パッケージ型消火設備は、屋内消火栓の代わりとして設置できる便利な設備ですが、中に詰められている消火薬剤にも独自の技術基準があります。
薬剤は種類ごとに定められた性能試験に合格したものでなければならず、試験に通らない薬剤は使用できません。
さらに薬剤の容器そのものにも、設備本体とは別の表示義務が定められています。
この記事では、消火薬剤の性能試験の中身と容器表示のルールを、告示の条文から確認していきます。
うちのパッケージ型消火設備、薬剤の中身まで気にしたことなかったです。
実は薬剤にも専用の性能試験と容器表示のルールがあるんです。
試験に落ちる薬剤もあるということですか。
はい、放射しても消えなかったり再燃したりすれば不合格です。
- パッケージ型消火設備の消火薬剤は、強化液・第一種/第二種機械泡・第一種から第三種の浸潤剤等入り水のいずれかで、告示第八の性能基準に適合したものでなければなりません
- 性能試験は燃焼なべにノルマルヘプタン三・〇リットルを入れて点火し、三分後に薬剤を放射する方法で行われます
- 合格の基準は、放射終了時に炎が認められず、放射後二分以内に再燃しないことです
- 薬剤の容器には「消火設備用消火薬剤」の文字や製造年月・型式番号など八項目の表示が必要です
- 容器の表示は設備本体の表示(告示第九)とは別のルールなので、両方を確認する必要があります
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目次
パッケージ型消火設備の消火薬剤はなぜ性能試験に適合したものでなければならないのか

その分、詰められている薬剤の性能には厳しい条件が課されています。
パッケージ型消火設備の消火薬剤は、告示第八が定める強化液・第一種及び第二種機械泡・第一種から第三種の浸潤剤等入り水のいずれかで、種類ごとの性能基準に適合していなければなりません。
このうち強化液・機械泡・浸潤剤等入り水は、いずれも共通して告示第八第四号が定める放射試験に適合することが求められています。
つまり薬剤の性能は、成分の配合だけでなく実際に火を消せるかどうかの試験結果で確認されているということです。
次の章では、その試験がどんな条件で行われるのかを見ていきます。
強化液も機械泡も、同じ試験で確かめられているんですね。
ええ、薬剤の種類にかかわらず共通の基準で判定されます。
消火薬剤の性能試験はどんな条件で行われるのか

条件が違えば結果も変わってしまうためです。
燃焼なべにノルマルヘプタンを三・〇リットル入れて点火し、点火から三分後に試験用消火器から薬剤を放射して消火を始めます。
試験は風速〇・五メートル毎秒以下の無風状態、かつ温度二十度という条件のもとでのみ行われます。
条件がそろわない場所で放射しても、告示が求める試験結果とは認められません。
次の章では、この試験にどう合格すればよいのかを見ていきます。
無風で二十度って、けっこう細かく決まっているんですね。
はい、風や気温で消えやすさが変わるため決められています。
試験の合格基準はなにか

その後の状態まで見届けて初めて判定されます。
まず薬剤の放射が終わった時点で炎が認められないこと、そして放射終了から二分間は再燃しないことの両方を満たして初めて合格です。
一度火が消えても、二分以内に燃え返れば不合格になります。
薬剤の放射時間や放射率だけでなく、消えたあとの持続力まで確認されているということです。
次の章では、薬剤の容器そのものに求められる表示を見ていきます。
一度消えても、また燃え出したら駄目なんですね。
その通りです、二分間の持続力まで含めての合格になります。
消火薬剤の容器にはなにを表示しなければならないのか

薬剤の容器そのものにも表示のルールがあります。
パッケージ型消火設備の本体には告示第九が定める十項目の表示がありますが、薬剤の容器そのものには告示第八第六号が定める八項目の表示が別に必要です。
容器の表示には「消火設備用消火薬剤」の文字のほか、腐食性・製造年月・型式番号などが含まれます。
設備本体の表示だけを確認して、容器側の表示を見落とす取り違えが起きやすいところです。
次の章では、この違いを踏まえて明日から何を確認すればよいかをまとめます。
設備の表示だけ見て、薬剤側は見ていませんでした。
薬剤を補充するときは容器の表示も忘れずに見てください。
明日からなにを確認すればよいのか

特別な道具は要らず、容器を見るだけで確認できます。
- 消火薬剤を補充・交換するときは、薬剤の容器そのものに八項目の表示があるかを確認する
- 表示のうち製造年月と型式番号を、設備本体の表示(告示第九)と突き合わせて食い違いがないか見る
- 容器の表示が欠けている、または読み取れない薬剤は性能試験に適合したものと確認できないため使用しない
薬剤の容器に八項目の表示がそろっているか、設備本体の表示と食い違っていないかを見るだけです。
表示が読み取れない薬剤や、容器だけ交換されたような薬剤は告示に適合したものと確認できません。
補充や交換のたびにこの確認を習慣にすることが、いざというときに薬剤が働く備えになります。
次の点検で、容器の表示も一緒に見てみます。
ぜひお願いします、補充のたびの習慣にしていただければ安心です。
よくある質問
まとめ
薬剤の試験と表示、両方とも次の点検で確認します!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第12号)第八
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





