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危険物を配合する室はなぜ壁で区画されるのか|床の傾斜としきいの高さの基準を解説

危険物を配合する室はなぜ壁で区画されるかを解説する記事のアイキャッチ画像、店舗の棚を点検する担当者の写真

販売取扱所は、容器に入った危険物をそのまま売るための施設です。
ですが規則の中には、店の奥で危険物を混ぜてよい「配合する室」という例外が定められています。
配合する室はなぜ壁で区画され、床にも傾斜が必要になるのでしょうか。
この記事では第一種販売取扱所の配合する室にしぼって、床・出入口・しきいの基準を整理します

うちは塗料店なのですが、お客様の希望で色を混ぜて販売しています。
これは配合にあたるのでしょうか。

はい、それが今回のテーマです。
混ぜてよい危険物と、混ぜる場所の基準が政令で決まっています。

特別な部屋を作らないといけないということですか。
普通の売り場の隅では駄目なのでしょうか。

その通りです。
床や壁、出入口まで細かく基準があるので、この記事で確認しましょう。

この記事の結論
  • 販売取扱所は容器入りのままで販売するのが原則で、配合や詰替えは原則として認められない。
  • 塗料類など総務省令で定めた危険物に限り、配合する室でのみ配合が認められる
  • 配合する室は床面積6平方メートル以上10平方メートル以下とし、壁で区画しなければならない。
  • 床は危険物が浸透しない構造とし、傾斜と貯留設備を設ける。
  • 出入口には随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設け、しきいの高さは0.1メートル以上とする

配合室の位置・壁による区画・床の勾配と排水・出入口の基準を4ステップで示した図解

危険物を配合する室とはどんな場所を指すのか

危険物を陳列した小さな販売店の建物と、隣に設けられた配合室のイラスト
販売取扱所は、店舗の中で容器に入った危険物を売るための施設です。
その一角に、政令が特別に名前を与えた小さな部屋があります。
危険物の規制に関する政令第三条第二号 店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱う取扱所で次に掲げるものイ 指定数量の倍数(法第十一条の四第一項に規定する指定数量の倍数をいう。以下同じ。)が十五以下のもの(以下「第一種販売取扱所」という。)ロ 指定数量の倍数が十五を超え四十以下のもの(以下「第二種販売取扱所」という。)
販売取扱所は容器入りのまま売る施設だと条文が定義しています
指定数量の倍数が15以下なら第一種販売取扱所、15を超え40以下なら第二種販売取扱所です。
どちらも、危険物をその場で容器から出して扱うことは想定されていません。
ところが実務では、塗料の色を合わせるなど配合が必要になる場面があります。
そのために設けられた専用の部屋が「配合する室」です。

うちの店でも、お客様の希望で塗料を混ぜることがあります。
あれは特別な部屋でやる必要があるのですね。

はい、政令が定める配合する室でなければなりません。
次に、どんな危険物なら混ぜてよいかを確認しましょう。

どんな危険物なら配合する室で混ぜてよいのか

店舗部分と配合室が壁で区画され、配合室の中に漏斗と容器を置いた作業台があるイラスト
販売取扱所の原則は、容器に入ったままの危険物を売ることです。
配合する室は、この原則に対するただ一つの例外にあたります。
危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第二号 第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所における取扱いの基準イ 危険物は、次条に規定する容器に収納し、かつ、容器入りのままで販売すること。ロ 第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所においては、塗料類その他の総務省令で定める危険物を第十八条第一項第九号で定める室で配合する場合を除き、危険物の配合又は詰替えを行わないこと。
配合や詰替えは、原則としてどんな危険物であっても認められていません
例外にあたるのは塗料類と、総務省令が定める一部の危険物だけです。
規則第40条の3の11は、塗料類のほか塩素酸塩類等や硫黄等をこの例外に加えています。
これら以外の危険物を配合する室で混ぜることは、条文上想定されていません。
扱う危険物の品名を、まず確認することが最初の一歩です。

混ぜてよい危険物は、塗料以外にもあるのでしょうか。
取り扱っている品名を確認したくなりました。

塩素酸塩類等や硫黄等も対象です。
次は、配合する室そのものの基準を見ていきましょう。

配合する室の床と排出設備はどんな基準か

配合室の床が傾斜して中央のますに向かい、天井から排出用のダクトが伸びているイラスト
配合する室の基準は、政令第18条第1項第9号にまとまっています。
まずは部屋の広さと、床・排出設備の基準を確認します。
危険物の規制に関する政令第十八条第一項第九号 危険物を配合する室は、次によること。イ 床面積は、六平方メートル以上十平方メートル以下であること。ロ 壁で区画すること。ハ 床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜を付け、かつ、貯留設備を設けること。(略)ヘ 内部に滞留した可燃性の蒸気又は可燃性の微粉を屋根上に排出する設備を設けること。
配合する室は、広さも床もすべて条文で決められた専用の部屋です
床面積は6平方メートル以上10平方メートル以下とし、周囲を壁で区画します。
床は危険物が浸透しない構造にしたうえで傾斜を付け、貯留設備で受け止めます。
天井や屋根には、室内にたまった可燃性の蒸気や微粉を屋根上に逃がす排出設備も必要です。
売り場の一角を仕切っただけでは、この基準を満たしません。

