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プラントのドローン点検はなぜ屋内まで広がったのか|改訂ガイドラインが求める3人体制と機体登録を解説

改訂のたびにドローンの活用が屋内まで広がったことを示すアイキャッチ

危険物施設の点検や巡回に、ドローンを使う場面が増えてきました。
消防庁のガイドラインは2022年に改訂され、対象は屋外だけでなくタンクや配管の内部にまで広がっています。
屋内で飛ばすときの体制や、航空法の新しい制度にも対応が必要になりました。
改訂ガイドラインが現場になにを求めているのかを、順番に確認します

点検業者さんから、今度はタンクの中までドローンで見たいと言われました。
うちみたいな小さい施設でも、気にしないといけないのでしょうか。

気にしていただく必要があります。
2022年の改訂で、屋内を飛ばすときの体制や新しい制度への対応が明記されました。

屋内まで広がったんですね。
具体的には何を確認すればいいんでしょうか。

通達の中身を順番に見ていきましょう。
なぜ改訂されたのか、対象、中身、落とし穴、手順の順で説明します。

この記事の結論
  • 2022年4月20日の消防危第92号・消防特第80号で、プラントにおけるドローン活用ガイドラインがVer3.0へ改訂された
  • 屋内で飛ばす場合は、操縦者・安全運航管理者・補助者の3人以上の体制が望ましいとされた
  • 改正航空法により、2022年6月20日から屋外を飛ばす機体の登録が義務化された
  • ドローンによる点検・現場確認は、引き続き予防規程の関連文書として位置づける
  • 対象は石油コンビナート等に限らず、危険物施設全般に参考にするよう求められている

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プラントのドローン活用ガイドラインが2019年の制定から2020年の屋内対応、2022年の体制強化と機体登録まで改訂のたびに活用範囲を広げてきた流れを示す図解

プラントのドローン活用ガイドラインはなぜ2022年に再び改訂されたのか

屋外のタンク上空を飛ぶドローンと、タンク内部に入っていくドローンを並べたイメージ
ドローンを使った危険物施設の点検は、2019年の通知をきっかけに広がり始めました。
その後も現場の実態に合わせて、ガイドラインは姿を変えています。
「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインの改訂について」(令和4年4月20日 消防危第92号消防庁危険物保安室長・消防特第80号消防庁特殊災害室長) 今般、厚生労働省、経済産業省と共同で開催している「石油コンビナート等災害防止3省連絡会議」において、ガイドラインを改訂しました。今回の改訂は、設備の近傍での飛行における安全確保のために必要な措置の追加、事業者等へのヒアリングを踏まえた内容の整理、令和2年6月及び令和3年9月に行われた航空法令の改正による制度変更への対応等を行ったものです。
今回で通算2度目の改訂です。
最初のガイドラインは2019年3月に消防危第51号・消防特第49号で策定され、石油コンビナートの屋外でドローンを飛ばす場合を想定したものでした。
2020年3月の1度目の改訂では、タンクや配管の内部を点検したいという現場のニーズに応え、屋内飛行の安全要件が加わりました。
そして今回の2022年の改訂では、設備の近くを飛ばすときの追加措置に加え、改正航空法への対応が盛り込まれました。
通達の番号を確認するときは、消防危第92号・消防特第80号という組み合わせが目印になります。

通知って、一度出たらずっと同じ内容だと思っていました。

実際に現場で使われるうちに、足りない部分が見つかって改訂されるんです。

改訂ガイドラインはどこでのドローン飛行を対象にしているのか

屋外の配管やタンク群と、タンク内部の断面を並べて同じガイドラインが適用されることを示すイメージ
ガイドラインの名前には「プラント」とありますが、範囲はそれだけではありません。
屋内・屋外の両方と、対象になる危険物施設の広さを確認します。
改訂後のガイドライン(Ver3.0)1.2 適用範囲 本ガイドラインは、コンビナート等の石油精製、化学工業(石油化学を含む)等のプラント内において、カメラ等を装備したドローンの飛行を行い、カメラによる撮影等を行う行為を対象とする。なお、ドローンを飛行させるエリアは、そのプラント事業者の管理下にある私有地の屋外及び屋内を対象とし、プラント事業者の管理下にはないエリアは含まないものとする。
屋外だけでなく屋内も、はっきり対象に含まれています。
2019年の初版は屋外での飛行を前提にしていましたが、改訂を重ねて塔槽類や配管、タンクの内部という屋内の活用方法も整理されました。
対象はプラント事業者が管理する私有地に限られ、管理が及ばない敷地外のエリアは含まれません。
また、最初のガイドラインを送付した通知は、石油コンビナート以外の危険物施設にも参考にして運用するよう求めており、この考え方は改訂後も変わっていません。
自分の施設が小規模だから関係ないと思い込むと、確認すべき点を見落とします。

