危険物の規制に関する政令第九条第一項は、製造所の位置や空地だけでなく、そこに置く機械器具そのものの構造基準も定めています。
第十三号から第十九号までは、漏れやすい機器・熱を持つ機器・圧力がかかる機器・電気を使う機器という、性質ごとの技術基準です。
温度測定装置や安全装置、静電気を除去する装置、避雷設備はどれもこの条文が根拠になっています。
この記事では規則が定める具体的な規格まで含めて、製造所の機器に求められる基準を解説します
製造所には消火設備だけでなく、機械そのものの基準もあるのですね。
はい。
政令第九条第一項第十三号から第十九号が機器そのものの構造基準を定めています。
うちの製造所も対象になるのか気になります。
危険物を扱う製造所ならほぼすべて対象です。
順番に基準を確認していきましょう。
- 政令第九条第一項第十三号から第十九号は、製造所に置く機械器具そのものの構造基準を定めている
- 危険物を取り扱う機械器具は漏れ・あふれ・飛散を防止できる構造が原則で、附帯設備があれば例外になる
- 温度が変化する設備には温度測定装置、加熱・乾燥する設備は直火を用いない構造が原則
- 圧力が上がる設備には圧力計と総務省令で定める安全装置を備える
- 指定数量の倍数が十以上の製造所は、静電気を除去する装置に加えて日本産業規格に適合する避雷設備が必要になる
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目次
製造所の設備基準はどこまで及ぶのか

製造所の基準というと空地や壁の構造を思い浮かべますが、それだけではありません。
政令第九条第一項は、その中に置く機械器具そのものの構造まで定めています。
機械器具は、危険物が漏れ・あふれ・飛散しない構造にするのが原則です。
配管の継手やバルブ、ポンプといった機器そのものの構造で防ぐことが基本になります。
構造だけで防ぎきれない場合は、漏えいを受け止める附帯設備を設ければ足ります。
この第十三号から先の号は、いずれも「機器の性質ごとにどう防ぐか」を具体的に定めたものです。
自分の施設の機器がどの性質に当てはまるかを、このあと順に確認してください。
附帯設備があれば構造そのものは問われないのですか。
災害を防止できる附帯設備であれば例外として認められます。
まずは構造での防止を優先してください。
危険物を加熱する設備にはどんな基準があるのか

温度が変わる設備は、異常な過熱を見逃さない仕組みが要ります。
加熱や乾燥をする設備には、さらに火の使い方そのものにも制約があります。
温度が変わる設備には温度測定装置、加熱・乾燥する設備には直火禁止が原則です。
冷却設備でも温度変化があれば温度測定装置の対象になります。
加熱・乾燥設備は直火を用いない構造が原則ですが、防火上安全な場所に設けるか、火災を防止する附帯設備があれば例外になります。
直火とは、危険物へ炎が直接触れる方式を指し、蒸気や熱媒体を介した間接加熱に置き換えることで避けられます。
設備台帳で加熱・冷却の有無を洗い出し、温度測定装置の設置状況をあわせて点検してください。
直火を使わない加熱というのはどういう方式でしょうか。
蒸気や熱媒体を介した間接加熱が代表的です。
炎を危険物へ直接触れさせない方式を選んでください。
圧力が上がる設備にはどんな安全装置を備えるのか

圧力がかかる設備は、圧力を見える化するだけでは足りません。
上がりすぎたときに逃がす仕組みまで、あわせて求められます。
加圧設備には圧力計と、総務省令が定める安全装置のどれかを設けます。
規則が定める安全装置は、自動的に圧力の上昇を止める装置、安全弁付きの減圧弁、安全弁併用の警報装置、破壊板の四種類です。
破壊板は、危険物の性質によって安全弁の作動が難しい加圧設備に限って使えます。
これらの安全装置の構造は、告示で定める規格に適合していなければなりません。
どの方式を採るかは危険物の性質次第なので、設計段階で消防設備業者と相談してください。
破壊板はどんなときに選ぶ装置なのでしょうか。
安全弁の作動が難しい危険物を扱う設備に限られます。
通常はほかの三種類から選ぶことになります。
電気設備や静電気にはどんな対策が必要なのか

電気を使う設備には、それ専用の法令が別に用意されています。
そのうえで、静電気と落雷という二つの脅威に個別の対策が求められます。
電気設備は電気工作物の法令に従い、静電気には除去装置、大規模施設には避雷設備が要ります。
配線や機器そのものは電気事業法など電気工作物の法令が別に規制するため、政令はそちらへ委ねています。
静電気が発生しやすい設備には、蓄積された静電気を有効に除去する装置を個別に設けます。
避雷設備が必要になるのは指定数量の倍数が十以上の製造所で、周囲の状況から安全上支障がないと認められる場合だけ例外になります。
指定数量の倍数を計算し、十以上であれば避雷設備の有無を最優先で確認してください。
避雷設備が要らない例外もあるのですね。
周囲の状況で安全上支障がないと認められた場合だけです。
自己判断せず所轄消防署に確認してください。
設備の規格適合はどうやって確認すればよいのか

安全装置や避雷設備は、規則がさらに具体的な規格を指定しています。
点検のときは、この規格に沿っているかどうかを確認します。
避雷設備は日本産業規格、安全装置は告示の規格に適合しているかを確認します。
避雷設備は日本産業規格Z九二九〇―三という雷保護の規格に適合するものでなければなりません。
圧力計とあわせて設ける安全装置も、構造が告示で定める規格に適合している必要があります。
新設のときは施工業者から適合証明を受け取り、既存設備は点検記録に規格名が残っているかを確かめます。
規格名が分からない設備は、所轄消防署か設置時の施工業者に照会してください。
古い設備だと規格が分からないこともありそうです。
設置時の記録を確認するのがいちばん確実です。
不明な場合は施工業者へ照会してください。
よくある質問
まとめ
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
安全装置と避雷設備の規格を、うちの点検記録と照らし合わせます。
今日から確認に活かします!
規格が分からない設備があれば、早めの確認が安心につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第九条第一項第十三号から第十九号まで
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第十三条の二の四・第十九条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





