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製造所や給油取扱所はどこから消火が困難な施設になるのか|規則第三十四条が定める面積と燃料の基準を解説

規則第三十四条が定める消火設備の追加基準を解説する記事のアイキャッチ画像

危険物を扱う製造所や貯蔵所、取扱所には、規模や取り扱う数量に応じて消火設備を設置する義務があります。
なかでも政令第二十条第一項第二号は、著しく消火が困難とまではいえないものの消火が困難と認められる施設を別枠で定めています。
対象になるのは規則第三十四条が定める製造所や屋内貯蔵所、タンク貯蔵所、給油取扱所など八つの施設類型で、施設の種類ごとに条件が異なります。
この記事では規則第三十四条が定める消火が困難な施設の基準と、該当した場合の消火設備の基準を解説します

危険物の消火設備は、著しく危険な施設だけに必要なのだと思っていました。

実はその一段階手前にも消火設備を求める基準があります。
規則第三十四条を見てみましょう。

うちの製造所や給油取扱所も対象になるか気になります。

三つの施設に分けて順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 政令第二十条第一項第二号が「消火が困難な施設」を定め、規則第三十四条がその具体的な範囲を決めている
  • 製造所・一般取扱所は、指定数量の十倍以上を扱うか延べ面積六百平方メートル以上で対象になる
  • 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は、高引火点危険物のみ百度未満または第六類のみを扱うものを除いて対象になる
  • 給油取扱所は屋内給油取扱所メタノール・エタノールを取り扱うものの二つに限って対象になる
  • 該当すると第四種の消火設備に加え、能力単位が所要単位の五分の一以上になる第五種消火設備が必要になる

規則第三十四条が定める消火が困難な施設と消火設備の基準をまとめた図解

政令第二十条第一項第二号が定める消火が困難な施設とは何か

製造所とタンク貯蔵所と給油取扱所が並ぶ施設の全景

危険物施設の消火設備の基準は、危険の度合いに応じて三段階に分かれています。
その真ん中に位置するのが、政令第二十条第一項第二号です。

危険物の規制に関する政令第二十条第一項 消火設備の技術上の基準は、次のとおりとする。(略)二 製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所、第二種販売取扱所及び一般取扱所のうち、その規模、貯蔵し、又は取り扱う危険物の品名及び最大数量等により、火災が発生したとき消火が困難と認められるもので総務省令で定めるものは、総務省令で定めるところにより、別表第五に掲げる対象物について同表においてその消火に適応するものとされる消火設備のうち、第四種及び第五種の消火設備を設置すること。

政令第二十条第一項は、消火設備の基準を三段階に分けています
第一号は著しく消火が困難な施設で、第一種から第三種に加え第四種・第五種の消火設備が必要です。
第二号は今回扱う消火が困難な施設で、第四種・第五種の消火設備が必要になります。
第三号はそれ以外の施設で、第五種の消火設備だけで足ります。
どの号に当てはまるかは、規則第三十四条が施設の種類ごとに具体的な基準を定めています。

うちの施設は三段階のどこに当てはまるのでしょうか。

規則第三十四条を見れば分かります。
製造所・タンク貯蔵所・給油取扱所の順に確認しましょう。

製造所と一般取扱所はどこから対象になるのか

延べ面積を示す製造所の建物と配管設備

製造所と一般取扱所は、規則第三十四条第一項第一号が対象の範囲を定めています。
基準は取り扱う危険物の量と、建物の延べ面積の両方から決まります。

危険物の規制に関する規則第三十四条第一項第一号 製造所及び一般取扱所のうち、前条第一項第一号に掲げるもの以外のもので、高引火点危険物のみを百度未満の温度で取り扱うものにあつては延べ面積が六百平方メートル以上のもの、その他のものにあつては指定数量の十倍以上の危険物(略)を取り扱うもの(略)、延べ面積が六百平方メートル以上のもの(略)

製造所と一般取扱所は、扱う危険物の種類によって基準の作りが変わります
高引火点危険物だけを百度未満で扱う場合は、延べ面積六百平方メートル以上だけが基準になります。
それ以外の危険物を扱う場合は、指定数量の十倍以上を取り扱うか、延べ面積が六百平方メートル以上であれば対象になります。
著しく消火が困難な施設の基準(前条第一項第一号)に該当しないことが前提です。
自分の施設が扱う危険物の種類と、取扱量・延べ面積の両方を確認しておきましょう。

うちは灯油とガソリンを両方扱っています。
延べ面積は五百平方メートルほどです。

高引火点危険物だけではないので指定数量の十倍を超えていないか確認しましょう。
超えていなければ対象になりません。

屋外タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所はどう扱われるのか

屋内に設置されたタンクと屋外の円筒形貯蔵タンク

屋外タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所は、規則第三十四条第一項第三号が対象の範囲を定めています。
ここでは除外規定の形で対象が絞り込まれています。

危険物の規制に関する規則第三十四条第一項第三号 屋外タンク貯蔵所及び屋内タンク貯蔵所にあつては、前条第一項第三号及び第四号に掲げるもの以外のもの(高引火点危険物のみを百度未満の温度で貯蔵し、又は取り扱うもの及び第六類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うものを除く。)

