建物の中に、性格の違う用途が混ざっていることがあります。
店舗と住宅、事務所と売店、クラブハウスと宿泊施設。
そのとき主たる用途と従たる用途をどう見分けるのか。
質疑応答が示したのは小さく付随する用途は主たる用途に従属させて考えるという判断の型です。
店舗と住宅が一緒になった店舗併用住宅は、どう区分されるんですか。
用途が混ざる建物なので
複合用途の防火対象物になります。
じゃあ理容店や美容店も、物品販売業の店舗に入るんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
この記事の結論
- 小規模の店舗併用住宅も令別表第1(16)項イの防火対象物に該当します
- 宿泊施設があるゴルフ場のクラブハウスは(16)項イに該当します
- 事務所ビル内の小さなタバコ販売店は事務所ビルに従属するものとして扱われます
- 理容店・美容店は物品販売業を営む店舗には含まれません
- モデル住宅と自動車展示販売店は扱いが分かれます
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目次
小規模の店舗併用住宅も物品販売店として扱われるか

規模が小さければ、単なる住宅として扱ってもらえるのか。
問 令別表第1(4)項に物品販売業を営む店舗が加えられたが、小規模の店舗併用住宅も含まれるか。
答 規模の大小にかかわらず物品販売を営む店舗は、令別表第1(4)項に掲げる防火対象物に該当する。なお、店舗併用住宅は、令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物に該当する。
店舗部分は(4)項、住宅部分は別の用途です。この2つが同じ建物に入っている以上、令別表第1(16)項イの複合用途防火対象物として扱われます。
店舗併用住宅だから住宅扱いになる、という単純な話ではありません。用途が混ざっていること自体が判定の起点になります。
自宅の一部で店を開いているなら、規模を理由に単純な住宅だと思い込まず、複合用途としての扱いを前提に確認してください。
小さくても複合用途扱いになるんですね。
そうです。
複合用途としての扱いを前提に確認してください。
宿泊施設のあるゴルフ場のクラブハウスはどう区分されるか

そこに宿泊施設まで加わると、区分はどうなるのか。
問 ゴルフ場のクラブハウス(会員制度により、会員のみが使用する。)で、宿泊施設、浴場、レストラン等が一体になつている場合、令別表第1のどの項に該当するか。
答 一般的にゴルフ場のクラブハウスは令別表第1(15)項に掲げる防火対象物に該当する。しかし、設問のように宿泊施設がある場合は、当該部分は令別表第1(5)項イに掲げる防火対象物に該当するので、当該クラブハウスは令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物に該当する。
宿泊施設がなければ、クラブハウス全体は令別表第1(15)項で足ります。しかし宿泊施設が加わると、そこだけ(5)項イとして扱われ、建物全体が(16)項イの複合用途になります。
つまり、施設をひとつ追加しただけで、建物全体の区分が変わることがあるということです。
クラブハウスに宿泊機能を加える計画があるなら、増築前に区分の変化を確認してください。設備基準もあわせて見直しが必要になります。
宿泊施設を足すだけで建物全体の区分が変わるんですね。
その通りです。
増築前に区分の変化を確認してください。
事務所ビル内の小さなタバコ販売店はどう扱われるか

店員が1人程度の規模でも、それだけでビル全体が複合用途になるのか。
問 令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物の判定に関して事務所ビルの1階に店員1名程度のタバコ販売店が存する場合、この販売店は同表(4)項に該当し当該ビルは同表(16)項イに掲げる防火対象物に該当すると解してよいか。
答 設問のタバコ販売店は事務所ビルに従属するものとして取り扱われたい。
問いにあった「(16)項イの複合用途になる」という理解は採用されませんでした。かわりに、タバコ販売店は事務所ビルに従属するものとして扱うこととされています。
つまり、規模が極端に小さい付随的な用途まで、律儀に複合用途としてカウントする必要はないということです。
自分のビルにごく小さな売店やサービスカウンターがあるなら、それだけで複合用途になると即断せず、主たる用途への従属として扱えないか確認してください。
小さすぎる用途は親の用途に吸収されるんですね。
その通りです。
主たる用途への従属として扱えないか確認してください。
理容店・美容店は物品販売業を営む店舗に含まれるか

