モバイルバッテリーやスマートフォンは、充電ケーブルにつないだまま一晩放置されることが珍しくありません。
消防庁は令和7年中に全国の消防機関が覚知した、リチウムイオン電池等を原因とする火災を集計し公表しました。
件数は年々増え続け、なかでもモバイルバッテリーの出火は前年から急激に伸びています。
全国調査が示す数字と、廃棄後の火災まで含めた注意点を確認します。
うちのオフィスでもスタッフがモバイルバッテリーを充電したまま帰ることがあります。
そのままにしていて大丈夫でしょうか。
令和8年3月に消防庁がリチウムイオン電池等の火災調査結果を公表しています。
モバイルバッテリーの出火が急増していることがわかりました。
充電しているだけで火が出るとは思っていませんでした。
どんな原因が多いのか知りたいです。
調査には出火原因の内訳まで詳しく載っています。
今日はその中身と、明日からできる対策を見ていきましょう。
- 調査は令和7年(1〜12月)のリチウムイオン電池等の火災が1,297件だったことを示しました
- 対象はモバイルバッテリー・携帯電話機・電動工具など充電式電池を使う製品全般です
- モバイルバッテリーの出火は前年から約7割増の482件に達しました
- 廃棄後のリチウム電池からの出火も塵芥車やごみ処理施設で増えています
- 対策の要は消防計画の「火気の使用又は取扱いの監督」への充電ルールの明記です
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目次
モバイルバッテリー火災はなぜ全国調査の対象になったのか

まずこの通知がまとめられた経緯を確認します。
令和4年601件、令和5年739件、令和6年982件、令和7年1,297件と、4年連続で増加しています。
この数字は全国の消防機関が覚知した火災を集計したもので、消防予第509号による調査の最新版にあたります。
消防庁は同じ調査を継続して行っており、半年ごとに件数を更新して公表しています。
件数の増加そのものが、この通知が改めて出された理由です。
4年連続で増えているとは知りませんでした。
原因は製品によって違うのでしょうか。
はい、製品ごとに傾向が分かれています。
次は調査の対象になる製品を見ていきましょう。
調査でいう「リチウムイオン電池等」はどこまでの製品を指すのか

上位を占める3つの製品も確認します。
出火件数の上位3製品はモバイルバッテリー・携帯電話機・電動工具で、令和7年はそれぞれ482件・93件・86件でした。
このほか電動アシスト自転車・コードレス掃除機・ポータブル電源・タブレットなど、日常的に使う充電式製品が広く含まれています。
どれも自宅だけでなく、職場やオフィスの什器としても普通に使われているものばかりです。
「うちには関係ない」と思える製品はほとんど無いのが実情です。
モバイルバッテリーだけの話かと思っていました。
電動工具まで含まれるとは意外です。
充電式電池を使う製品はほぼ対象になります。
次は具体的な出火原因を見ていきましょう。
出火原因はどこにいちばん集中しているのか

上位3製品それぞれの傾向を確認します。
内訳は外部衝撃41件・高温下での使用や保管23件・製品の欠陥18件の順でした。
携帯電話機は外部衝撃32件・分解29件が上位を占め、モバイルバッテリーとは少し傾向が異なります。
電動工具は非純正バッテリーの使用15件が最多で、純正品以外を使うリスクがはっきり表れています。
落下させる・高温の車内に置く・分解する・非純正品を使う、この4つが共通して見えてくる落とし穴です。
純正品じゃない充電池を使っている社員もいそうです。
ここはすぐに注意しないといけませんね。
非純正バッテリーは電動工具でとくに目立つ原因です。
次は廃棄後の火災についても見ておきましょう。
捨てたはずのリチウム電池がなぜごみ処理施設で火元になるのか

分別を誤ったときのリスクを確認します。
内訳はごみ処理関連施設106件・塵芥車107件で、ほぼ同じ規模で発生しています。
可燃ごみに紛れ込んだ電池が、収集車の圧縮や処理施設の破砕でショートし発火する構図です。
リーフレットは発火時の対応も示しており、いったん火が消えても再出火の危険があるため、消防隊が到着するまで水没させたまま動かさないよう求めています。
「使い終わったら燃えるごみへ」という扱いそのものが、次の火災の火種になり得ます。
使い終わった電池を普通ごみに出していました。
これはすぐに見直します。
分別回収のルートを確認しておくと安心です。
最後に、職場で明日からできる対策をまとめます。
消防計画に明日から何を書き加えればよいのか

この項目にどう落とし込めばよいかを整理します。
充電は就寝中や離席中の集中充電を避け、高温になる場所や車内に放置しないルールを決めます。
購入や補充は純正品または適合が確認できたものに限り、非純正バッテリーの使用は避けます。
使用済みの電池は可燃ごみに混ぜず、専用の回収ボックスへ分別するルートを周知します。
発火時は周囲へ知らせて安全を確保したうえで119番通報し、消火後も水没させたまま消防隊の到着を待つ、という手順をあわせて明記しておきます。
4つとも今日から見直せる内容ですね。
消防計画にも追記しておきます。
火気の使用又は取扱いの監督の項目に位置付ければ整理しやすいです。
次回の見直しのタイミングで反映しましょう。
よくある質問
まとめ
充電ルールと廃棄の分別、さっそく職場で共有します。
消防計画にも書き加えておきます。
日々の充電管理が被害を防ぐ一番の近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第99号「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果について(令和7年)」(令和8年3月26日・消防庁予防課長)
- 消防法施行規則第3条第1項第2号ハ
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





