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水噴霧消火設備と泡消火設備はなぜ号九を最後の項目に置くのか|七項目と十六項目に分かれる理由を解説

水噴霧消火設備と泡消火設備の貯水槽等の耐震義務に関する記事のアイキャッチ画像

貯水槽等の耐震措置は、屋内消火栓設備だけの規定ではありません。
消防法施行規則第十二条第一項第九号が定めるこの措置は、水噴霧消火設備・泡消火設備を含む九つの設備からも引用されています。
ただし引用の位置は毎回「技術基準細目の最後の項目」で共通していて、その手前に並ぶ項目数は水噴霧消火設備が七、泡消火設備が十六と大きく違います。
この記事では、その項目数の違いと号九が定める対象の範囲を条文で確認します

貯水槽等の耐震措置って、うちの水噴霧設備にも関係あるんですか。

水噴霧消火設備も泡消火設備も、同じ号九を引用しています。

でも項目数がずいぶん違う気がします。

水噴霧は七項目、泡消火は十六項目です。
今日はその理由を条文で見ていきましょう。

この記事の結論
  • 貯水槽等の耐震措置(消防法施行規則第十二条第一項第九号)が対象とするのは貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つである
  • 水噴霧消火設備も泡消火設備も、いずれも第十二条第一項第九号をそのまま引用し、技術基準細目の最後の項目として置いている
  • 水噴霧消火設備の技術基準細目は七項目で、号九は七番目の最後に置かれる
  • 泡消火設備は移動式・高発泡等の固有規定が挟まるため技術基準細目が十六項目まで増え、号九は十六番目の最後に置かれる
  • 号九の対象に消防用ホースは含まれておらず、泡消火設備の移動式ホースは耐震措置の対象外である

水噴霧消火設備と泡消火設備が貯水槽等の耐震措置を最後の項目として引用する仕組みを示す図解

貯水槽等の耐震措置はどの条文が定めているのか

地下の水源タンクとポンプと非常電源の蓄電池と配管が一つにつながるイラスト
貯水槽等の耐震措置は、条文の中に単独の見出しを持ちません。
まず号九そのものの文言を確認します。
【消防法施行規則第十二条第一項第九号】貯水槽、加圧送水装置、非常電源、配管等(以下「貯水槽等」という。)には地震による震動等に耐えるための有効な措置を講じること。
号九が対象にするのは四つの設備です。
貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つをまとめて「貯水槽等」と呼び、地震の震動に耐えるための有効な措置を講じることだけを求めています。
措置の具体的な中身は号九自体には書かれておらず、消防庁長官が定める基準等に委ねられています。
この号九を、水噴霧消火設備と泡消火設備を含む複数の設備が条文の中でそのまま引用しています。
次の章から、それぞれの設備がどの位置でこの号を引用しているかを確認します。

貯水槽等というのは、水槽だけの話じゃないんですね。

ポンプや非常電源、配管まで含めた四つ全部です。
次の章で水噴霧消火設備を見てみましょう。

水噴霧消火設備はなぜ七項目の最後に号九を置いているのか

噴霧ノズルから配管を通ってポンプと非常電源の蓄電池につながるイラスト
水噴霧消火設備の技術基準細目は、号一から号七までの七項目で構成されています。
号九を引用する位置を確認します。
【消防法施行規則第十六条第三項】一 放射区域は防護対象物が存する階ごとに設けること。二 呼水装置又は非常電源は第十二条第一項第三号の二又は第四号の規定の例により設けること。二の二 配管は第十二条第一項第六号の規定に準じて設けること。三 加圧送水装置は第十二条第一項第七号の規定の例により設けること。四 一斉開放弁又は制御弁は第十四条第一項第一号又は第三号の規定の例により設けること。五 排水設備は加圧送水装置の最大能力の水量を有効に排水できるものであること。六 第十二条第一項第八号の規定は水噴霧消火設備について準用する。七 貯水槽等には第十二条第一項第九号に規定する措置を講じること
号九は七項目のうち最後の号七に置かれています。
一から五までは放射区域・呼水装置・配管・加圧送水装置・排水設備という個別の技術基準で、六で総合操作盤(号八)を準用したうえで、最後の七で貯水槽等の耐震措置(号九)を引用しています。
号八と号九が連続して最後に置かれているのは、どちらも設備固有の性能ではなく、防災センター等の管理体制や地震対策という他の設備とも共通する「まとめの規定」だからだと考えられます。
理由まで条文には書かれていませんが、水噴霧の性能に関わる号一〜五を先に並べ、管理体制と地震対策を締めくくりに置く構成になっています。
次の章で、項目数がずっと多い泡消火設備を見てみます。

