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屋外貯蔵所でガソリンを貯蔵するとなぜ散水設備まで必要になるのか|排水溝と油分離装置が加わる理由を解説

屋外貯蔵所でガソリンなど第一石油類を貯蔵するときになぜ散水設備等や油分離装置が必要になるかを解説する記事のアイキャッチ画像

屋外貯蔵所は、柵で区画した屋外の場所で危険物をそのまま貯蔵する施設です。
ところが引火性固体や第一石油類、アルコール類を扱うときだけ、他の危険物にはない設備が追加で求められます。
規則第24条の13は、屋外という環境そのものが持つリスクに合わせて基準を上乗せする条文です。
「特例」という言葉から基準が緩むと思い込むと、この条文の趣旨を取り違えます

屋外貯蔵所でガソリンのような危険物を扱うことになりました。
屋内の倉庫と同じ基準で大丈夫でしょうか。

実は屋外貯蔵所だけに上乗せされる基準があります。
規則第24条の13を順番に確認しましょう。

特例と聞くと基準が緩くなるイメージでした。
逆に厳しくなることもあるんですね。

はい、この条文は基準を超える特例です。
屋外という環境のリスクに合わせた上乗せです。

この記事の結論
  • 屋外貯蔵所で引火性固体(引火点21度未満)又は第一石油類・アルコール類を貯蔵し、又は取り扱うと、規則第24条の13により基準が上乗せされます
  • 根拠は令第16条第5項で、総務省令に基準を超える特例を定めることを授権しています。
  • 上乗せの中身は散水設備等の設置排水溝・貯留設備の設置の2つです。
  • 第一石油類のうち水に溶けないものを扱う場所には、貯留設備に油分離装置も設けます。
  • 屋内貯蔵所や屋外タンク貯蔵所の特例の多くが基準を緩めるのに対し、この条文は屋外での蒸発・引火のリスクに備えて基準を厳しくする数少ない特例です

屋外貯蔵所で引火性固体・第一石油類・アルコール類を扱うときに上乗せされる基準を整理した図解。屋外貯蔵所の基本基準を確認、なぜ上乗せされるかを確認、散水設備等の必要性を確認、排水溝と油分離装置の必要性を確認の4段階を示す

屋外貯蔵所はそもそもどんな基準で管理されているのか

柵で区画された屋外貯蔵所の資材置き場と、周囲に確保された空地、奥に立つ標識と掲示板のイメージ
屋外貯蔵所は、容器に入った危険物を屋根のない場所でそのまま貯蔵する施設です。
基準の骨格は、令第16条第1項にまとまっています。
危険物の規制に関する政令第十六条第一項 屋外貯蔵所(次項に定めるものを除く。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。一 屋外貯蔵所の位置は、第九条第一項第一号に掲げる製造所の位置の例によるものであること。二 屋外貯蔵所は、湿潤でなく、かつ、排水のよい場所に設置すること。三 危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の周囲には、柵等を設けて明確に区画すること。四 (略、区分に応じた空地の幅の基準)五 屋外貯蔵所には、総務省令で定めるところにより、見やすい箇所に屋外貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。六 屋外貯蔵所に架台を設ける場合には、架台の構造及び設備は、総務省令で定めるところによるものであること。
屋外貯蔵所の基準は、位置・柵による区画・空地・標識掲示板の4本柱で組まれています
位置は製造所の位置の例によるとされ、周囲との距離を確保する考え方が共通しています。
湿潤でなく排水のよい場所という条件も、屋根がない施設ならではの基準です。
危険物を貯蔵する場所は柵等で明確に区画し、指定数量の倍数に応じた空地を周囲に保有します。
この基本の4本柱に、危険物の種類によって上乗せや緩和の特例が組み合わさります。

