呼水装置は、屋内消火栓設備だけの決まりではありません。
消防法施行規則第十二条第一項第三号の二が定めるこの装置は、スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・屋外消火栓設備の四つの設備からも借りられています。
ただし借り方は「準用する」ではなく「規定の例により」という書き方で、設備ごとに細かい違いがあります。
この記事では、その借り方の違いを条文で確認します。
呼水装置は、屋内消火栓だけの決まりだと思っていました。
実は水噴霧消火設備や泡消火設備、屋外消火栓設備も同じ号を借りているんです。
ただ、借り方が設備ごとに違います。
借り方が違うというのはどういうことですか。
今日はその違いを条文で見ていきましょう。
- 呼水装置(消防法施行規則第十二条第一項第三号の二)が必要になるのは、水源の水位がポンプより低い位置にあるときだけである
- 借りているのはスプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・屋外消火栓設備の四つで、いずれも「準用する」ではなく「規定の例により」という書き方を使っている
- スプリンクラー設備は特定施設水道連結型スプリンクラー設備であれば呼水装置を設けないことができる
- 水噴霧消火設備だけ、呼水装置と非常電源を一つの号でまとめて借りている
- 屋外消火栓設備の条文は、水源とポンプの高さの条件をもう一度自分の条文にも書き直している
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目次
呼水装置はどんなときに必要になるのか

条文の本文から確認します。
ポンプが水源より高い位置にあると、配管の中の水がポンプまで届かず空気が入ってしまうため、呼水槽という専用のタンクをあらかじめ水で満たしておく仕組みです。
呼水槽の容量はポンプを有効に作動させられる量であることが求められ、水位が下がったことを知らせる減水警報装置と、自動的に水を補給する装置もあわせて備える必要があります。
逆に水源がポンプより高い位置にあれば、この号自体が適用されず呼水装置は要りません。
次の章で、この号をどの設備が借りているのかを確認します。
呼水装置がどんな装置か、実はよく分かっていませんでした。
水源がポンプより低い位置にあるときだけ必要になる装置です。
次の章で借りている設備を確認しましょう。
どの消火設備が呼水装置の規定を借りているのか

実際の条文の言い回しを並べて確認します。
スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・屋外消火栓設備のいずれも、呼水装置そのものの中身を書き直さず第十二条第一項第三号の二を参照しています。
四つとも共通しているのは、「準用する」ではなく「規定の例により」という書き方を使っている点です。
どちらも実質的には同じ内容を取り込む言い回しですが、条文の作り方としては別の技術として使い分けられています。
次の章から、この四つがそれぞれどう書き方を変えているかを見ていきます。
うちはスプリンクラー設備ですが、この規定と関係あるんですか。
はい。
四つの設備がこの号を借りていて、その一つがスプリンクラー設備です。
スプリンクラー設備だけ呼水装置を省略できることがあるのはなぜか

条文のただし書きを確認します。
特定施設水道連結型スプリンクラー設備とは、水道の配水管に直結して作動する小規模な方式のスプリンクラー設備で、一般の病院や社会福祉施設などで使われています。
省略できる理由まで条文には書かれていませんが、水道の配水管に直結する方式は通常の加圧送水装置とは水の届け方の仕組みが異なるため、呼水槽を使う前提そのものが当てはまらないと考えられます。
水噴霧消火設備・泡消火設備・屋外消火栓設備の条文には、このようなただし書きはありません。
自分の設備がどちらの方式か分からないときは、まず設置時の設計図で加圧送水装置の種類を確認してください。
うちの図面には呼水槽が見当たらないのですが、大丈夫でしょうか。
水道に直結するタイプなら、省略できる場合があります。
まず設備の種類を確認しましょう。
水噴霧消火設備はなぜ呼水装置と非常電源を一つの号でまとめているのか

ところが水噴霧消火設備の条文だけ、書き方が違います。
スプリンクラー設備・泡消火設備・屋外消火栓設備は、呼水装置(第三号の二)と非常電源(第四号)をそれぞれ別の号に分けて書いています。
一方、水噴霧消火設備だけは第三項第二号という一つの号の中で「呼水装置又は非常電源は」とまとめ、参照する号も「第三号の二又は第四号」と一緒に並べています。
求められる中身自体は他の設備と変わりませんが、条文の作り方として二つの項目を一文にまとめている点が水噴霧消火設備だけの特徴です。
点検では、この一つの号の中に呼水装置と非常電源の両方が含まれていることを見落とさないようにしてください。
呼水装置と非常電源、別々の話だと思っていました。
水噴霧消火設備の条文だけ、この二つを一つの文でまとめて借りているんです。
屋外消火栓設備の条文だけ条件を書き直しているのはなぜか

第十二条第一項第三号の二自体には、すでに条件が書かれています。
スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備の条文は、条件を書かず「呼水装置は、第十二条第一項第三号の二の規定の例により設けること」とだけ書いています。
これは、参照先である第三号の二自体にすでに「水源の水位がポンプより低い位置にある」という条件が入っているためで、書かなくても条件は自動的に引き継がれます。
屋外消火栓設備の条文は、この条件をあえて自分の条文にも重ねて書いており、結果として求められる内容は他の三つの設備と変わりません。
点検では、まず水源とポンプの高さの関係を確認し、水源がポンプより低い位置にある場合に限って呼水槽・減水警報装置・自動給水装置の有無を確認してください。
屋外消火栓設備は、何を確認すればよいですか。
水源とポンプの高さの関係を確認してください。
次はよくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
呼水装置の借り方が四つの設備でこんなに違うとは知りませんでした。
さっそく自分の設備の図面を確認してみます。
その図面の読み合わせから、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第十二条第一項第三号の二(呼水装置)
- 消防法施行規則第十四条第一項第五号(スプリンクラー設備)
- 消防法施行規則第十六条第三項第二号(水噴霧消火設備)
- 消防法施行規則第十八条第四項第六号(泡消火設備)
- 消防法施行規則第二十二条第一項第五号(屋外消火栓設備)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。設備の設計・施工の詳細は所轄消防署や専門業者にご確認ください。





