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窓のない部屋が無窓居室の規制を受けないことがあるのはなぜか|建築基準法施行令第111条が定める避難階等の除外基準を解説

窓のない会議室を背景にした無窓居室の規制除外に関する記事のアイキャッチ画像

窓のない会議室や書庫を建物の中に作ると、建築基準法上「無窓居室」として重い規制を受けることがあります。
主要構造部を耐火構造にするなど、通常の居室にはない対応まで求められてきました。
しかし令和2年の施行令改正で、一定の条件を満たす居室はこの規制の対象から外れるようになりました。
避難階に近く、警報設備がしっかり機能している居室であれば、規制が緩和される道が用意されています

うちの窓が無い会議室、大丈夫でしょうか。

実は令和2年の改正で、無窓居室の扱いが一部見直されているんですよ。

見直しって、規制が緩くなったということですか。

はい。警報設備の設置状況などの条件を満たせば、対象から外れます。

この記事の結論
  • 建築基準法第35条の3が定める無窓居室は、原則として主要構造部を耐火構造等にしなければなりません。
  • 令和2年の施行令改正で、避難階等にあり警報設備の基準を満たす居室は無窓居室の対象から除かれることになりました。
  • 除外の基準は令和2年国土交通省告示第249号が定めており、自動火災報知設備の設置などを条件としています。
  • 採光のための窓の設置義務など、他の規定まで一緒に緩和されるわけではありません。
  • 該当しそうな部屋があれば、図面と警報設備の設置状況を確認することから始めます。

無窓居室の範囲が合理化される流れを示す図解

無窓居室の範囲はなぜ見直されたのか

窓のない居室を厚い耐火構造の壁で囲った建物のイラスト
窓のない居室は、火災時に煙や熱が滞留しやすいという理由から、長年重い建築規制を受けてきました。
その規制の一部が、令和2年の施行令改正で見直されています。
消防庁予防課長・消防庁消防・救急課長通知(令和2年4月1日付け消防予第77号・消防消第96号) 建築基準法施行令の一部を改正する政令(令和元年政令第181号)等が令和2年4月1日から施行されたことに伴い、建築基準法第35条の3の規制対象となる窓その他の開口部を有しない居室(無窓居室)から、避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室その他の居室であって、当該居室の床面積、当該居室の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離並びに警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除くこととした
無窓居室は主要構造部を耐火構造等とする規制の対象でしたが、条件を満たせば対象から外れるようになりました
背景にあるのは、窓がなくても警報設備で早期に火災を知らせられれば、同じだけの安全性を確保できるという考え方です。
これは建築物の主要構造部(壁・柱など)の規制を緩和するものであり、消防法令が求める設備の基準そのものが変わったわけではありません。
無窓居室にあたるかどうかは窓の大きさや面積で決まりますが、今回の見直しは無窓居室と判定されたあとの扱いを変えるものです。
防火管理者としては、自分が管理する建物にこの合理化の対象になりうる部屋があるかを知っておく必要があります。

窓が無い部屋は全部同じ扱いだと思っていました。

いいえ、場所や設備の状況によって扱いが変わることになったんです。

どんな居室が無窓居室の対象から除かれるのか

避難階を強調した建物断面と歩行距離を示す線のイラスト
除外の対象になるかどうかは、居室の位置と設備の状況で決まります。
建築基準法施行令第111条第1項が、具体的な条件を定めています。
法第35条の3(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室(避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室その他の居室であつて、当該居室の床面積、当該居室からの避難の用に供する廊下その他の通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)とする。(建築基準法施行令第111条第1項)
対象になるのは、避難階または避難階の直上・直下階にある居室です
床面積や、居室から屋外への出口までの歩行距離も条件に含まれます。
さらに、警報設備の設置状況や構造が、避難上支障がない基準を満たしていることが求められます。
これらすべてを満たしてはじめて、無窓居室の規制の対象から除かれます。
次に、具体的にどんな基準を満たせばよいのかを見ていきます。

避難階に近ければ、それだけで大丈夫なんですか。

いいえ、歩行距離や警報設備など複数の条件をあわせて満たす必要があります。

除外の基準は具体的に何を求めているのか

天井の感知器と防災盤をつないだ部屋のイラスト
避難上支障がないと認められるための基準は、告示で定められています。
その中心にあるのが、自動火災報知設備の設置です。
「主要構造部を耐火構造等とすることを要しない避難上支障がない居室の基準を定める件」(令和2年国土交通省告示第249号) 当該基準の具体的内容については、当該無窓居室を有する建築物への警報設備(自動火災報知設備に限る。)の設置及び当該無窓居室の規模又は避難距離の制限を条件としている
告示が求める警報設備は、自動火災報知設備に限られています
消防法令で位置づけのある設備が念頭に置かれており、それ以外の設備では基準を満たしません。
あわせて、無窓居室の規模や避難距離にも制限があり、大きすぎる居室は対象になりません。
つまり、警報設備さえ付ければ無条件に緩和されるわけではなく、規模や距離もあわせて確認する必要があります。
建築確認の際には、これらの条件を満たしていることを設計者が示すことになります。

