地震後の巡回で、非常用エレベーター乗降ロビーの防火戸が途中で止まり、枠との間に隙間が残っていました。
通れるからと開けたまま使うと、火災時に煙や熱を区画できず、消防隊の活動拠点としての条件も崩れます。
閉まらない防火戸の周囲を立入制限し、乗降ロビーを通常どおり使わない状態にします。
復旧は、扉・枠・金物・周囲の区画と消防活動経路を専門家が確認してから判断します。
防火戸が最後まで閉まりません。
そのまま使わず区画しましょう。
- 乗降ロビーの防火戸が閉まらなければ、扉周辺を立入制限して通常どおり使いません
- 扉、枠、丁番、ドアクローザー、ラッチ、床、壁・天井を一体で確認します
- 力任せに閉めたり、テープや木材で固定したりして復旧扱いにしません
- 消防活動拠点と代替の進入経路が確保できるかを所轄消防署と共有します
- BCPには停止判断、連絡、代替動線、修理、機能確認、記録の流れを定めます
▼

目次
地震後に非常用エレベーター乗降ロビーの防火戸が閉まらなかったら使ってよいのか

結論からいえば、防火戸が最後まで閉まらず、枠との間に隙間が残る状態では、乗降ロビーを通常どおり使いません。
防火戸の閉鎖機能が確認できない間は、防火区画が保たれる前提を置けないためです。
建築基準法施行令第百二十九条の十三の三は、非常用エレベーターの乗降ロビーを、壁や特定防火設備で区画することなどを定めています。
乗降ロビーは単なる待合スペースではなく、火災時の消防活動を支える区画です。
まず扉の周囲をコーンやバーで区画し、非常用エレベーターと消防活動経路への影響を確認します。
自分たちで繰り返し開閉したり、変形した扉を力任せに閉めたりしません。
隙間が少しでも使用停止ですか。
閉鎖機能の確認までは使いません。
どの防火戸と消防活動経路を確認対象にするのか

不良が見つかった一枚だけでなく、同じ地震動を受けた各階の乗降ロビーと消防活動経路を確認します。
一つの扉が閉まらないときは、建物の変形や金物のずれが他の階にも出ている可能性があります。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 防火戸本体 | 変形、ひび、外れ、開閉時の接触 |
| 枠と床 | 枠のゆがみ、段差、瓦礫、戸当たりの隙間 |
| 金物 | 丁番、ドアクローザー、ラッチ、連動部の損傷 |
| 周囲の区画 | 壁・天井の亀裂、脱落、貫通部の損傷 |
| 消防活動経路 | 階段、廊下、進入口、排煙設備、代替経路 |
国土交通省の定期報告制度でも、防火設備は劣化・損傷や作動状況などを確認する対象です。
扉が動くかだけでなく、閉鎖して区画を形成できるかを確認します。
消防庁の資料は、非常用エレベーターの乗降ロビーを消防活動拠点として示しています。
防火戸の不良と同時に、階段・廊下・排煙・消防隊の進入経路も確認してください。
不良がある階だけ見ればよいですか。
各階と代替経路も確認します。
閉鎖不良を見つけたらどの順で対応するのか

対応は、人を扉へ近づけないことから始めます。
余震で扉や仕上げ材が動く可能性があるため、戸先や枠の近くへ立ちません。
- 防火戸の周囲をコーンやバーで区画し、人を近づけない
- 乗降ロビーと非常用エレベーターの通常利用を止める
- 防火管理者、建物管理者、昇降機保守会社へ連絡する
- 扉、枠、金物、床、壁・天井の状態を安全な位置から確認する
- 各階の乗降ロビーと階段、廊下、排煙設備を確認する
- 消防活動へ影響する場合は所轄消防署へ状況を共有する
- 専門業者の修理と作動確認を終え、復旧判断を記録する
連絡時は、階、時刻、隙間の位置、扉や枠の変形、周囲の亀裂、開閉状態、非常用エレベーターの状態を伝えます。
写真を撮るために危険区域へ入ったり、扉を動かして状態を作り直したりしません。
消防活動経路が使えないときは、別の階段や進入口など、あらかじめ定めた代替経路を確認します。
代替経路は図面上だけでなく、現場で通行できることを確かめて共有します。
先に扉を押して閉めますか。
立入制限と連絡が先です。
無理に閉めればよいと思うと何を見落とすのか

扉を押し込んで閉じたように見えても、枠のゆがみやラッチの不具合、丁番の損傷、周囲の壁の亀裂は残ります。
閉じた見た目と防火設備としての機能回復は別です。
テープや木材で固定すると、必要なときに開けられなかったり、余震で倒れたりするおそれがあります。
応急的な固定を修理や機能確認の代わりにしません。
一枚の防火戸が閉まらないからといって、建物全体を必ず閉鎖するとは限りません。
影響する階・区画、避難経路、消防活動、排煙、重要業務を分けて評価します。
反対に、人が通れるからという理由だけで営業や業務を続けることもできません。
火災時に区画と消防活動拠点が機能するかを含めて継続可否を判断してください。
閉じれば復旧でよいですか。
機構と区画の確認が必要です。
明日から乗降ロビーの防火戸不良へどう備えるのか

平常時に、各階の乗降ロビー、防火戸、非常用エレベーター、階段、排煙設備、消防隊進入口を図面と現場で照合します。
どの扉の不良が、どの区画と消防活動経路へ影響するかを一枚の確認図へまとめると初動が速くなります。
- 各階の乗降ロビーと防火戸を図面へ記入する
- 扉、枠、丁番、ドアクローザー、ラッチの点検結果を残す
- 防火戸の周囲に物を置かず、閉鎖経路を空ける
- 立入禁止資材を倒れにくく取り出しやすい場所へ保管する
- 防火管理者、建物管理者、専門業者の連絡順を決める
- 階段、別の進入口、消防隊の代替経路を決める
- 地震訓練で区画、連絡、代替経路、復旧記録まで確認する
扉の近くへ家具や資材を置くと、平常時の閉鎖を妨げるだけでなく、地震で転倒して消防活動経路を塞ぎます。
防火戸の軌跡と乗降ロビーの必要な空間を常に空けておくことが基本です。
内閣府の事業継続ガイドラインは、初動対応、二次災害の防止、重要業務の継続・復旧を一連で考えることを示しています。
防火戸不良の発見から停止、代替、修理、機能確認、記録までを消防計画とBCPへ接続してください。
代替経路まで訓練します。
現場で通れるか確認しましょう。
よくある質問
押して閉じるだけでは不十分ですね。
区画全体で確認します。
まとめ
防火戸と代替経路を確認します!
立入制限から専門点検と復旧記録までつないでこそBCPです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令第百二十九条の十三の三
- 国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
- 国土交通省 防火設備の定期検査に関する資料
- 消防庁 大規模倉庫における消防活動支援対策ガイドラインの概要
- 消防庁 消防活動経路等に関する検討資料
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和五年三月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。非常用エレベーター乗降ロビーの防火戸が閉まらない場合は、扉周辺を立入制限し、扉、枠、金物、周囲の区画、消防活動経路を確認してください。個別の停止範囲、応急措置、修理、復旧、事業継続の判断は、被害状況に応じて所轄消防署、建築士、昇降機保守会社、防火設備の専門業者へご確認ください。





