非常コンセント設備は、高層ビルや地下街で消防隊が消火活動に使う電源設備です。
保護箱の中の差込口は目立ちませんが、実は回路の本数や遮断器の容量まで細かく基準が決まっています。
設置工事が終わったときには、目視で確認する外観試験だけでなく、実際に電圧を測る機能試験も行われます。
今回は非常コンセント設備の専用回路・遮断器・端子電圧について、検査でどこまで確かめられているのかを解説します。
非常コンセントの保護箱は見たことがありますが、中の配線までは考えたことがありませんでした。
実は回路の本数や遮断器の容量まで、検査でこまかく確認されているんですよ。
回路の本数まで基準があるとは知りませんでした。
各階ごとに専用の回路を2以上設けるのが基本なんです。
まずは回路の仕組みから見ていきましょう。
- 非常コンセントに電気を供給する回路は主配電盤から専用とし各階ごとに2以上設けます
- 階の非常コンセントが1個だけのときは、その階を1回路にまとめられます
- 一つの回路に設けられる非常コンセントの数は10以下と定められています
- 分岐回路の遮断器は単相交流100ボルト回路で15アンペア、配線用遮断器なら20アンペアのものを設けます
- 端子電圧試験の合否基準は定格で100ボルトであることです
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目次
非常コンセントの専用回路は各階にいくつ必要か

検査ではこの回路の本数を、配電盤の系統図と照らし合わせて確認します。
専用幹線から分かれる回路は、主配電盤から専用のものとし、各階ごとに2以上となるように設けます。
ただし、階の非常コンセントの数が1個のときに限り、1回路とすることができます。
階に複数のコンセントがある建物ほど、回路も複数に分かれているということです。
検査ではこの回路の本数を、配電盤の系統図と照らし合わせて確認します。
うちのビルは1個しかないので、1回路でいいんですね。
はい、その場合だけ例外が認められています。
階に複数あるビルでは2回路以上になります。
一つの回路に設けられる非常コンセントの数に上限はあるのか

数えるだけの単純な確認に見えて、超過があれば回路の組み直しが必要になります。
一の回路に設けてある非常コンセントの数は10以下であることとされています。
階数の多い建物では、この上限を超えないよう回路そのものを複数に分けて配線します。
検査では、系統図をたどりながら一つの回路に何個の非常コンセントがぶら下がっているかを数えて確認します。
数えるだけの単純な確認に見えますが、超過があれば回路の組み直しが必要になります。
数を数えるだけなら、そんなに難しくなさそうですね。
系統図と現地の両方を突き合わせるので、実は手間がかかる確認です。
次は遮断器の容量を見てみましょう。
分岐回路の遮断器は開閉器と配線用遮断器で容量が違うのか

どちらを選ぶかで、設けられる容量そのものが変わります。
専用幹線から各階の非常コンセントまでの分岐回路には、開閉器又は過電流遮断器を設けます。
単相交流100ボルト回路の場合、開閉器を設けるときは15アンペア、配線用遮断器を設けるときは20アンペアのものとされています。
そこまでの理由は基準に明記されていませんが、配線用遮断器そのものに遮断機能が備わっている点が関係していると考えられます。
検査ではこの分岐回路に実際に設けられている機器の種類と容量を、目視で確認します。
同じ回路でも、機器の種類で容量が違うとは思いませんでした。
盤の中を見れば、どちらが付いているかすぐ分かりますよ。
次は幹線そのものの容量を見てみましょう。
専用幹線そのものにはどんな電気容量が求められるのか

末端の非常コンセントまで、きちんと電気を届けられるだけの余力が必要だからです。
専用幹線は、単相交流100ボルトで15アンペア以上の電気が供給可能であることとされています。
これは非常コンセント1個あたりに求められる電気容量と同じ水準です。
専用幹線の段階で、末端の非常コンセントが必要とする電気をきちんと届けられるだけの余力を確保しているということです。
検査では幹線の太さや配線の状態を、この容量を満たせるかという視点で確認します。
幹線に他の設備の配線を混ぜてしまうこともあるのですか。
幹線は専用とされていて、他の負荷と共用しません。
最後は実際の電圧を測って確かめます。
端子電圧試験では何を測ってどう合否を判定するのか

外観試験と機能試験の両方をそろえて初めて、検査に合格したことになります。
端子電圧試験は、電圧を電圧計を用いて測定する試験です。
合否の判定基準は、電圧の測定値が定格で100ボルトであることとされています。
見た目や配線の状態が正しくても、実際に電圧が出ていなければ意味がありません。
外観試験と機能試験の両方をそろえて初めて、検査に合格したことになります。
見た目が整っているだけでは、まだ安心できないんですね。
数値として測って初めて合格と言えます。
これで検査の全体像がつながりましたね。
よくある質問
まとめ
回路の本数から遮断器の容量まで、こんなに細かく見られているんですね!
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第29条の2(非常コンセント設備に関する基準)
- 消防法施行規則第31条の2(非常コンセント設備に関する基準の細目)
- 消防庁「消防用設備等の試験基準」第22 非常コンセント設備 外観試験・機能試験
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