屋外タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所は、除外規定の積み重ねで対象が定められています
まず著しく消火が困難な施設(前条第一項第三号・第四号)に該当するものは、この号から除かれます。
そのうえで高引火点危険物のみを百度未満で扱うもの第六類の危険物のみを扱うものも除外されます。
つまり残るのは、著しく危険なほどではないが、高引火点でも第六類でもない一般的なタンク貯蔵所です。
自分のタンクが著しく消火困難な規模や、除外される品目に当たらないかを確認しましょう。

うちの屋外タンクは灯油だけです。
それでも対象になりますか。

灯油は高引火点危険物ですが、百度未満で扱うことが除外の条件です。
貯蔵する温度も確認しておきましょう。

給油取扱所はどんな場合に対象になるのか

屋内型給油取扱所の建物とアルコール類の容器棚

給油取扱所は、規則第三十四条第一項第四号の二が対象の範囲を定めています。
すべての給油取扱所ではなく、二つの類型に限られます。

危険物の規制に関する規則第三十四条第一項第四号の二 給油取扱所にあつては、屋内給油取扱所のうち前条第一項第六号に掲げるもの以外のもの及びメタノール又はエタノールを取り扱う給油取扱所(令第十七条第二項の屋内給油取扱所に該当するものを除く。)

給油取扱所が対象になるのは、屋内型とアルコール類を扱う場合の二つだけです
一つ目は屋内給油取扱所のうち、著しく消火が困難な規模(前条第一項第六号)に当たらないものです。
二つ目はメタノールまたはエタノールを取り扱う給油取扱所で、屋内型はここでは除かれ二重に数えません。
屋外の一般的なガソリンスタンドは、この号の対象になりません。
建物内に給油設備があるか、アルコール系燃料を扱っているかをまず確認しましょう。

普通のガソリンスタンドは対象にならないのですね。

屋外型のガソリン・軽油だけなら対象外です。
屋内型かアルコール類の取り扱いだけ確認しましょう。

該当したらどんな消火設備が必要になるのか

大型の消火設備と小型消火器を確認する作業員

これまでの施設に該当すると、規則第三十四条第二項が消火設備の基準を定めています。
施設の種類によって、設ける設備の組み合わせが変わります。

危険物の規制に関する規則第三十四条第二項第一号 製造所、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所、第二種販売取扱所及び一般取扱所にあつては、第四種の消火設備をその放射能力範囲が建築物その他の工作物及び危険物を包含するように設け、並びに第五種の消火設備をその能力単位の数値が危険物の所要単位の数値の五分の一以上になるように設けること。 第二号 屋外タンク貯蔵所又は屋内タンク貯蔵所にあつては、第四種及び第五種の消火設備をそれぞれ一個以上設けること。

設ける消火設備の組み合わせは、施設の種類によって二通りに分かれます
製造所や給油取扱所などは、第四種の消火設備に加え、能力単位が所要単位の五分の一以上になる第五種の消火設備が必要です。
屋外・屋内タンク貯蔵所は数値ではなく、第四種・第五種をそれぞれ一個以上設ければ足ります。
なお第一種から第三種の消火設備を設けた場合は、その放射能力範囲内では第四種を省略できる特例もあります(第三項)。
自分の施設がどちらの区分に当たるかを確認し、消火設備の設置計画に反映しましょう。

タンク貯蔵所は数値の計算をしなくてよいのですか。

タンク貯蔵所は一個以上という個数基準だけです。
他の施設は能力単位の計算が必要です。

よくある質問

Q消火が困難な施設に該当すると、著しく消火が困難な施設と同じ設備が必要になりますか?
Aいいえ。著しく消火が困難な施設は前条(第三十三条)の対象で、第一種から第三種の消火設備も必要です。今回の第三十四条は、それより一段階基準が緩やかな施設を対象にしています。
Q屋内貯蔵所は今回の第三十四条第一項のどの号で対象になりますか?
A屋内貯蔵所は第二号で対象になります。この記事では既出の内容と重複しないよう、製造所・タンク貯蔵所・給油取扱所の三つに絞って解説しました。
Qメタノールやエタノールを取り扱っていれば、屋外の給油取扱所でも対象になりますか?
Aはい。第四号の二は屋内給油取扱所とは別枠で、メタノールまたはエタノールを取り扱う給油取扱所を対象にしており、屋外型でも該当します。
Q第四種と第五種の消火設備は、それぞれどんな設備を指しますか?
A具体的な種類は令別表第五で定められています。第四種は大型消火器、第五種は小型消火器などの消火器具を指します。詳しい適応性は令別表第五でご確認ください。

まとめ

政令第二十条第一項第二号が「消火が困難な施設」を定め、規則第三十四条がその範囲を具体化している
製造所・一般取扱所は、指定数量の十倍以上を扱うか延べ面積六百平方メートル以上で対象になる
屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は、高引火点危険物のみ百度未満または第六類のみを扱うものを除いて対象になる
給油取扱所は屋内給油取扱所メタノール・エタノールを取り扱うものの二つに限って対象になる
該当すると製造所等は第四種消火設備に加え、能力単位が所要単位の五分の一以上になる第五種消火設備が必要になる
タンク貯蔵所は第四種・第五種をそれぞれ一個以上設ければ足りる
第一種から第三種の消火設備を設けた場合、その放射能力範囲内では第四種を省略できる特例がある

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

三つの施設のどれに当てはまるか、図面で確認します!

基準は施設ごとに組み合わせが違います。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第二十条第一項
  • 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第三十四条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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