タンクを土で覆ってしまえば、外からの衝撃にも温度変化にも強くなります。
では覆土式のタンクは、地下タンク貯蔵所として扱えるのでしょうか。
昭和46年の回答は、屋外タンク貯蔵所に該当するとしたうえで、設置を認めることはできないと述べました。
この記事では覆土式タンクの扱いと自動覚知装置の範囲を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
土をかぶせたら地下タンクやろ。そのつもりで造ったんやが。
屋外タンク貯蔵所とされました。
そのうえで基準に適合しないためその設置を認めることはできないと回答されています。
けど覆土式を認めた通達があるやんか。あれは使えへんのか。
そこが要点です。
その特例基準は自衛隊の施設に限り認めたものとされ、民間には及びません。この記事でまとめて解説します!
- 覆土式タンクは政令第2条第2号の屋外タンク貯蔵所に該当するが政令第11条の基準に適合しないためその設置を認めることはできない
- 昭和36年の政令第23条の特例基準第2の1は自衛隊の施設に限り認めたものである
- 併設するローリー詰場は一般取扱所として規制される
- 上限と下限で液面の制御を行うフロートスイッチは危険物の量を自動的に覚知することができる装置に該当しない
- その場合に政令第23条の特例基準を適用することも適当でない
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目次
覆土式タンクは屋外タンク貯蔵所にあたり設置は認められなかった

昭和46年1月5日付け消防予第6号は、岐阜県からの照会に答えたものです。
基地に隣接する航空機製造会社が、航空燃料を貯蔵する覆土式タンクを計画したという事案です。
基地周辺のデモによる襲撃を受けた場合の防護、航空機の滑走路が近い(約650メートル)ため、その離着陸時にトラブル等が発生した場合の防護、そして航空燃料であるため燃料の品質管理をより向上させるためにも外気温による影響を受けさせないようにするためです。
そのうえで照会は、この覆土式タンクを地下タンク貯蔵所として解してよいか、それがだめなら屋外タンク貯蔵所として解してよいか、それも違うなら覆土式屋外タンク貯蔵所とはどのようなものかと、三段構えで尋ねました。
区分としては屋外タンク貯蔵所にあたるとされました。
しかし屋外タンク貯蔵所の基準を満たしていないため、設置そのものが認められないという結論です。
区分と適合は別です。
政令第23条の特例基準は自衛隊の施設に限り認めたものである

照会側には、よりどころにしていた通達がありました。
昭和36年5月10日付け自消甲予発第25号危険物の規制に関する政令第23条の特例基準についてです。
照会は、この通達の第2の1について自衛隊のみか自衛隊に関係する民間社会をも含むか拡大解釈をして、これに類するものを含めてよいかと、適用範囲を三段階で尋ねています。
照会した会社は基地に隣接する航空機製造会社であり、自衛隊に関係する民間企業でした。
それでも適用は及びません。
特例基準の適用範囲を拡大解釈できるかという問いに対し、自衛隊の施設に限りという一文で線が引かれています。
民間には及びません。
併設するローリー詰場は一般取扱所として規制される

照会の四つめは、タンク貯蔵所に併設するローリー詰場についてです。
規制の対象にならないと考える理由も、あわせて述べられていました。
その理由については消防法第10条第1項本文の規定によるとされ、保有空地については政令第19条において準用する政令第9条第2号に規定する空地を必要とするとされました。
タンク側にポンプがなく、移動タンク車のポンプで出し入れするだけであっても、一般取扱所にあたります。
そして保有空地も必要になります。
詰場も施設です。
上下限の液面制御をするフロートスイッチは自動覚知装置に該当しない

同じ日付で、栃木県からの照会にも回答が出ています。
昭和46年1月5日付け消防予第8号は、中継用の小さなタンクについてのものでした。
問われたのはこのタンクには自動覚知装置としてセーフテイフロートスイッチが使用され、上限4,500リットル、下限500リットルで液面の制御が行なわれる場合、これが政令第11条第9号の「危険物の量を自動的に覚知することができる装置」に該当するかどうかという点です。
上限と下限の二点で作動するスイッチは、制御のための装置であって量を覚知する装置ではないという整理です。
いま何リットル入っているかは分かりません。
照会は該当しない場合でも政令第23条を適用できないかと重ねて尋ねましたが、そちらも適当でないとされました。
制御と覚知は別です。
支柱の耐火材や屋根の防水シートは個別に認められている

認められた例も見ておきます。
昭和46年1月5日付け消防予第2号は、大阪府からのタンク支柱についての照会に答えたものです。
回答はさしつかえないです。
もう一つ、昭和45年11月25日付け消防予第237号は、大阪府からの防水シートについての照会に答えたものです。
回答は設問の場合は、添付された資料から判断すれば、その使用を認めてさしつかえないです。
個別の製品や工法は、資料を添えて確かめれば認められる道があります。
一方で、施設の形態そのものが基準に合わない場合は、特例でも救われません。
製品と形態は別です。
よくある質問
まとめ
- 覆土式タンクは政令第2条第2号の屋外タンク貯蔵所に該当する
- ただし位置や構造や設備が政令第11条の技術上の基準に適合しないためその設置を認めることはできない
- 昭和36年5月10日付け自消甲予発第25号の特例基準第2の1は自衛隊の施設に限り認めたものである
- 自衛隊に関係する民間企業であっても拡大解釈して適用することはできない
- タンク貯蔵所に併設するローリー詰場は一般取扱所として規制される
- その場合は政令第19条において準用する政令第9条第2号に規定する空地を必要とする
- 上限と下限で液面の制御を行うフロートスイッチは危険物の量を自動的に覚知する装置に該当しない
- その場合に政令第23条の特例基準を適用することも適当でない
- 60分耐火の成型板による支柱の耐火被覆やタンク屋根の防水シートは個別に認められた
製品なら資料を添えて通る道があるけど、形そのものはあかんのやな。
そのとおりです。
タンクの形態や設備が基準に合うかの確認も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第2条・第9条・第11条・第19条・第23条 e-Gov法令検索
- 防水シール材にエプターを使用してよいか(昭和45年11月25日付け消防予第237号 予防課長から大阪府民生部長あて回答)
- タンク支柱の耐火構造について(昭和46年1月5日付け消防予第2号 予防課長から大阪府生活環境部長あて回答)
- 覆土式タンクにて航空燃料(JP-4)を貯蔵取り扱いをする場合について(昭和46年1月5日付け消防予第6号 予防課長から岐阜県総務部長あて回答)
- 屋外貯蔵タンクに設ける自動覚知装置について(昭和46年1月5日付け消防予第8号 予防課長から栃木県総務部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




