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総合操作盤はなぜ16種類の消防用設備等をまとめて管理できるのか|規則第12条第1項第8号を準用する仕組みを解説

防災センターに設置された総合操作盤の写真

立入検査で防災センターに入ると、見慣れない大きな操作盤が壁一面に付いていることがあります。
これは総合操作盤という設備で、スプリンクラー設備や自動火災報知設備、誘導灯などをまとめて監視・操作するためのものです。
実は消防法施行規則のたった一つの条文が、性格の違う16種類もの設備の基準として繰り返し使われています。
総合操作盤という一つの設備を確認するだけで、建物のたくさんの消防用設備等をまとめて理解する手がかりになります

うちのビルの防災センターにも大きな盤があるんですが、あれは何のための設備なんですか。

それは総合操作盤ですね。
大規模な建物や地下街で、消防用設備等の監視や操作を一箇所にまとめるための機器です。

屋内消火栓のための盤だと思っていたんですが、他の設備とも関係あるんですか。

実はそのとおりです。
根拠になっている条文が、16種類もの設備の基準に繰り返し使われているんです。

この記事の結論
  • 総合操作盤は消防用設備等の監視・操作を一つの場所でまとめて行うための設備です
  • 設置が必要になるのは、延べ面積5万平方メートル以上などの大規模・高層の建物や、延べ面積千平方メートル以上の地下街です
  • 対象は屋内消火栓設備だけでなく、スプリンクラー設備や自動火災報知設備、誘導灯など16種類の設備の基準にも同じ規定が準用されています
  • 総合操作盤がある建物では、警戒区域一覧図など個別設備の備え付け義務が省略できる場合があります
  • 立入検査では防災センター等に総合操作盤があるか、建物の規模が基準に当たるかを確認します

総合操作盤が束ねる16種類の設備をまとめた図解

総合操作盤とはそもそも何をする設備なのか

防災センターで総合操作盤を確認する係員
大きな盤の名前を知っているだけでは、立入検査で何を見ればよいか分かりません。
まずは総合操作盤そのものの定義から確認しましょう。
問(消防法施行規則第12条第1項第8号) 高層の建築物、大規模な建築物その他の防火対象物のうち、一定のものに設置される屋内消火栓設備には、当該設備の監視、操作等を行うことができ、かつ、消防庁長官が定める基準に適合する総合操作盤(消防用設備等又は特殊消防用設備等の監視、操作等を行うために必要な機能を有する設備をいう。)を、当該設備を設置している防火対象物の防災センター等に設けることとされていますが、これはどのような制度でしょうか。
答 条文のとおり、総合操作盤とは消防用設備等又は特殊消防用設備等の監視、操作等を行うために必要な機能を有する設備のことです。個々の設備を別々に見て回らなくても、一箇所で作動状況を把握し、必要な操作ができるようにするための機器といえます。
総合操作盤は、複数の消防用設備等を一箇所でまとめて見るための機器です
条文の見出しは「屋内消火栓設備に関する基準の細目」ですが、実際には他の設備の基準からも参照されています。
そのため総合操作盤があるかどうかは、屋内消火栓設備だけでなく建物全体の防災体制を知る手がかりになります。
まずはこの条文が何を定めているのかを、正確に押さえておきましょう。
次の章では、どんな建物に総合操作盤の設置義務が生じるのかを見ていきます。