屋根がない施設なのに、湿潤でない場所という条件があるんですね。
意外でした。

はい、屋外だからこその条件です。
次は特例が付く理由を見ていきましょう。

なぜ引火性固体や第一石油類だけ基準が上乗せされるのか

強い日差しの下で柵に囲まれた屋外の資材置き場に置かれた金属製のドラム缶と、離れた場所にある屋根付きの倉庫を対比したイメージ
令第16条には、危険物の種類に応じた特例がいくつも並んでいます。
そのうち第5項だけ、他とは向きが逆です。
危険物の規制に関する政令第十六条第五項 第二類の危険物のうち引火性固体(引火点が二十一度未満のものに限る。)又は第四類の危険物のうち第一石油類若しくはアルコール類を貯蔵し、又は取り扱う屋外貯蔵所については、当該危険物の性質に応じ、総務省令で、第一項及び前項に掲げる基準を超える特例を定めることができる。
この項が定める特例は、基準を緩めるのではなく超える、つまり上乗せする特例です
同じ令第16条でも、第3項の高引火点危険物第4項の蓄電池の特例は基準を緩める方向です。
第5項だけ「基準を超える」と書かれており、条文の向きがまったく逆になっています。
引火性固体(引火点21度未満)や第一石油類・アルコール類は、常温でも蒸気が発生しやすく屋外の直射日光でさらに蒸発が進みます。
「特例」という言葉だけで安心せず、緩和なのか上乗せなのかを条文で確かめる必要があります。

特例と聞くと、いつも基準が楽になる方だと思っていました。
逆のパターンもあるんですね。

はい、条文の言葉を丁寧に読むことが大切です。
次は上乗せの中身を具体的に見ましょう。

散水設備等はなぜ必要なのか

屋外貯蔵所の資材置き場の上に設置された散水ノズルから、並んだドラム缶に水が降り注いでいるイメージ
上乗せの中身は規則第24条の13に定められています。
まず第1号の散水設備等から確認します。
危険物の規制に関する規則第二十四条の十三第一号 引火性固体、第一石油類又はアルコール類を貯蔵し、又は取り扱う場所には、当該危険物を適温に保つための散水設備等を設けること。
散水設備等の役割は、危険物を適温に保つことです
屋外貯蔵所には屋根がないため、直射日光を受けると容器の温度が上がりやすくなります。
温度が上がると蒸気の発生量が増え、引火点に近づく危険が高まります。
散水で容器を冷やし続けることで、この蒸気の発生を抑える構成です。
条文は「適温に保つための」とだけ定めており、具体的な設備の仕様までは書かれていません。

水をまくだけで温度上昇を防げるんですね。
単純ですが理にかなっています。

そのとおりです。
次は排水溝と油分離装置の話に進みます。

排水溝と油分離装置はどんなときに必要なのか

資材置き場の地面に設けられた排水溝と、その先に接続された箱形の油分離装置のイメージ
第2号は排水溝と貯留設備、そして条件付きで油分離装置を求めます。
ここが条文でいちばん条件分岐の多い部分です。
危険物の規制に関する規則第二十四条の十三第二号 第一石油類又はアルコール類を貯蔵し、又は取り扱う場所の周囲には、排水溝及び貯留設備(令第九条第一項第九号に規定する貯留設備をいう。以下同じ。)を設けること。この場合において、第一石油類(水に溶けないものに限る。)を貯蔵し、又は取り扱う場所にあつては、貯留設備に油分離装置を設けなければならない。
排水溝と貯留設備が必要なのは、第一石油類とアルコール類を扱う場所だけです
散水設備等(第1号)は引火性固体を含む全体に効きますが、第2号の対象は異なります。
さらに水に溶けない第一石油類(ガソリンなど)を扱う場所だけ、貯留設備に油分離装置まで設けます。
水によく溶けるアルコール類は、排水溝と貯留設備だけで足り、油分離装置までは求められません。
「第一石油類だから一律」ではなく、水に溶けるかどうかで設備がもう一段変わる点に注意します。

