自動火災報知設備の非常電源は、消防法施行規則第二十四条第四号が独自に定めています。
屋内消火栓設備の非常電源が認める非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備の四種類のうち、自動火災報知設備で使えるのは実質二種類だけです。
延べ面積千平方メートル以上の特定防火対象物になると、その二種類からさらに絞り込まれます。
この記事では、その絞り込みの構造と借りる基準の違いを整理します。
自動火災報知設備の非常電源も、屋内消火栓と同じ四種類から選べると思っていました。
実は自動火災報知設備だけ、選べる非常電源がかなり絞られているんです。
延べ面積によっても変わります。
延べ面積で選べる電源まで変わるんですか。
はい。
今日はその絞り込みの理由を条文で見ていきましょう。
- 自動火災報知設備の非常電源(消防法施行規則第二十四条第四号)は、屋内消火栓設備が定める四種類のうち非常電源専用受電設備と蓄電池設備の二種類しか選べない
- 延べ面積千平方メートル以上の特定防火対象物では、その二種類からさらに絞られ蓄電池設備しか使えない
- 蓄電池設備と非常電源専用受電設備では、第十二条第一項第四号のうち借りる範囲が大きく違う
- 非常電源専用受電設備は設置場所と配線の基準だけを借り、自家発電設備や蓄電池設備自体の構造規定はそもそも及ばない
- 蓄電池設備の容量は自動火災報知設備を有効に十分間作動できればよく、屋内消火栓の三十分より短い
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目次
自動火災報知設備の非常電源はなぜ建物の規模で選べる方式が変わるのか

自動火災報知設備はこの条文を借りていますが、選べる範囲が違います。
屋内消火栓設備の非常電源(第十二条第一項第四号)は非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備の四種類を認めていますが、自動火災報知設備の条文はこの四種類をまるごと準用せず、独自にイからニまでを書き直しています。
書き直された本文が指定するのは非常電源専用受電設備と蓄電池設備の二種類だけで、自家発電設備と燃料電池設備は選択肢に入っていません。
どちらを選べるかは、設置する防火対象物の用途と延べ面積で決まります。
次の章で、その延べ面積の基準を確認します。
自家発電設備や燃料電池設備は、自動火災報知設備には使えないんですね。
そのとおりです。
四種類のうち二種類だけに絞られています。
延べ面積千平方メートル以上の特定防火対象物ではなぜ蓄電池設備しか使えないのか

条文のイに戻って、延べ面積の基準を確認します。
特定防火対象物で延べ面積千平方メートル以上になると、非常電源専用受電設備は選択肢から外れ、蓄電池設備だけが残ります。
延べ面積が千平方メートル未満の特定防火対象物や、特定防火対象物に当たらない防火対象物であれば、非常電源専用受電設備と蓄電池設備のどちらでもかまいません。
非常電源専用受電設備は電力会社からの引き込みを専用の配電盤で受ける方式で、停電そのものには対応できない点は屋内消火栓設備の場合と同じです。
延べ面積の算定は建物全体で行うため、増築や用途変更で基準を超えていないかを確認する必要があります。
うちの建物は延べ面積が大きいので、蓄電池設備しか選べないということですね。
はい。
面積表で千平方メートルを超えているか確認してみましょう。
蓄電池設備と非常電源専用受電設備で借りる基準はどう違うのか

借りる範囲は、蓄電池設備のほうがずっと広いです。
蓄電池設備は第十二条第一項第四号のイ(設置場所)だけでなくハ(蓄電池設備自体の構造)とホ(配線)まで借りており、蓄電池設備自身の構造基準を持っています。
一方、非常電源専用受電設備が借りるのはイとホの二項目だけで、ロ(自家発電設備の基準)やハ(蓄電池設備の基準)にはそもそも触れません。
これは非常電源専用受電設備自体が電力会社の配線を専用の盤で受けるだけの設備で、自家発電や蓄電の仕組みを内蔵しないためです。
点検では、どちらの設備が使われているかによって確認すべき条文の範囲が変わることを覚えておくと役立ちます。
同じ第十二条を借りていても、範囲がこんなに違うとは知りませんでした。
借りる項目の数を見れば、どちらの設備か見分けられますよ。
蓄電池設備の容量十分間はなぜ屋内消火栓の三十分より短いのか

条文のロの後半を見てみましょう。
屋内消火栓設備の非常電源(第十二条第一項第四号ロ(イ)=自家発電設備の場合)が三十分間以上を求めるのに対し、自動火災報知設備は十分間で足ります。
自動火災報知設備は火災を感知して警報を出すことが役割で、消火のように長時間の連続作動を前提としていないためと考えられます。
もう一つ見落としやすいのが、条文のイにある「直交変換装置を有する蓄電池設備を除く」という限定です。交流に変換して出力するタイプの蓄電池は、自動火災報知設備の非常電源としては認められません。
点検では容量の長さだけでなく、蓄電池が直交変換装置を持たないタイプかどうかもあわせて確認してください。
十分間でいいというのは意外でした。
三十分は必要かと思っていました。
警報が役割の設備なので、消火設備ほど長くは求められないんです。
点検で非常電源の種類をどう確認すればよいのか

確認するのは非常電源の種類と、建物の規模の二点です。
配電盤や電源盤の系統図で非常電源専用受電設備か蓄電池設備のどちらが使われているかを確認し、蓄電池であれば直交変換装置を持たないタイプかどうかもあわせて見ます。
次に建物の延べ面積と用途を確認し、特定防火対象物で千平方メートルを超えているのに非常電源専用受電設備のままになっていないかを確認します。
超えている場合は、設置時点の基準か、増築・用途変更による可能性があるため、所轄消防署に確認してください。
蓄電池設備の容量が十分間を確保できているかも、あわせて記録しておくと安心です。
まず系統図で電源の種類を確認するところから始めます。
それができれば、あとは延べ面積の表と照らし合わせるだけです。
次はよくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
自動火災報知設備だけ選べる非常電源が絞られている理由がよく分かりました。
さっそく系統図を確認してみます。
その系統図の読み合わせから、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第二十四条第四号(自動火災報知設備の非常電源)
- 消防法施行規則第十二条第一項第四号(屋内消火栓設備の非常電源)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。設備の設計・施工の詳細は所轄消防署や専門業者にご確認ください。