屋内消火栓設備の条文なのに、他の設備からも参照されるって不思議ですね。

そうなんです。
一番よく使われている基準を、他の設備の条文が後から借りてくる形になっています。

総合操作盤はどんな建物に必要になるのか

延べ面積5万平方メートル以上の高層ビルと地下街
総合操作盤は、すべての建物に必要な設備ではありません。
どのくらいの規模から義務になるのかを確認しましょう。
問(同号イ・ロ・ハ) 総合操作盤の設置が必要になる防火対象物として、条文は延べ面積が五万平方メートル以上の防火対象物地階を除く階数が十五以上で、かつ、延べ面積が三万平方メートル以上の防火対象物延べ面積が千平方メートル以上の地下街を挙げていますが、これ以外の建物は対象にならないのでしょうか。
答 条文にはもう一つ区分があり、地階を除く階数が十一以上で延べ面積一万平方メートル以上の防火対象物、地階を除く階数が五以上で延べ面積二万平方メートル以上の特定防火対象物、地階の床面積の合計が五千平方メートル以上の防火対象物のうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するものも対象になります。
基準は延べ面積や階数だけでなく、消防長や消防署長の指定でも対象になり得ます
自分の建物が延べ面積や階数の数字に届いていないからといって、無条件で対象外とは言い切れません。
消防長又は消防署長の指定による区分があるためです。
地下街は延べ面積千平方メートル以上という、他の区分より小さい規模から対象になる点も見落としやすいところです。
立入検査で規模を確認するときは、延べ面積・階数・地下街かどうかの三点をまず押さえましょう。
次の章では、この基準がどんな設備の条文から参照されているのかを見ていきます。

うちのビルは延べ面積も階数も基準に届いていないので、対象外ということですね。

数字だけならそうですが、消防長や消防署長の指定という区分もあります。
念のため所轄の消防署に確認しておくと安心です。

総合操作盤は屋内消火栓設備専用の制度なのか

総合操作盤から複数の消防用設備につながる配線
条文の見出しは屋内消火栓設備の基準です。
ところが、この基準は他の設備の条文からも繰り返し呼び出されています。
問(消防法施行規則第30条の3第1項第5号) 連結散水設備の基準を定める条文には、第十二条第一項第八号の規定は、連結散水設備について準用するとだけ書かれています。連結散水設備は消防隊が使う設備なのに、なぜ屋内消火栓設備の総合操作盤の規定が出てくるのでしょうか。
答 連結散水設備を含む建物が、延べ面積や階数の基準に該当する規模であれば、他の消防用設備等とあわせて総合操作盤で監視・操作の対象にするためです。同じ準用の書き方は、スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備・屋外消火栓設備・自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・非常警報設備・誘導灯・排煙設備・連結送水管・非常コンセント設備・無線通信補助設備の基準にも置かれています。
総合操作盤の基準は、屋内消火栓設備だけでなく16種類の設備の条文から準用されています
一つ一つの設備を個別に見ると気づきにくいですが、条文をたどると同じ一文が何度も出てくることが分かります。
連結送水管非常コンセント設備のように、平常時は目立たない消火活動上必要な施設まで対象に含まれている点は意外に見落とされがちです。
つまり総合操作盤がある建物では、日頃目にする設備の背後に建物全体の防災体制がつながっています。
次の章では、この仕組みを知らないと立入検査でどんな見落としが起きるのかを見ていきます。

16種類も対象があるなんて、想像していませんでした。

そうなんです。
一つの条文が建物全体の設備をつないでいると考えると分かりやすいですよ。

総合操作盤があれば警戒区域一覧図は省略できるのか

総合操作盤と警戒区域一覧図を見比べる係員
備え付け物が無いことに気づいても、すぐに違反と決めつけるのは早計です。
総合操作盤があることで、省略できる備え付け義務があります。
問(消防法施行規則第24条の2第1号ハ) 自動火災報知設備の維持の基準には、受信機の付近に警戒区域一覧図を備えておくこととありますが、ただし、前条第九号において準用する第十二条第一項第八号の規定により総合操作盤が設置されている場合は、この限りでないとも書かれています。これはどう読めばよいでしょうか。
答 条文のとおり、総合操作盤が設置されている場合は、受信機の付近に警戒区域一覧図を備える義務そのものが生じません。総合操作盤の側で警戒区域の状況が把握できるようになっているためです。
警戒区域一覧図が見当たらないからといって、その場で違反と決めつけないことが大切です
まずは防災センター等に総合操作盤が設置されているかどうかを確認しましょう。
総合操作盤があるのに一覧図も無ければ問題ありませんが、総合操作盤自体が無いのに一覧図も無い場合はあらためて確認が必要です。
1つの設備だけを見て「この建物には総合操作盤は要らない」と思い込むのも同じ理由で危険です。
建物全体の規模で判断が変わることを忘れないようにしましょう。