感知器さえ付ければ何でもいいわけじゃないんですね。

そうです。規模や避難距離の制限もあわせて確認します。

実務で見落としやすいのはどこか

警報表示と点検用の脚立を描いたイラスト
この合理化は、主要構造部の規制だけを対象にしています。
窓に関する他の規定まで、まとめて緩和されるわけではありません。
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。(建築基準法第28条第1項)
採光のための窓を設ける義務(法第28条第1項)は、今回の合理化とは別の規定です
無窓居室の主要構造部規制から外れても、採光規定の対象になる居室であれば、従来どおり窓が必要です。
また、除外の前提は警報設備が正しく機能していることにあります。
自動火災報知設備が故障していたり点検が行われていなかったりすれば、除外の根拠そのものが揺らぎます。
建築側の緩和と消防設備の維持管理は別の話として、両方を意識しておく必要があります。

採光の窓は別に必要ってことですか、ややこしいですね。

はい。主要構造部の規制と採光規定は、それぞれ別の条文なんです。

明日から何を確認すればよいか

図面とチェックリストを確認するイラスト
自分が管理する建物に、窓のない居室があるかどうかをまず確認します。
該当しそうな部屋があれば、次の点をひとつずつ確認していきます。
(前掲通知)貴職におかれては、貴管内特定行政庁及び貴都道府県知事指定の指定確認検査機関に対しても、この旨周知方お願いする。なお、国土交通大臣指定又は地方整備局長指定の指定確認検査機関に対しても、この旨周知していることを申し添える
まずは、自分が管理する建物に窓のない居室があるかどうかを確認しましょう
該当する部屋があれば、避難階との位置関係と屋外への出口までの歩行距離を図面で確かめます。
次に、自動火災報知設備が設置され、正常に作動しているかを点検記録で確認します。
建築確認申請の際にこの基準を根拠にしているかどうかは、設計図書や確認済証で分かります。
判断に迷ったときは、所轄の特定行政庁や指定確認検査機関に確認するのが確実です。

今日帰ったら、まず自分の会議室の図面を確認してみます!

はい。警報設備の点検記録もあわせて見ておくと安心です。

よくある質問

Q無窓居室に該当するかどうかは誰が判断するのですか?
A建築確認を行う特定行政庁または指定確認検査機関が、設計図書に基づいて判断します。
Qすでに建っている建物にも今回の合理化は適用されますか?
A既存の建物であっても避難階等の位置関係や警報設備の設置状況が基準を満たせば対象になり得ますが、増改築時などにあわせて個別に確認することになります。
Q自動火災報知設備以外の警報設備でもよいのですか?
A告示が対象としているのは自動火災報知設備に限られており、他の警報設備では基準を満たしません。
Q採光のための窓も不要になりますか?
Aいいえ。今回の合理化は主要構造部の規制が対象で、採光のための窓の設置義務は別の規定として残ります。

まとめ

建築基準法第35条の3が定める無窓居室は、原則として主要構造部を耐火構造等にしなければなりません。
令和2年の施行令改正で、避難階等にあり警報設備の基準を満たす居室は無窓居室の対象から除かれることになりました。
除外の対象は、避難階または避難階の直上・直下階にある居室で、床面積や歩行距離も条件になります。
具体的な基準は令和2年国土交通省告示第249号が定め、自動火災報知設備の設置を求めています。
採光のための窓の設置義務(法第28条第1項)など、他の規定まで一緒に緩和されるわけではありません。
除外の前提は警報設備が正常に機能していることにあるため、点検・維持管理も欠かせません。
該当しそうな部屋があれば、図面と警報設備の設置状況を確認し、判断に迷ったら所轄の特定行政庁に相談しましょう。

まずは図面と警報設備の点検記録を、今日中に確認してみます!

判断に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「建築基準法施行令の一部を改正する政令等の施行について(情報提供)」(令和2年4月1日付け消防予第77号・消防消第96号 消防庁予防課長・消防庁消防・救急課長)
  • 「建築基準法施行令の一部を改正する政令等の施行について(技術的助言)」(令和2年4月1日付け国住指第4658号 国土交通省住宅局建築指導課長)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第35条の3・第28条第1項
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第111条第1項
  • 「主要構造部を耐火構造等とすることを要しない避難上支障がない居室の基準を定める件」(令和2年国土交通省告示第249号)

※本記事は公表されている法令および国の通知に基づく一般的な解説です。運用は特定行政庁ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または所轄消防署にご確認ください。

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