屋内貯蔵所で危険物を保管するときは、容器に収納しておくのが原則です。
ドラム缶や専用の容器に入れずに、そのまま床や棚に置いておくことは基本的に認められていません。
ところが危険物の規制に関する規則第四十条は、塊状の硫黄等とリチウムイオン蓄電池という二つの例外を定めています。
この記事では、容器に収納しなくてよい条件と、免除されない基準の両方を条文から整理します。
うちの倉庫では硫黄の塊を容器に入れずに置いているんですが、大丈夫でしょうか。
塊状の硫黄等は規則で認められた例外なので問題ありません。
ただし別の基準までは免除されない点に注意が必要です。
リチウムイオン蓄電池も同じように置いておいて構いませんか。
蓄電池は四つの方法のどれかを満たす必要があります。
順番に見ていきましょう。
- 屋内貯蔵所は、危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第二号を根拠に、危険物を容器に収納して貯蔵することが原則です。
- 例外として容器に収納しなくてよいのは、規則第四十条第一項が定める塊状の硫黄等とリチウムイオン蓄電池などに限られます
- リチウムイオン蓄電池を容器なしで貯蔵するには、キュービクル式の設備を使うなど四つの方法のいずれかを満たす必要があります
- 容器収納義務が外れても、指定数量の十倍以下ごとに区分する義務は別の規定で、免除されるのは火薬類に該当する危険物だけです。
- この容器収納義務の例外は屋内貯蔵所だけの規定で、屋外貯蔵所には同様の除外規定がありません
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目次
屋内貯蔵所は危険物をどう保管するのが原則なのか

危険物は容器に収納するのが大原則です。
容器に入れずに床や棚へ直接置くことは、この規定に照らすと基準違反になります。
これは貯蔵の技術上の基準の一つで、危険物の漏えいや飛散を防ぐための規定に位置づけられています。
ただし書きがある以上、総務省令で定める危険物には例外が認められています。
容器に入れないのは、どんな危険物でも駄目ということですね。
原則は容器への収納です。
次はただし書きが認める例外を見ましょう。
容器に収納しなくてよい危険物とは何か

規則が具体的に危険物の種類を列挙しています。
一号の塊状の硫黄等は、追加の条件なしにそのまま貯蔵することが認められます。
二号のリチウムイオン蓄電池は、後述する四つの貯蔵方法のいずれかを満たすことが条件です。
三号は塩素酸塩類等のうち火薬類に該当するものを指し、今回の主役である硫黄や蓄電池とは別の枠組みです。
硫黄は無条件で、蓄電池には条件があるということですか。
はい、蓄電池は貯蔵方法が指定されています。
次はその四つの方法を確認しましょう。
蓄電池はどんな方法なら容器なしで貯蔵できるのか

いずれか一つを満たせば容器は不要です。
イは水が浸透する素材での包装やこん包、ロはキュービクル式の設備への収容という、どちらも囲いで蓄電池を保護する発想です。
ハは貯蔵場所の構造要件に加えて充電率六十パーセント以下という数値管理が条件になる点が他の三つと違います。
いずれも告示で定める基準に適合した蓄電池であることが前提で、どの方法を選ぶかで日常の管理項目が変わります。
充電率を管理する方法だけ、少し毛色が違うんですね。
はい、運用管理が続く方法だからです。
次は容器の規制が外れても変わらない基準を見ましょう。
容器の規制が外れても変わらない基準はどこか

二つの落とし穴を確認します。
容器収納義務(二号)と区分義務(三号)は別の号のただし書きで、免除される危険物の範囲も一致しません。
塊状の硫黄等とリチウムイオン蓄電池は容器収納義務からは外れても、区分義務まで外れるわけではない点に注意が必要です。
さらに、この容器収納義務の除外規定は屋内貯蔵所だけにあり、屋外貯蔵所の容器収納義務にはただし書きそのものがありません。
屋外貯蔵所で同じ蓄電池を扱うときは、容器が必要になるんですね。
はい、屋内貯蔵所限定の特例です。
最後に確認の手順をまとめます。
容器なしで貯蔵する前に何を確認すればよいのか

順番にチェックしてください。
- 容器なしで貯蔵しようとしている危険物が、規則第四十条第一項の三種類のいずれかに当てはまるかを確認する
- 対象がリチウムイオン蓄電池なら、四つの貯蔵方法のうちどれを採用するのかを決める
- 充電率管理の方法を選ぶ場合は、充電率六十パーセント以下を継続的に確認する体制があるかを確認する
- 指定数量の十倍以下ごとの区分と〇・三メートル以上の間隔が守られているかを別途確認する
- 貯蔵する場所が屋内貯蔵所であることを確認する(屋外貯蔵所には同じ例外がない)
容器の要否だけでなく、区分義務も別に確認するんですね。
はい、条文ごとに免除の範囲が違います。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
容器の要否と区分義務を分けて確認します。
助かります。
まずは貯蔵方法の選定から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十条第三項
- 危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第二号・第三号・第十一号
- 危険物の規制に関する規則第四十条第一項・第二項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