警戒区域一覧図が無いのを見つけて、すぐ指摘しそうになっていました。

まずは総合操作盤の有無を確認する順番が大事ですね。
順番を間違えると誤解につながります。

立入検査で防災センター等の何を確認すればよいのか

防災センターの総合操作盤を点検する担当者
ここまでの内容を、立入検査で確認する手順に落とし込みましょう。
まずは「防災センター等」という場所そのものの定義を押さえます。
問(消防法施行規則第12条第1項第8号) 条文は総合操作盤を設ける場所として、防災センター(総合操作盤その他これに類する設備により、防火対象物の消防用設備等又は特殊消防用設備等その他これらに類する防災のための設備を管理する場所をいう。)、中央管理室、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。)を挙げていますが、立入検査ではどこを確認すればよいでしょうか。
答 条文のとおり、常時人がいる場所であることが前提です。防災センターや中央管理室、守衛室など、名称が違っても常時人がいて消防用設備等を管理している場所を確認します。
立入検査では、まず建物の規模が基準に当たるかどうかを確認します
延べ面積・階数・地下街かどうかを押さえたうえで、防災センター等に総合操作盤があるかを見ます。
総合操作盤がある場合は、スプリンクラー設備や自動火災報知設備、誘導灯など、関連する設備の状況が一箇所で確認できているかもあわせて見ておくとよいでしょう。
総合操作盤が無い場合でも、規模の基準に当たらないかを確認してから判断することが大切です。
この順番を押さえておけば、防災センターでの確認作業がぐっとやりやすくなります。

規模の確認から総合操作盤の確認まで、順番がよく分かりました。

次に防災センターを見るときは、ぜひこの順番を思い出してください。
迷ったときはいつでもご相談ください。

よくある質問

Q総合操作盤が無い建物は消防法令違反になりますか?
A総合操作盤の設置義務は、延べ面積や階数、地下街の規模など規則第12条第1項第8号が定める基準に該当する防火対象物にだけ生じます。基準に満たない建物では、そもそも設置義務がありません。
Q総合操作盤があれば、個々の設備の点検は不要になりますか?
Aいいえ、総合操作盤は監視・操作をまとめて行うための設備であり、スプリンクラー設備や自動火災報知設備など個々の設備自体の点検義務は別に残ります。
Qなぜ連結送水管や誘導灯のような設備まで総合操作盤の対象になるのですか?
Aスプリンクラー設備や自動火災報知設備、誘導灯、連結送水管など16種類の設備の基準の中に、それぞれ規則第12条第1項第8号を準用する規定が置かれているためです。
Q総合操作盤の設置基準に該当するかどうかは誰が判断するのですか?
A延べ面積や階数による基準のほか、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定する建物も対象になります。判断に迷う場合は所轄消防署に確認するのが確実です。

まとめ

総合操作盤は消防用設備等の監視・操作を一つの場所でまとめて行うための機器です
設置基準は延べ面積5万平方メートル以上、または地階を除く階数15以上かつ延べ面積3万平方メートル以上などです
延べ面積千平方メートル以上の地下街も対象になります
消防長又は消防署長が火災予防上必要と認めて指定する建物も対象です
対象設備は屋内消火栓設備だけでなくスプリンクラー設備・自動火災報知設備・誘導灯など16種類です
総合操作盤があれば警戒区域一覧図など個別の備え付けを省略できる場合があります
立入検査では防災センター等で総合操作盤の有無と建物の規模を確認しましょう

総合操作盤の見方がやっと腑に落ちました
今度の立入検査で確認してみます。

建物の規模と設備の対応関係は最初は分かりにくいところですよね。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行規則第12条第1項第8号
  • 消防法施行規則第24条第1項第9号、第24条の2第1項第1号ハ
  • 消防法施行規則第30条の3第1項第5号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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