では、物を売るわけではないサービス業の店はどうなるのか。
問 理容店、美容店等は防炎防火対象物である物品販売業を営む店舗に含まれるか。
答 含まれない。
物品販売業を営む店舗かどうかの判定は、これまで一貫して「規模・品目・客層は問わない」という方向で回答が続いてきました。しかし理容店・美容店は含まれないと明確に否定されています。
理由は、これらが物品の販売ではなく技術・サービスの提供を主とする業態だからです。店内に商品棚があっても、業態の中心が施術である以上、(4)項の物品販売業とは別に考えられます。
サービス業の店舗を持っているなら、物販の店と同じ区分だと思い込まず、業態そのものが何を提供しているかで確認してください。
物を売っているかどうかより、業態の中心で見るんですね。
その通りです。
業態そのものが何を提供しているかで確認してください。
モデル住宅と自動車展示販売店は扱いが違うか

モデル住宅と自動車展示販売店、この2つは同じ扱いになるのか。
問 モデル住宅、小規模の自動車展示販売店等は、それぞれ令別表第1(4)項に掲げる防火対象物として取り扱ってさしつかえないか。
答 (1) 事業として展示されているモデル住宅は、令別表第1(15)項に掲げる防火対象物に該当する。
(2) 自動車展示販売店は、令別表第1(4)項に掲げる防火対象物に該当する。
(2) 自動車展示販売店は、令別表第1(4)項に掲げる防火対象物に該当する。
モデル住宅は令別表第1(15)項、自動車展示販売店は令別表第1(4)項と、同じ「展示」でも区分が違います。
モデル住宅は住宅そのものを見せる事業用の建物という性格が強く、自動車展示販売店はそこで物品(自動車)を販売する行為が中心です。似た業態でも、何を主目的にしているかで判定が分かれます。
展示を伴う店舗を計画しているなら、「見せること」が目的か「販売すること」が目的かを整理したうえで区分を確認してください。
同じ「展示」でも、目的が違えば区分も違うんですね。
その通りです。
見せることが目的か、販売が目的かを整理してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
Q住宅の一部だけを店舗にしていても複合用途になりますか?
A回答は、店舗併用住宅は令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物に該当するとしています。
Q宿泊施設のないクラブハウスも(16)項イになりますか?
A回答は、宿泊施設がない一般的なクラブハウスは令別表第1(15)項に該当するとしています。
Q小さな売店ならどんな規模でも従属扱いになりますか?
Aこの事例では店員1名程度のタバコ販売店が従属扱いとされました。規模が大きくなれば判断は変わり得ます。
Q理容店で整髪料などの物品も売っている場合は?
A回答は、理容店・美容店等は物品販売業を営む店舗に含まれないとしています。業態の中心はサービス提供とされます。
まとめ
✔小規模の店舗併用住宅も令別表第1(16)項イに該当します
✔宿泊施設のあるクラブハウスは(16)項イに該当します
✔ごく小さな付随的な店舗は主たる用途に従属させて扱えます
✔理容店・美容店は物品販売業を営む店舗には含まれません
✔モデル住宅と自動車展示販売店は展示の目的で区分が分かれます
✔共通する視点は主たる用途と従たる用途の見分け方です
✔迷ったら用途の規模と目的を整理してから相談してください
主たる用途と従たる用途、見分け方が分かりました。
うちのビルも一度整理してみます。
規模・業態・目的の3つを見れば、
だいたいの判断がつきます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 小規模の店舗併用住宅も物品販売業を営む店舗に該当するか(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- ゴルフ場のクラブハウスは消防法施行令別表第1のいずれの項に該当するか(同日 同号)
- 事務所ビルの1階に小規模のタバコ販売店が存する場合の当該ビルの取扱いについて(同日 同号)
- 理容店、美容店等は物品販売業を営む店舗に含まれるか(同日 同号)
- モデル住宅、小規模の自動車展示販売店等は、消防法施行令別表第1のいずれの項に該当するか(同日 同号)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和48年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