同じ第一石油類でも、水に溶けるかどうかで設備が変わるんですね。
ガソリンは油分離装置が要るということですね。

はい、そのとおりです。
水に溶けないものだけ油分離装置が必要になります。

明日からなにを確認すればよいのか

巻き尺と点検表を手にした点検員が、柵に囲まれた屋外貯蔵所の資材置き場を確認しているイメージ
ここまでの内容を、確認する順番に並べ直します。
まず貯蔵する危険物の種類を特定することが出発点です。
  • 貯蔵し、又は取り扱う危険物が引火性固体(引火点21度未満)・第一石油類・アルコール類にあたるかを確認する。
  • あたる場合は、散水設備等で危険物を適温に保てているかを確認する。
  • 第一石油類又はアルコール類を扱う場所には、排水溝と貯留設備があるかを確認する。
  • 扱う第一石油類が水に溶けないもの(ガソリン等)なら、貯留設備に油分離装置が付いているかを確認する。
  • 基準を満たしても、屋外貯蔵所の設置・変更には消防法第11条に基づく許可が必要なことを忘れない。
屋外貯蔵所の設置・変更にも許可が必要です。
基準をすべて満たしても、消防法第11条に基づく市町村長等の許可を受けなければ使用できません
散水設備等や油分離装置は、既存の屋外貯蔵所を転用するときほど見落としやすい設備です。
迷ったときは、所轄の消防署に早めに相談するのが近道です。

確認する順番がよく分かりました。
まずは危険物の種類から見直します。

その順番で大丈夫です。
特に油分離装置の要否を見落とさないでください。

よくある質問

Q屋外貯蔵所の特例はなぜ基準を緩めるのではなく上乗せするのですか?
A令第16条第5項が対象とする引火性固体(引火点21度未満)第一石油類・アルコール類は蒸発しやすく、屋外の直射日光で温度が上がるとさらに蒸気が発生しやすいためです。同項は総務省令に基準を超える特例を定めることを授権しています。
Q散水設備等はどんな危険物を扱う場所に必要ですか?
A引火性固体第一石油類アルコール類を貯蔵し、又は取り扱う場所すべてに必要です。危険物を適温に保ち、蒸気の発生を抑える役割があります。
Q油分離装置が必要になるのはどんな場合ですか?
A第一石油類のうち水に溶けないもの(ガソリンなど)を貯蔵し、又は取り扱う場所だけです。水に溶けるアルコール類や、水に溶ける第一石油類には油分離装置は求められません。
Qこの特例は屋内貯蔵所にも同じように適用されますか?
Aいいえ。規則第24条の13は屋外貯蔵所だけに適用される特例です。屋内貯蔵所には別の基準(規則第16条の2以下)が定められており、直射日光による温度上昇を前提とした散水設備等の規定はありません。

まとめ

屋外貯蔵所で引火性固体(引火点21度未満)又は第一石油類・アルコール類を貯蔵し、又は取り扱うと、規則第24条の13により基準が上乗せされます
根拠は令第16条第5項で、総務省令に基準を超える特例を定めることを授権しています。
屋外貯蔵所の基本基準は位置・柵による区画・空地・標識掲示板の4本柱です(令第16条第1項)。
上乗せの中身は散水設備等(第1号)排水溝・貯留設備(第2号)の2つです。
第一石油類のうち水に溶けないものを扱う場所だけ、貯留設備に油分離装置を追加で設けます
水に溶けるアルコール類や水に溶ける第一石油類には、油分離装置までは求められません。
屋外貯蔵所を設置・変更するときは、消防法第11条に基づく市町村長等の許可が必要です。

屋外貯蔵所の基準がこれで整理できました!
散水設備と油分離装置を確認します!

はい、ぜひそうしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第11条第1項(製造所、貯蔵所又は取扱所の設置・変更の許可)
  • 危険物の規制に関する政令第16条第1項・第5項(屋外貯蔵所の基準・基準を超える特例の授権規定)
  • 危険物の規制に関する規則第24条の13第1号・第2号(引火性固体、第一石油類又はアルコール類の屋外貯蔵所の特例)
  • 危険物の規制に関する政令第9条第1項第9号(貯留設備の定義)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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