床にも傾斜が必要なんですね。
普通の店の床とはずいぶん違います。

液体が広がらないように受け止める仕組みです。
次は出入口の基準を確認しましょう。

出入口はなぜ自動閉鎖でしきいも高くするのか

しきいのある閉じた扉に青いチェックマーク、しきいのない開いたままの扉に赤い禁止マークが添えられたイラスト
配合する室の出入口には、床や壁とは別の基準が定められています。
扉そのものと、床との境目にあるしきいの2か所を見ます。
危険物の規制に関する政令第十八条第一項第九号 危険物を配合する室は、次によること。(略)ニ 出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。ホ 出入口のしきいの高さは、床面から〇・一メートル以上とすること。
配合する室の扉は、開けっ放しにできない仕組みが求められます
出入口には随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けなければなりません。
人が通るときは開けられても、手を離せば自動的に閉まる扉ということです。
しきいの高さも床面から0.1メートル以上と決められており、床の傾斜で集めた液体や蒸気を室外に漏らさない役割を持ちます。
出入口をふさがない、しきいを削らないという日頃の使い方も基準の一部です。

扉を開けたままにしていることがあります。
これは基準違反になりますか。

はい、自動閉鎖の機能が働かない状態は基準を満たしません。
日常点検で扉としきいを確認してください。

明日から配合する室のなにを確認すればよいのか

クリップボードを持った点検者が店舗と配合室の前に立っているイラスト
ここまでの基準を、点検する順番に並べ直します。
まずは配合する室が条文どおりの部屋になっているかどうかです。
  • 取り扱う危険物が塗料類・塩素酸塩類等・硫黄等など、配合が認められた品目かどうかを確認する。
  • 配合する室が売り場と壁で区画されているかを確認する。
  • 床の傾斜と貯留設備に危険物や清掃水がたまっていないかを確認する。
  • 出入口の扉が自動閉鎖で正しく動くか、しきいが削れていないかを確認する。
  • 基準を満たしても、施設の変更には消防法第11条に基づく許可が必要なことを忘れない。
配合する室の基準を満たしても、それだけでは終わりません。
床や壁を変更するときは、消防法第11条に基づく市町村長等の許可が必要です
自動閉鎖の扉やしきいは、日常の使い方で機能が損なわれやすい設備でもあります。
迷ったときは、所轄の消防署に早めに相談するのが近道です。

確認する順番がよく分かりました。
まずは取り扱う危険物の品目から見直します。

その順番で大丈夫です。
特に自動閉鎖の扉としきいを見落とさないでください。

よくある質問

Q配合する室は第二種販売取扱所にも必要ですか?
Aはい。政令第27条第6項第2号は第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所の両方を対象にしており、配合する室の基準(政令第18条第1項第9号)も両方に適用されます。
Q配合する室の面積が10平方メートルを超えたらどうなりますか?
A政令第18条第1項第9号イは床面積6平方メートル以上10平方メートル以下と定めており、この範囲を外れる室は基準を満たしません。手狭であっても広すぎても認められないということです。
Q詰替えだけを行う場合も配合する室が必要ですか?
A政令第27条第6項第2号ロは配合又は詰替えの両方を、配合する室以外で行うことを禁じています。詰替えだけであっても、配合する室で行う必要があります。
Qしきいの高さは0.1メートル以上あればどんな扉でもよいのですか?
Aいいえ。しきいの高さに加えて、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備であることも同時に求められます。高さの基準だけを満たしても、扉の性能が伴わなければ基準を満たしません。

まとめ

販売取扱所は容器入りのままで販売するのが原則で、配合や詰替えは政令第27条第6項第2号により原則として認められません
例外にあたるのは塗料類と、規則第40条の3の11が定める塩素酸塩類等・硫黄等だけです。
配合する室は床面積6平方メートル以上10平方メートル以下とし、壁で区画します。
床は危険物が浸透しない構造とし、傾斜と貯留設備で液体を受け止めます。
出入口には随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設け、しきいの高さは床面から0.1メートル以上とします
室内にたまった可燃性の蒸気や微粉は、屋根上に排出する設備で逃がします。
基準を満たしても、配合する室の設置・変更には消防法第11条に基づく市町村長等の許可が必要です。

配合する室の基準がこれで整理できました!
壁の区画と自動閉鎖の扉を確認します!

はい、ぜひそうしてください。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第11条第1項(製造所、貯蔵所又は取扱所の設置・変更の許可)
  • 危険物の規制に関する政令第3条第2号(第一種販売取扱所・第二種販売取扱所の定義)
  • 危険物の規制に関する政令第18条第1項第9号(危険物を配合する室の基準)
  • 危険物の規制に関する政令第27条第6項第2号(第一種販売取扱所及び第二種販売取扱所における取扱いの基準)
  • 危険物の規制に関する規則第40条の3の11(配合することができる危険物)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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