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パッケージ型消火設備のホースはなぜⅠ型とⅡ型で長さが違うのか|放射率と放射距離の基準も解説

壁掛け式のパッケージ型消火設備の収納箱とホースリールを写したアイキャッチ画像

パッケージ型消火設備は消火器と違い、ホースを伸ばして放水するという操作性を持っています。
そのホースの長さも、決められた基準にもとづいて決まっています。
さらに放射する薬剤の量や勢い、届く距離にも告示で定められた数値があります。
この記事では、ホースの長さと放射性能の技術基準を、告示の条文から確認していきます。

うちのパッケージ型消火設備、ホースの長さなんて気にしたことなかったです。

実は型式によってホースの長さも放射性能も違うんです。

水鉄砲みたいに勢いが違うってことですか。

はい、放射率や放射距離まで数値で決まっています。

この記事の結論
  • ホースの長さは、Ⅰ型が25メートル以上、Ⅱ型が20メートル以上と告示第五第八号で定められています
  • ノズル開閉弁は開閉方向が表示されているものでなければなりません
  • 放射時間は温度20度でⅠ型が2分以上、Ⅱ型が1分30秒以上と定められています
  • 放射率は薬剤の種類ごとに40・24・16リットル毎分と細かく分かれています
  • 放射は充填量の90パーセント以上、放射距離は10メートル以上であることが求められます

パッケージ型消火設備のホースと放射性能の基準をまとめた図解

パッケージ型消火設備の器具そのものにはどんな性能が求められているのか

ノズル開閉弁とホースの点検イメージ
薬剤の性能だけでなく、器具そのものにも基準があります。
ホースやノズルは、確実に動くことが前提です。
パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 第五 パッケージ型消火設備の一般性能等(抜粋) パッケージ型消火設備の性能は、次の各号に定めるところによる。 五 消火薬剤貯蔵容器等の規格は、消火器の技術上の規格を定める省令(昭和三十九年自治省令第二十七号)第十一条から第十四条まで、第二十四条から第二十九条まで、第三十三条及び第三十六条に規定する規格の例によること。 六 ノズル開閉弁は、開閉方向が表示されているものであること。 七 ノズルは、棒状放水ができるもの又は棒状放水と噴霧放水の切換えができるものであること。(平成16年5月31日消防庁告示第12号)
消火薬剤貯蔵容器等は消火器の規格を準用しています
パッケージ型消火設備という新しい設備でも、容器の規格そのものは既存の消火器の技術基準に合わせる形で定められています。
そのうえでノズル開閉弁には開閉方向の表示が義務付けられ、迷わず操作できることが求められます。
ノズルも棒状放水だけでなく、噴霧放水に切り換えられるものであってもよいとされています。
次の章では、この器具とセットになっているホースの長さの基準を見ていきます。

消火薬剤の容器は、消火器と同じ規格なんですね。

ええ、実績のある消火器の規格を土台にしているためです。

ホースの長さはⅠ型とⅡ型でどう違うのか

Ⅰ型とⅡ型のホースの長さの違いのイメージ
ホースの長さにも、型式ごとに下限が決まっています。
これは設置できる面積の違いと対応した数字です。
パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 第五 パッケージ型消火設備の一般性能等(抜粋) 八 ホースの長さは、Ⅰ型にあっては二十五メートル以上、Ⅱ型にあっては二十メートル以上とすること。 九 ホース、ノズル、ノズル開閉弁及びホースリールは、移動式の不活性ガス消火設備等のホース、ノズル、ノズル開閉弁及びホースリールの基準(昭和五十一年消防庁告示第二号)に適合するものであること。(平成16年5月31日消防庁告示第12号)
ホースの長さもⅠ型のほうが長く定められています
Ⅰ型は25メートル以上、Ⅱ型は20メートル以上のホースが必要で、防護する面積が広いⅠ型ほど長いホースが求められる仕組みです。
さらにホース・ノズル・ノズル開閉弁・ホースリールは、パッケージ型消火設備専用の基準ではなく移動式の不活性ガス消火設備等と共通の基準に適合したものでなければなりません。
つまりホース周りの器具は、他の移動式消火設備とも技術的に横並びの品質が求められているということです。
次の章では、実際にどれだけの勢いで薬剤が放射されるのかを見ていきます。

