地震後の巡回で、消火器、火災受信機、誘導灯などをひと通り確認した。
見た目に大きな異常がなければ、そのまま設備を使い続けてよいのでしょうか。
現場の社内確認は大切ですが、法令に基づく消防用設備等の点検と同じものではありません。
BCPでは危険を先に除く、外観を確認する、別票へ記録する、専門点検へつなぐという順番を決めます。
社内で見たから、点検済みでええですか?
社内確認と法定点検は分けます。
ほな、社内では何を残せばええんですか?
時刻・場所・異常・応急措置を残しましょう。
- 社内確認は人命と二次災害防止の初動として行います
- 法令に基づく点検とは目的と記録を分けます
- 記録には時刻・場所・異常・操作・判断を残します
- 異常設備は使用や操作を保留します
- 専門点検と是正結果を確認しBCPの再開判断へつなげます
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目次
地震後の消防用設備は社内確認だけで使い続けてよいのか

社内確認で異常が見えなくても法令に基づく点検を実施したことにはなりません。
社内確認は、地震直後の危険を拾い、設備の使用可否を暫定判断し、専門家へ正確に引き継ぐための初動です。
外観で分かる転倒、脱落、漏水、異常表示は社内でも発見できます。
一方、配線の断線、非常電源の能力、放水性能、警報の連動などは、見た目だけでは判断できません。
初動ではむやみに操作しない、異常範囲を区切る、点検者へ引き継ぐことが重要です。
見た目が無事でも、機能までは分からへんのですね。
はい。
外観確認は専門点検への入口です。
誰がどこまで確認しどの設備を対象にするのか

防火管理者や担当者は安全に見られる範囲を確認し作動試験や分解は専門家へ任せます。
役割の境界を先に決めると、地震直後の焦りによる誤操作を防げます。
- 消火器の転倒、移動、変形、漏れの有無
- 屋内消火栓箱の扉、表示灯、周囲の障害物
- 火災受信機の火災表示、故障表示、電源表示
- 感知器、発信機、ベル、スピーカーの脱落や破損
- 誘導灯と非常用照明の点灯、傾き、落下のおそれ
- スプリンクラー配管、ヘッド、弁周辺の漏水
- 避難器具、送水口、消防用水への接近経路
煙、焦げ臭さ、漏電、水漏れ、落下物がある場所へは無理に入りません。
火災や人命危険があれば通報と避難を優先します。
社内担当者の範囲は安全な外観確認、異常箇所の隔離、連絡と記録までと決めておきます。
確認のためにベルを鳴らしてもええですか?
勝手な作動試験はせず外観を記録します。
地震後の初動記録には何を残すのか

後から現場を再現できるよう事実と操作と判断を時系列で別票へ残します。
「異常なし」だけでは、誰がどこまで見たのかを点検者が判断できません。
- 地震の発生時刻と社内確認を始めた時刻
- 建物、階、部屋、設備名、識別番号
- 確認者の氏名と安全に確認できた範囲
- 火災表示、故障表示、音、臭い、漏れ、変形
- 触れたスイッチや弁と操作前後の状態
- 立入禁止、火気停止、巡回などの応急措置
- 連絡先、連絡時刻、専門点検の依頼内容
写真を使う場合も、撮影時刻と場所が分かる一覧へひも付けます。
法定点検の点検票へ社内判断を書き足すのではなく、災害時確認票、引継ぎ票などの名称で別管理すると混同を防げます。
記録は確認できた事実、未確認の範囲、暫定判断の期限を分けて書きます。
点検票に直接メモしたらアカンのですか?
別票にして点検者へ渡すのが明確です。
自主確認と法定点検で何を混同しやすいのか

見回りで異常がなかったことと設備の機能が確認できたことは同じではありません。
消防用設備等の機器点検と総合点検には、設備ごとの点検基準と方法があります。
- ランプが点いているため設備全体も正常だと考える
- 異常表示を消せたため原因も解消したと考える
- 目視した記録を機器点検の記録として扱う
- 一部の設備だけ見て建物全体を確認済みにする
- 応急措置を恒久的な復旧とみなす
- 点検者が来る前にスイッチや弁を元へ戻す
- 業務再開を先に決めて未確認区域を残す
小規模な防火対象物では関係者自身が点検できる場合もあります。
それでも、消防庁の点検基準、点検方法、点検票に沿う正式な点検と、BCP上の初動確認は分けて扱います。
特に分解や整備を伴う作業、連動機能の確認、有資格者点検の対象は専門家へ確認します。
ランプだけで正常とは決められへんのですね。
そうです。
表示と実際の機能は別に確認します。
明日から地震後の確認手順をどう整えるのか

確認経路と別票と専門家への連絡条件を一つの手順書へまとめます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要資源の把握、対応手順、教育・訓練、点検と是正を継続する考え方を示しています。
- 設備台帳と平面図へ確認対象を記す
- 安全な確認経路と立入中止条件を決める
- 防火管理者、代行者、確認班を並べる
- 災害時確認票へ記録する項目を決める
- 操作禁止と専門家へ連絡する条件を決める
- 設備停止中の巡回や火気制限を定める
- 専門点検後の再開承認と記録保管を訓練する
訓練では設備を実際に作動させず、異常カードを使って発見から引継ぎまで確認できます。
点検事業者と事前に、地震後に優先して伝える設備、写真、表示内容、立入可能範囲を決めておくと復旧が速くなります。
訓練後は連絡先の更新、未確認範囲の表し方、業務再開の承認者を見直します。
異常カードなら設備を触らず訓練できますね。
ええですね。
記録と連絡まで通してみましょう。
よくある質問
まとめ
別票で記録する地震後訓練をやってみます!
安全確認・記録・専門点検・再開判断を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第31条の6
- 消防庁 消防用設備等の点検基準 点検要領 点検票
- 消防庁 消防用設備等点検報告制度の概要
- 消防庁 火災予防 自ら行う消防用設備等の点検報告
- 東京消防庁 職場の地震対策
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁、東京消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。必要な点検者、点検方法、使用停止の範囲、代替措置、業務再開の条件は建物と設備の状況で異なります。実際の確認、操作、点検、整備、消防機関への報告、業務の再開は管理権原者、防火管理者、消防設備士、消防設備点検資格者、点検事業者、所轄消防署へご確認ください。