うちは小さいタンクが一基あるだけですが、それでも参考になりますか。

はい。
規模の大小にかかわらず、屋内外どちらの飛行にも考え方が使えます。

屋内でドローンを飛ばすとき何が新しく求められるのか

操縦者・安全運航管理者・補助者の3人体制と、プロペラガードを付けたドローンが配管内部へ入っていくイメージ
屋内は電波が届きにくく、狭い場所に突起物もあります。
屋外とは違う、もう一段階踏み込んだ備えが必要です。
改訂後のガイドライン3.4 飛行計画書の作成と提出【屋内特有の要件】 屋内を飛行させる場合は操縦者、現場の安全管理を行う安全運航管理者に加え、飛行に当たっての操縦以外のアドバイス(例えば、自己位置確認、ドローン、カメラ及び照明の角度の指示等)を行う補助者の少なくとも3人以上の体制とすることが望ましい。
屋内は最低3人の体制が望ましいとされました。
操縦者だけでなく、現場の安全を見る安全運航管理者、自己位置や照明の角度を助言する補助者の3役を分けて配置します。
GPSの電波が届かない、気流が乱れる、暗くて視界が悪いといった屋内特有のリスクが、こうした体制を求める理由です。
機体にも、衝突しても設備を傷つけにくいプロペラガードなど、屋内向けの備えが求められます。
人数が足りないまま屋内飛行を引き受けてしまうと、ガイドラインが想定する安全確保の水準に届きません。

操縦する人が一人いれば十分だと思っていました。

屋内は最低3人の役割分担が前提になります。

実務で見落としやすいのはどこか

登録タグを付けたドローンに青いチェックマーク、登録タグのないドローンに赤い禁止マークを並べたイメージ
ガイドラインの中身を理解しても、見落としやすい手続きが一つあります。
ドローン本体にまつわる、法律上の新しいルールです。
改訂後のガイドライン1.3.2 ドローンの機体登録について 2022年6月20日より、屋外を飛行させる無人航空機は飛行前に機体の登録が必要である。
危険物の規制に関する政令第24条第1項第13号 可燃性の液体、可燃性の蒸気若しくは可燃性のガスがもれ、若しくは滞留するおそれのある場所又は可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所では、電線と電気器具とを完全に接続し、かつ、火花を発する機械器具、工具、履物等を使用しないこと。
登録のないドローンは、屋外で飛ばせません。
改正航空法により、屋外を飛ばす機体は国土交通大臣への登録と登録記号の表示が義務になりました。点検業者に依頼する前に、登録済みの機体かどうかを確認します。
あわせて、ドローンが万一落下した場合の備えも見落とされがちです。危険物の規制に関する政令は、可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所で火花を発する器具を使わないよう定めており、バッテリー破損による発火はこの考え方の延長線上にあります。
登録の確認と落下対策は、どちらも飛行計画書を作る前に済ませておくべき準備です。
点検業者任せにせず、施設側も最低限の確認はしておきたいところです。

ドローンなら何でもすぐ飛ばせると思っていました。

登録済みの機体かどうか、まず確認してください。

危険物施設でドローンを飛ばす前になにを確認すればよいのか

担当者がチェックリストを手に飛行前のドローンと書類を確認しているイメージ
考え方が分かったところで、実際の確認手順に落とし込みます。
明日からできることは、大きく分けて4つです。
改訂後のガイドライン5.5(3)プラントにおけるドローン飛行に関する通知 ドローンによる危険物施設の点検や災害時の現場確認等は、予防規程に定めることとされている「危険物の保安のための巡視、点検及び検査」や「災害その他の非常の場合に取るべき措置」等に該当するものであることから、危険物施設の所有者等において作成された飛行計画書については、予防規程の関連文書として位置付けることとして運用されたいこと。
確認は4つで足ります。
まず、機体が登録済みかどうかを点検業者に確認します。
次に、屋内を飛ばすなら3人以上の体制が組めているかを確かめます。
そのうえで、飛行計画書を予防規程の関連文書として位置づけ、義務のない施設でも社内規定やマニュアルに書き残します。
最後に、防爆エリアへの進入や設備への落下を防ぐ飛行ルートを、点検業者と一緒に確認しておくと安心です。

登録、体制、位置づけ、飛行ルートの4つですね。

そのとおりです。
順番に確認すれば難しくありません。

よくある質問

Q屋内でドローンを飛ばすときは何人の体制が必要ですか?
A操縦者、安全運航管理者、補助者を合わせて少なくとも3人以上の体制とすることが望ましいとされています。
Qドローンの機体登録はいつから必要になりましたか?
A改正航空法により、2022年6月20日から屋外を飛行させる無人航空機は飛行前の機体登録が必要になりました。
Qガイドラインは石油コンビナート以外の危険物施設にも関係しますか?
Aはい。ガイドラインは石油コンビナート等以外の危険物施設にも参考にするよう求められています。
Qドローンの飛行計画書はどこに位置づければよいですか?
A危険物施設の点検や現場確認に使う飛行計画書は、予防規程の関連文書として位置づけることとされています。

まとめ

✔ガイドラインは2019年の制定後、2020年・2022年と2度改訂されています
✔対象は屋外だけでなく屋内にも広がりました
✔石油コンビナート等に限らず危険物施設全般に参考にするよう求められます
✔屋内飛行は操縦者・安全運航管理者・補助者の3人以上の体制が望ましいとされます
✔2022年6月20日から屋外を飛ばす機体の登録が義務化されました
✔飛行計画書は引き続き予防規程の関連文書として位置づけます
✔飛行前には登録・体制・位置づけ・飛行ルートの4点を確認します

登録済みかどうか、まず点検業者さんに聞いてみます!

屋内を飛ばすなら、体制まで一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインの改訂について」(令和4年4月20日 消防危第92号消防庁危険物保安室長・消防特第80号消防庁特殊災害室長)
  • 「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン等の送付について」(平成31年3月29日 消防危第51号・消防特第49号)
  • 危険物の規制に関する政令第24条第1項第13号(貯蔵及び取扱いの通則)
  • 消防組織法第37条(消防庁長官の助言、勧告及び指導)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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