号八と号九が最後にセットで来るのは水噴霧だけですか。

次に見る泡消火設備も同じ並びです。
まず項目数の違いを確認しましょう。

泡消火設備はなぜ十六項目の最後に号九を置いているのか

泡放出口とホースリールと泡消火薬剤タンクとポンプが並ぶイラスト
泡消火設備の技術基準細目は、号一から号十六までの十六項目まであります。
水噴霧消火設備の七項目と比べてみます。
【消防法施行規則第十八条第四項】(抜粋)一 火災のとき著しく煙が充満するおそれのある場所は固定式とすること。三 移動式の泡消火薬剤は低発泡のものに限ること。三の二 移動式の消防用ホースは消防庁長官の定める基準に適合するものとすること。十 起動装置は次に定めるところによること。十一 高発泡用泡放出口を用いる泡消火設備には泡の放出を停止するための装置を設けること。十五 第十二条第一項第八号の規定は泡消火設備について準用する。十六 貯水槽等は第十二条第一項第九号に規定する措置を講じること
項目数が増える理由は、泡消火設備だけの固有規定が多いためです。
水噴霧消火設備には無い移動式・高発泡という二つの方式があり、移動式のホースの基準・移動式の表示・高発泡用の放出停止装置など、泡消火設備だけの規定が号九相当の手前に何本も挟まります。
それでも構成の骨格は水噴霧消火設備と同じで、号十五で総合操作盤(号八)を準用し、最後の号十六で貯水槽等の耐震措置(号九)を引用しています。
つまり項目数は七と十六で大きく違っても、「総合操作盤の準用」の直後に「貯水槽等の耐震措置」を置くという並び方そのものは共通しています。
点検では、まず自分の設備が固定式か移動式か高発泡かを確認したうえで、該当する号を数えてください。

うちは駐車場の泡消火設備で、移動式のホースも付いています。

それなら号三の二のホースの基準も対象です。
次の章で耐震措置そのものの範囲を確認しましょう。

号九の対象に消防用ホースが入らないのはなぜか

貯水槽とポンプと蓄電池のまとまりにチェックマークが付きホースリールに禁止マークが付くイラスト
号九の原文には「貯水槽、加圧送水装置、非常電源、配管等」とだけ書かれています。
泡消火設備が持つ消防用ホースとの関係を確認します。
【消防法施行規則第十二条第一項第九号】貯水槽、加圧送水装置、非常電源、配管等(以下「貯水槽等」という。)には地震による震動等に耐えるための有効な措置を講じること。
号九の対象に消防用ホースは含まれていません。
水噴霧消火設備はそもそも移動式を持たずホースを使いませんが、泡消火設備には移動式のホースがあります。
それでも号九が挙げるのは貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つだけで、消防用ホースはこの中に含まれていません。
理由までは条文に書かれていませんが、ホースは点検のたびに引き出して使う機材であるのに対し、貯水槽・ポンプ・非常電源・配管は建物に固定して設置される設備であるという違いが、対象を分ける背景にあると考えられます。
点検では、固定設置された設備側の耐震措置とホースの劣化確認を別の項目として扱ってください。

ホースは耐震の対象にならないんですね。

固定された設備側だけが対象です。
次の章で点検の確認先をまとめます。

点検では何を確認すればよいのか

水槽とポンプと蓄電池盤と配管の耐震固定箇所を示すイラスト
号九が求めるのは「有効な措置」という言葉だけで、具体的な工法までは書かれていません。
現場で確認すべき四つの箇所を整理します。
【消防法施行規則第十二条第一項第九号】貯水槽、加圧送水装置、非常電源、配管等(以下「貯水槽等」という。)には地震による震動等に耐えるための有効な措置を講じること。
確認するのは四つの固定箇所です。
貯水槽の転倒防止用アンカーボルト、加圧送水装置(ポンプ)の基礎ボルトの緩み、非常電源盤や蓄電池の転倒防止金具、配管の耐震継手や支持金具のゆるみという四点を順に見ます。
水噴霧消火設備・泡消火設備のどちらでも、この四点は号九が求める内容として共通しています。
移動式のホースやノズルは号九の対象外のため、耐震固定ではなく通常の劣化確認で足ります。
自分の設備がどちらの方式でも、まずこの四箇所の固定状態から確認してください。

次の点検では、まずこの四つを見ればいいんですね。

次はよくある質問を見てみましょう。

よくある質問

Q貯水槽等の耐震措置はどの条文が定めていますか?
A消防法施行規則第十二条第一項第九号です。対象は貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つで、これらを「貯水槽等」とまとめて呼んでいます。
Q水噴霧消火設備と泡消火設備は号九をどう引用していますか?
Aどちらも技術基準細目の最後の項目として号九をそのまま引用しています。水噴霧消火設備は七項目中の七番目、泡消火設備は十六項目中の十六番目です。
Q泡消火設備の項目数が水噴霧消火設備より多いのはなぜですか?
A移動式・高発泡という水噴霧消火設備には無い方式があり、ホースの基準や放出停止装置など泡消火設備だけの規定が号九の手前に多く挟まるためです。
Q泡消火設備の消防用ホースにも耐震措置は必要ですか?
Aいいえ。号九が挙げる対象に消防用ホースは含まれていません。耐震措置の対象は貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つだけです。

まとめ

貯水槽等の耐震措置(消防法施行規則第十二条第一項第九号)の対象は貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つ
水噴霧消火設備も泡消火設備も号九をそのまま引用し、技術基準細目の最後の項目として置いている
水噴霧消火設備の技術基準細目は七項目で、号九は七番目の最後
泡消火設備は十六項目で、号九は十六番目の最後
項目数が増えるのは移動式・高発泡という泡消火設備だけの規定が挟まるため
号九の対象に消防用ホースは含まれていない
点検では貯水槽・ポンプ・非常電源・配管の四箇所の固定状態を確認する

水噴霧消火設備と泡消火設備で号九の位置づけがこんなに揃っているとは思いませんでした。
さっそく自分の設備の貯水槽まわりを確認してみます。

その貯水槽まわりの点検から、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第十二条第一項第九号(貯水槽等の耐震措置)
  • 消防法施行規則第十六条第三項(水噴霧消火設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第十八条第四項(泡消火設備に関する基準)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。設備の設計・施工の詳細は所轄消防署や専門業者にご確認ください

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