屋内消火栓設備は、設置工事が終わったらそれで終わりではありません。
実際に水を出して確かめる放水試験や、配管そのものの強さを確かめる耐圧試験まで、決められた試験に合格して初めて使える設備になります。
一方で、試験の中には「認定表示」があれば省略してよいとされている項目もあります。
この記事では屋内消火栓設備の設置後試験のしくみと、省略できる試験とできない試験の境目を整理します。
業者さんから「今回は認定表示があるので一部の試験は省略します」と言われました。
すべての試験を省略できるわけではありません。
どこまでが対象なのか順番に見ていきましょう。
省略できる部分とできない部分の境目を知っておきたいです。
試験の区分から順番に整理していきます。
まずは全体の流れからです。
- 屋内消火栓設備は外観試験・機能試験・総合試験の3区分に合格して初めて使用できます
- 配管は加圧送水装置の締切圧力の一・五倍以上の水圧に耐えなければなりません
- 放水試験は放水圧力と放水量の両方が基準値に入って初めて合格になります
- 認定表示があれば、ポンプ単体の一部試験は省略できます
- 実際に水を出す放水試験そのものは省略の対象になっていません
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目次
屋内消火栓設備はどんな試験を受けるのか

消防庁が定める試験区分に沿って、実際の設備を目で見て、動かして、水を出して確かめます。
まず外観試験で水源やポンプ、配管の設置状況を目視で確認し、次に機能試験でポンプの起動や停止、起動用水圧開閉装置の作動圧力などを個別に動かして確かめます。
最後の総合試験で、実際に放水して初めて設備全体の性能が確かめられます。
段階を踏むのは、部品ひとつひとつの不具合を先に見つけておくことで、最後の放水試験を安全に行うためだと考えられます。
見た目の確認だけでなく、実際に水も出すところまでやるんですね。
段階を踏むことで不具合の見落としを防いでいます。
まずは配管そのものの強さから見てみましょう。
配管はどれくらいの圧力まで耐えればよいのか

その基準となるのが、配管の耐圧試験です。
締切圧力とは、ポンプの吐出側を閉じたときに配管にかかる最大の圧力のことです。
配管はその締切圧力の一・五倍以上の水圧をかけられても、亀裂や変形、漏水が起きないことが求められます。
ポンプの性能によって締切圧力そのものが違うため、実際に加える試験圧力の数値は建物ごとの設備で変わってきます。
普段使う圧力より高い圧力までわざわざ確かめるんですね。
余裕を持たせた圧力で確かめておく必要があります。
次は実際の放水試験を見てみましょう。
放水試験は何をもって合格とするのか

このとき見るのは、水の勢いを示す放水圧力と、水の量を示す放水量の2つです。
放水圧力は1号消火栓なら0.17メガパスカル以上0.7メガパスカル以下、2号消火栓なら0.25メガパスカル以上0.7メガパスカル以下という範囲に収まらなければなりません。
放水量も同時に確かめ、1号消火栓は毎分130リットル以上、2号消火栓は毎分60リットル以上という基準があります。
圧力が高すぎても低すぎても不合格になる点は、見落としやすいところです。
圧力が強すぎてもだめだというのは意外でした。
強すぎる圧力はホース操作を難しくします。
ここまでの試験、実は一部を省略できる場合があります。
なぜ一部の試験は現場で省略できるのか

機器そのものにあらかじめ性能が確かめられている印がある場合、一部の試験は省略できます。
総務大臣または消防庁長官が登録した登録認定機関の認定を受け、その表示が貼られたポンプであれば、現場で改めて確かめなくても性能が保証されていると扱われます。
現場の検査員がまず確認するのは、この認定表示が実際に機器へ貼付されているかどうかです。
表示が無ければ、省略の対象になっている試験項目もすべて現場で行うことになります。
ラベルが貼ってあるかどうかで、当日の作業量が変わるということですね。
認定表示の有無で当日の試験項目が変わります。
ただし省略できない試験も残っています。
省略できる試験とできない試験はなにが違うのか

省略の対象になっているのは、あくまでポンプ単体の一部の試験です。
締切運転時の揚程や定格負荷運転時の吐出揚程、水温上昇を防ぐ逃し装置の水量といったポンプ本体の試験には※印が付いており、認定表示があれば省略できます。
一方で、実際にノズルから放水して圧力と放水量を確かめる放水試験そのものには※印が付いていません。
これは、ポンプ単体の性能が保証されていても、配管でつながった建物全体としての性能まで保証されるわけではないためだと考えられます。
ポンプが優秀でも、建物側の配管まで保証されるわけではないんですね。
実際に水を出して確かめる部分は必ず残ります。
最後によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
認定表示があっても放水試験は省略できないとよく分かりました。
次の検査のときに確認してみます!
省略できる範囲を正しく知ることが大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第十二条第一項第六号・第七号
- 消防庁「消防用設備等の試験基準及び判定基準」(屋内消火栓設備関係)
- 加圧送水装置の基準(平成九年消防庁告示第八号)
- 屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準(平成二十五年消防庁告示第2号)
※本記事は公表されている法令・通知に基づく一般的な解説です。実際の試験結果の判定や省略の可否は、点検資格者や所轄消防署にご確認ください。