面積が広いⅠ型のほうがホースも長いんですね。

はい、防護面積とホースの長さは対応しています。

放射率と放射距離はどんな基準になっているのか

ノズルから放射される薬剤の距離と勢いのイメージ
長さが足りていても、勢いが足りなければ意味がありません。
放射性能には放射時間・放射率・放射距離の3つの基準があります。
パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 第六 放射性能(抜粋) パッケージ型消火設備の放射性能は、次の各号に定めるところによる。 二 放射時間は、温度二十度において、Ⅰ型にあっては二分以上、Ⅱ型にあっては一分三十秒以上とすること。 三 放射率は、次の表の上欄に掲げる消火薬剤の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる区分に応じた率以上の率とすること。 強化液 Ⅰ型四十リットル/分 Ⅱ型四十リットル/分 第一種機械泡 四十リットル/分 第二種機械泡 二十四リットル/分 第一種浸潤剤等入り水 四十リットル/分 第二種浸潤剤等入り水 二十四リットル/分 第三種浸潤剤等入り水 十六リットル/分 五 放射距離は、棒状で放射した場合において、十メートル以上であること。(平成16年5月31日消防庁告示第12号)
放射性能は温度20度を基準に決められています
放射時間はⅠ型が2分以上、Ⅱ型が1分30秒以上で、面積の広いⅠ型ほど長く放射できる仕組みです。
放射率は薬剤の種類によって毎分40リットル・24リットル・16リットルと差があり、薬剤ごとに求められる勢いが違います
そして棒状で放射したときの放射距離は10メートル以上で、ここは型式による差がありません。
次の章では、この放射率の表を読むときに見落としやすい点を見ていきます。

放射距離は型式に関係なく10メートル以上なんですね。

はい、距離だけは型式で差がない基準です。

放射率の表を読むときに見落としやすいのはどこか

強化液と機械泡の放射率の違いを比べるイメージ
放射率の表は、型式だけを見ると読み違えます。
薬剤の種類まで見て初めて正しく読めます。
パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件 第六 放射性能(抜粋) 四 充填された消火薬剤の容量又は質量の九十パーセント以上の量を放射できるものであること。(平成16年5月31日消防庁告示第12号)
強化液だけはⅠ型とⅡ型で放射率が同じです
強化液は型式にかかわらず毎分40リットルですが、機械泡と浸潤剤等入り水は第一種・第二種・第三種で放射率そのものが変わります
「Ⅰ型だから放射率が高い」と型式だけで判断すると、薬剤の種類によっては前提が違うことになります。
また放射の基準は充填量の90パーセント以上であり、消火器のように全量を放射しきることまでは求められていません。
次の章では、これらの基準を点検でどう確認すればよいかをまとめます。

型式だけ見て放射率まで同じだと思っていました。

薬剤の種類まで合わせて確認してください。

点検でホースと放射性能をどう確認すればよいのか

点検表を手にホースの長さを確認するイメージ
ここまでの内容を、点検で使える形にまとめます。
放射試験そのものは専門業者が行いますが、日常点検でも確認できる点があります。
  • 設置されている設備がⅠ型かⅡ型かを確認し、ホースの長さが基準(25メートル/20メートル)を満たしているか見る
  • ノズル開閉弁に開閉方向の表示が残っているか、摩耗して読めなくなっていないか確認する
  • 設置されている薬剤の種類を確認し、放射率が薬剤ごとに違うことを前提に点検記録を読む
点検で見るのはホースの長さと表示の有無です
放射試験の実施そのものは専門業者に任せますが、ホースの長さと型式の対応、そしてノズル開閉弁の表示は目視でも確認できます。
薬剤の種類が変われば放射率の前提も変わるため、型式だけで安心せず薬剤の種類まで点検記録と照らし合わせることが大切です。
この習慣が、いざというときにホースと薬剤の両方がきちんと働く備えになります。

次の点検でホースの長さと表示も見てみます。

ぜひお願いします、薬剤の種類も忘れずに確認してください。

よくある質問

Qホースの長さはⅠ型とⅡ型で同じでよいのですか?
Aいいえ。Ⅰ型は25メートル以上、Ⅱ型は20メートル以上と告示第五第八号で別々に定められています。
Q放射率はどの薬剤でも同じ数値なのですか?
Aいいえ。強化液は毎分40リットルで型式による差がありませんが、機械泡や浸潤剤等入り水は種類ごとに毎分40・24・16リットルと分かれています。
Q薬剤は充填量を全部放射しきらないと基準を満たさないのですか?
Aいいえ。基準は充填量の90パーセント以上を放射できることであり、全量の放射までは求められていません。
Qホースやノズルはパッケージ型消火設備だけの独自基準ですか?
Aいいえ。ホース・ノズル・ノズル開閉弁・ホースリールは移動式の不活性ガス消火設備等と共通の基準に適合したものでなければなりません。

まとめ

消火薬剤貯蔵容器等の規格は消火器の技術上の規格を定める省令の例によります
ホースの長さはⅠ型が25メートル以上、Ⅱ型が20メートル以上です
ホース・ノズル等は移動式の不活性ガス消火設備等と共通の基準に適合させます
放射時間は温度20度でⅠ型が2分以上、Ⅱ型が1分30秒以上です
放射率は薬剤の種類ごとに毎分40・24・16リットルと分かれています
放射は充填量の90パーセント以上、放射距離は10メートル以上が基準です
点検ではホースの長さ・表示・薬剤の種類を型式と照らし合わせて確認します

ホースの長さも放射率も、次の点検で確認します

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第12号)第五・第六

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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