液化石油ガス(LPG)を扱う給油取扱所には、ガソリンの給油設備とは別に、タンクローリーからガスを受け入れる受入設備と、貯蔵設備へ送り込む充塡用ポンプ機器があります。
どちらも、置く場所を誤ればガソリンの給油空地と動線が重なり、衝突や漏えいの危険が高まります。
危険物の規制に関する規則は、この受入設備と充塡用ポンプ機器についても専用の基準を設けました。
今回は、受入設備とポンプに求められる位置と安全対策を解説します。
うちのスタンドはガソリンとLPGの両方を扱う予定なんですが。
荷卸しの車はどこに停めればいいんでしょうか。
受入設備という専用の区画に、給油空地とは別の場所で停めていただきます。
ポンプの位置や柵も、ガソリンスタンドの設備と同じ感覚で決めていいんでしょうか。
いいえ、LPG特有の圧力対策と衝突防止の基準が別に定められています。
- 液化石油ガススタンドの受入設備と充塡用ポンプ機器は、圧縮機や貯蔵設備と並ぶ独立した規制対象です。
- 根拠は危険物の規制に関する規則第27条の3第6項第5号です。
- 受入設備は給油空地等の外に置き、荷卸し車両も給油空地等に入らない配置にする必要があります。
- 充塡用ポンプ機器は容積型ポンプと遠心型ポンプとで圧力超過防止の仕組みが異なります。
- どちらの設備にも自動車等の衝突を防止する防護柵やポール等の措置が必要です。
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目次
液化石油ガススタンドの受入設備はなぜ位置が問われるのか

まずはこの区分がなぜ独立して定められているのかを確認します。
ガソリンの給油と、液化石油ガスの荷卸しが同じ空間で行われれば、車両の出入りが重なり衝突や漏えいのリスクが高まります。
そこで危険物の規制に関する規則第27条の3は、受入設備と充塡用ポンプ機器についても専用の位置・構造基準を設けました。
通達はその運用上の指針として、具体的にどこに置き、どう守るかを示しています。
まずは受入設備という設備区分が、ガソリンスタンドの既存設備とは別枠であることを押さえてください。
LPGを積んだタンクローリーが来るとき、駐車する場所は決まっているんですか。
はい、受入設備という専用の場所が別に決められています。
どの設備のどの位置が対象になるのか

どちらも位置の基準が細かく定められています。
規則がいう「前号イ(1)の圧縮機の位置の例」とは、圧縮天然ガススタンドの圧縮機と同じく給油空地及び注油空地以外の場所を指します。
さらに液化石油ガスの荷卸しを行うタンクローリー自体が、給油空地等に入り込まない配置にしなければなりません。
充塡用ポンプ機器も同じく圧縮機の位置の例による場所に置く必要があります。
まずは自社の受入設備とポンプが、給油空地の外にあるかどうかを確認してください。
ローディングアームの位置さえ守れば、荷卸しの車の停め方は自由ですか。
いいえ、車自体が給油空地に入らない停め方まで含めて基準の対象です。
受入設備と充塡用ポンプ機器は何を求められるのか

受入設備は衝突対策、充塡用ポンプ機器は圧力対策が中心になります。
容積型ポンプは、圧力が上がりすぎたときに吐出液の一部を貯蔵設備へ戻して圧力を下げます。
遠心型ポンプは、吸入側に気体が入ると自動停止するほか、圧力上昇時は吐出液の一部を吸入側へ戻します。
受入設備・充塡用ポンプ機器のいずれにも、防護柵やポール等による衝突防止の措置が必要です。
自社のポンプがどちらの型式かを確認し、対応する圧力対策が備わっているか点検してください。
うちのポンプ、容積型か遠心型かすぐには分かりません。
メーカーの銘板や仕様書に型式が書かれているので、まずそこを確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

受入設備の位置は「点」ではなく「動線」で見る必要があります。
ローディングアームや受入ホースを最も伸ばした状態で、その先端が給油空地等にかからないかを見る必要があります。
荷卸し車両が給油空地等を通らずに受入設備へ到達できる動線になっているかもあわせて確認します。
防護柵やポールは設置しただけで終わらせず、実際に自動車等の衝突を防げる高さと強度かを点検してください。
充塡用ポンプ機器の圧力対策の装置も、経年劣化で作動しなくなっていないか定期的な確認が欠かせません。
ホースを伸ばしたときの届く範囲までは、設計図だけでは分かりにくいですね。
そのとおりです。実際にホースを伸ばした状態で現地を確認するのが確実です。
明日からなにを確認すればよいのか

受入設備・充塡用ポンプ機器ともに、位置と装置の両方を見ます。
1つ目は、受入設備と充塡用ポンプ機器の位置が給油空地及び注油空地の外にあるかです。
2つ目は、ローディングアームや受入ホースを最も伸ばした状態でも、先端が給油空地等にかからないかです。
3つ目は、自社のポンプが容積型か遠心型かを確認し、圧力超過防止の措置が現に機能しているかです。
4つ目は、受入設備・充塡用ポンプ機器の周囲に、自動車等の衝突を防ぐ防護柵やポールがあるかです。
この4点を現地で目視確認し、疑問があれば所轄消防署に相談してください。
4点をそのまま点検表にできそうです。
そのまま点検の項目としてお使いいただけます。
よくある質問
まとめ
設備図面を見直してみます!
受入設備とポンプ、両方をチェックしないといけないんですね。
ご不明な点があれば、いつでもお尋ねください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 圧縮天然ガス等充塡設備設置給油取扱所の技術上の基準に係る運用上の指針について(平成10年3月11日消防危第22号消防庁危険物保安室長、改正:平成29年1月消防危第31号)
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第17条第3項第4号
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第27条の3第6項第5号
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





