その他の業務のための建築物(避難又は防火上支障がないと認められる総務省令で定める用途に供するものに限る。)以外の建築物その他の工作物を設けないこと。
計算は二段階の引き算と一回の割り算で完結します。
まず建築物の給油取扱所部分を真上から見た広さ(水平投影面積)を測り、そこから区画面積を差し引きます。
次に敷地全体の面積からも同じ区画面積を差し引きます。
前者を後者で割った値が、判定に使う割合になります。
事務所や整備場を増築すれば区画面積が増え、この割合そのものが変わってしまう点に注意が必要です。

引き算するのはわかったんですが、実際にどこを測ればいいのか迷います。

まず屋根の下の面積、次に壁のある建物の面積を測ってください。
それだけで割合が出せます。

割合が三分の一を超えても屋内扱いを免れることがあるのか

巻尺で屋根と建物の範囲を測る担当者
三分の一を超えたら即アウト、というわけではありません。
条文には続きがあります。
危険物の規制に関する規則第二十五条の六(続き) (略)当該割合が三分の二までのものであって、かつ、火災の予防上安全であると認められるものを除く。
三分の二までにとどまり、かつ火災予防上安全と認められれば、屋内給油取扱所の基準からは除外されます。
つまり三分の一を超えても、三分の二までの範囲であれば例外の余地が残っています。
ただしこの判断は所轄消防署の個別審査によるもので、割合を自分で計算しただけで結論を出せるものではありません。
三分の二を超えてしまえば、火災予防上安全であっても例外は認められません。
増改築を検討する段階で、この境目に近づいていないかを確認しておく必要があります。

三分の一を超えたら、もう終わりなんですか。

いいえ、三分の二までなら安全性次第で除外される場合があります。
ただし自己判断は禁物です。

明日からなにを確認すればよいのか

敷地図で最終確認をする担当者
屋内給油取扱所と判定されると、追加の設備基準がかかります。
その代表が火災の早期把握のための設備です。
危険物の規制に関する規則第二十五条の七 令第十七条第二項第一号の総務省令で定める設備は、屋内給油取扱所で発生した火災を建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分以外の部分に自動的に、かつ、有効に報知できる自動火災報知設備その他の設備とする。
まず自分の施設の割合を、今の段階で一度測っておくことをおすすめします。
増改築で事務所や整備場を広げると区画面積が増え、割合そのものが変わることがあります。
気づかないうちに屋内給油取扱所の基準に切り替わっていた、という事態は避けたいところです。
屋内給油取扱所と判定されると、自動火災報知設備をはじめとする追加の基準がかかります。
増改築を計画する段階で、所轄消防署に事前相談しておくのが確実です。

増改築のときに気をつければいいんですね。

はい、事前に消防署へ相談するのが確実です。
割合を測ってから相談しましょう。

よくある質問

Q屋根があるだけで屋内給油取扱所として扱われますか?
Aいいえ。屋根の有無だけでなく、壁で区画された部分の面積を含めた割合で判定されます。屋根だけの開放的な部分は区画面積に含まれません
Q区画面積にはどんな部分が含まれますか?
A事務所、点検・整備を行う作業場、洗浄を行う作業場など、床や壁で仕切られた部分の一階の床面積が含まれます。給油取扱所の係員のみが出入りする部分は除かれます
Q割合が三分の二を超えた場合はどうなりますか?
A三分の二を超えると、火災予防上安全と認められても屋内給油取扱所の基準を免れることはできません。三分の二という数字は例外が認められる限界です。
Q屋内給油取扱所になると何が変わりますか?
A建築物の耐火構造や専用タンクの位置・構造、自動火災報知設備の設置など、屋外の給油取扱所より厳しい基準が追加で適用されます。増改築の前に基準の変更点を確認する必要があります。

まとめ

屋内給油取扱所は建築物内に設置する給油取扱所を指す
判定は水平投影面積・区画面積・敷地面積の三つの数値から行う
区画面積は壁や床で仕切られた部分の一階の床面積を指す
開放部分の割合が三分の一を超えると原則として屋内扱いになる
三分の二までにとどまり、かつ火災予防上安全と認められれば例外的に除外される
屋内給油取扱所は建築物の耐火構造や専用タンクの基準が屋外より厳しくなる
増改築の前には所轄消防署への事前相談が欠かせない

なるほど、屋根だけじゃなくて面積の割合で判断するんですね!

まずは開放部分の割合を測ってみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条
  • 危険物の規制に関する規則第二十五条の四、第二十五条の六、第二十五条の七

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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