浮き屋根式のタンクに、さらにドーム屋根をかけて二重構造にする。
雨水や雪の侵入を防げますが、そのとき消火設備や換気設備はどう考えればよいのでしょうか。
昭和48年の回答は、消火設備の考え方から金網の目の細かさまで具体的に示しています。
この記事では二重構造の屋根をもつ屋外タンクの条件を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
浮き屋根の上にドームをかけたら、消火設備はどっちに合わせるんや。
屋根のある側です。
回答はコンルーフタンクの例により設置するよう指導されたいとしています。
ほなドームの取付はどないしたらええんや。
そこは明確です。
ドーム屋根の取付方法は放爆構造を必要とするとされました。この記事でまとめて解説します!
- 二重構造の屋根とする場合の消火設備はコンルーフタンクの例により設置するよう指導されたいとされた
- ただし泡放出口の個数が1となるタンクにあっては当該泡放出口の個数を2以上とすること
- 換気設備の開口部に40メッシュ以下の金網が設けられている場合はさしつかえない
- 通気管に設ける金網についても40メッシュ以下のものとする必要がある
- ドーム屋根の取付方法は放爆構造を必要とする
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目次
攪拌装置を備えた屋外タンク貯蔵所の設置はさしつかえない

まずタンクに付ける装置についての回答から見ておきます。
昭和47年10月31日付け消防予第170号は、長野県からの照会に答えたものです。
添付された図面は容量30キロリットルのタンクの平面図で、攪拌機(防爆型)が側面から差し込まれる構造でした。
あわせて加熱蒸気パイプ、40Aのドレンと蒸気出入口、50Aの通気口と油出入口、液面計が示されています。
粘度の高い危険物を流動させるために攪拌するという運転そのものは、否定されていません。
攪拌機が防爆型であることが図面に明記されている点が前提になります。
防爆型が前提です。
二重構造の屋根はコンルーフタンクの例により消火設備を設ける

昭和48年8月2日付け消防予第118号は、千葉県からの照会に答えたものです。
管下消防長を通じて、屋外貯蔵タンクの屋根を二重構造とすることについて三つの疑義が寄せられました。
浮き屋根の上に、ドーム屋根がかかる構造です。
一つめの問いは消火設備の位置と個数は、通常のフローテイングタンクの場合と同様でよろしいかというものでした。
採られたのはコンルーフタンクすなわち固定屋根式のタンクの例です。
浮き屋根があってもドームで覆われている以上、屋根のあるタンクとして扱うという整理になります。
浮き屋根式のタンクでは、火災は屋根と側板のすきま部分で起きることが想定されます。
しかしドームで覆えば、その内側に空間ができ、火災の形が変わります。
屋根のある扱いです。
泡放出口が1個になる場合は2以上とすること

同じ回答には、ただし書が付いています。
コンルーフタンクの例によると、かえって設備が減ってしまう場合があるためです。
泡放出口が一つしかないと、その一つが使えなくなったときに手立てがなくなります。
また、ドームの内側という限られた空間に泡を送り込む以上、一箇所からでは行き渡りません。
数え方の結果として1個となる場合でも、2以上とすることが求められました。
1個では足りません。
換気設備の開口部と通気管の金網は40メッシュ以下とする

二つめの問いは、危険物蒸気の換気設備についてです。
ドームで覆うと、浮き屋根の上に蒸気がたまるおそれがあります。
照会は危険物蒸気の換気設備の位置、個数は、別添図面2のとおりでよいかと尋ねました。
さらになお、通気管に設ける金網についても40メッシュ以下のものとする必要があるので念のため申し添えると続きます。
条件は40メッシュ以下の金網です。
金網は炎が中に入るのを防ぐ役割を持つため、目が細かいほど効果があります。
そして、なお書きで通気管に設ける金網にも同じ条件が及ぶことが示されました。
換気設備だけを見て通気管を見落とさないように、という念押しです。
通気管も同じ条件です。
ドーム屋根の取付方法は放爆構造を必要とする

三つめの問いは、ドーム屋根をタンクにどう取り付けるかです。
照会はドーム屋根の取付方法は、放爆構造とすべきかと尋ねました。
放爆構造とは、内部で爆発が起きたときに屋根と側板の接合部が先に壊れて圧力を上に逃がす構造をいいます。
側板が裂けて中身が流れ出すよりも、屋根が飛ぶほうが被害が小さいという考え方です。
ドームで覆うということは、それだけ密閉された空間ができるということでもあります。
そこに蒸気がたまれば、爆発の可能性が生まれます。
屋根をかけて守る一方で、屋根が飛ぶようにも造っておく。
二重構造にするなら、この両方が求められることになります。
逃がす構造が要ります。
よくある質問
まとめ
- 粘度の大きい危険物の流動性を確保するため防爆型の攪拌装置を備えた屋外タンク貯蔵所はさしつかえない
- 屋根を二重構造とする場合の消火設備はコンルーフタンクの例により設置するよう指導されたいとされた
- ただし泡放出口の個数が1となるタンクにあっては当該泡放出口の個数を2以上とすること
- 危険物蒸気の換気設備は開口部に40メッシュ以下の金網が設けられている場合はさしつかえない
- 通気管に設ける金網についても40メッシュ以下のものとする必要がある
- ドーム屋根の取付方法は放爆構造を必要とする
- 対象となったタンクは第四類第一石油類のガソリンと第二石油類のジェット燃料を貯蔵するものであった
- 図面ではタンク内径27.800メートル、タンク高さ19.617メートルという規模が示されている
屋根で守るのに、その屋根は飛ぶように造る。おもろい理屈やな。
そのとおりです。
タンクの改造にともなう消火設備の見直しも、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条・第20条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第19条・第20条 e-Gov法令検索
- 攪拌装置を有する屋外タンク貯蔵所の設置について(昭和47年10月31日付け消防予第170号 予防課長から長野県総務部長あて回答)
- 危険物屋外タンクの屋根の構造について(昭和48年8月2日付け消防予第118号 予防課長から千葉県あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




